表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

デリリウム

作者: 井田雷左
掲載日:2026/02/13

「デリリウム」


制作 ナノメリア

演出・撮影 相川あきら

脚本・編集 室井虎丸

音楽 トリオ・ザ・トリノ

プロデューサー 安芽里亜

サブ・プロデューサー 高木彩佳


スクリプター 星ヒカル

撮影助手 千田健三

サブ・ディレクター 住田賢二

広報 黒図ミヤコ


メタ 酉野菜乃

ルダ 安芽里亜


硝子うさぎ 河都野笛

硝子ヘドロ 彩翔


リットゴブ 岸間早紀

モスデデ 千田健三

ロスク 簗木共栄


バーダーボ 綾川京

チャックブル 槇野宗次郎

デスター(声) 室井虎丸


キー 亜美衣

ロン 安具楽ユラ


テーロール 大宮山ふみ


お母さん 相川あきら


CG・アニメ製作 映大アニメ研究会スクラム

製作著作 映大レコンキスタ


●メインタイトル

「デリリウム」


●雑木林・深夜

木の枝か露出した根にスカートの裾が引っかかる。

青のスカートがひっかかるが、そこに手が伸びる。

メタ「引っ張らないで、割けるよ」

赤のワンピースのメタが青のワンピースを着ているルダの裾を丁寧に取ってあげる。

ルダ「痛てて、着いた時に落ちたから未だ痛い」

メタ「ここ、どこ?」

周囲はただ闇と木々とあるばかりで誰も答えない。

ルダ「なんだろうか、建物だ」

(やしろ)が暗闇の中で辛うじて見える。

メタ「お母さんは?」

ルダ「エッ!お母さんってなに?」

二人は顔を見合わせる。

その時になって初めて我々は二人の顔を見るのである。


●社・早朝

つまり神社である。

二人は持っていたリュックサックを枕に寝ていた。

メタが起き上がり、伸びをする。

字幕で「メタ」と表記される。

ルダは隣で未だ寝ている。

字幕で「ルダ」と表記される。


●社の庭・早朝

白のワンピースを着たテーロールが二人を眺める。


●社・早朝

メタ、庭に出る。

ルダ、その後を追う。


●社の庭・早朝

二人ともテーロールの気配に気づいたように外に出たが、そこにはお互いの二人だけで誰もいない。

ルダ「どうした?」

メタ「ちょっとフシギな感じがした」

ルダ「この世界にフシギなんて、あるのかな?私たちじしんがなぜにここに〈居る〉のか、いや、私たちが何者なのかすら判っていない」

バイオリンの音色に続いて、太鼓やアコーディオンの演奏。

二人は音の方へ移動する。


●メリーゴーランド

その回転木馬に乗る二人の人物。

ブラウスに紺のワンピースを来た女性。

字幕で「硝子うさぎ」と表記される。

そのうさぎさんを大事に後方から支えるフード姿の男。

字幕で「硝子ヘドロ」と表記される。

二人が一緒に抱いているのは産着とタオルにくるまれた赤子。

ヘドロ、赤子の背中に手をやると腕が緑色で血管が浮き出ている。

ルダ・メタ「!」

産着のフードから一瞬、赤子の頬が映るが、それも緑色で、血管が走っている。

うさぎ、その赤子に頬ずりする。

ルダとメタ、顔を見渡し、笑顔。

回転木馬、急に止まる。

ヘドロ、気を付けるように木馬から降りると周囲を見渡す。

銃撃音。

ヘドロ、倒れる。

うさぎ、ヘドロをしゃがんで抱きしめる。

そして慟哭。

いつの間にかうさぎから赤子を託されたルダ。

メタはうさぎに歩み寄り、肩を抱く。

うさぎがゆっくり立ち上がると、フードが風に舞う。

その跡地には何もない。

呆然とするうさぎ。

だが気づいたようにルダに渡した産着を奪い取るとそこにも赤子はおらず、産着とタオルのみ。

周囲にはメリーゴーランドの馬や柱の残骸。

しゃがみ込み、泣き続けるうさぎ。

だが、自分が妊婦だということに気づき、泣き止む。

うさぎの膨らんだ腹に耳を近づけるルダとメタ。

メタ「そうか、あなたが見せたマボロシか」

ルダ「お母さんに、生まれたいよと伝えて下さい、って」

うさぎ、涙を拭きながら、二人と同じ方角を歩む。


●遊園地出入口

テーロールが三人を見ている。


●国道

ルダ、メタ、うさぎの三人が歩いている。

会話はしているが、観客には聴こえない。


●大社

つまり大きな神社。

メタ「さっき、宿として使ったトコと似ているね」

ルダ「なんか関係があるかもしれないね」

うさぎは無言。

二人現れる。

迷彩服上下にサングラスの男。

字幕で「リットゴブ」と表記される。

空手着に水中メガネの男。

字幕で「モスデデ」と表記される。

リットゴブ「周縁から来たものどもよ。私らの国民になるということでいいのだな」

モスデデ「お腹の子の出産、育児、そして親子の住居や食事も保証する、ということだ」

それは二人とも優しさでも、事務的でもなく、フィッシングメールの文面を読むように云う。

うさぎ「はい、私とお腹の赤ちゃんを助けて下さい。でも、この二人は違います。付いて来てくれただけです」

リットゴブ「そうなのか?」

メタ「はい」

モスデデ「私らの国民になる方がいいのに」

ルダ「遠慮します」

リットゴブとモスデデ、無表情。


●奥の院への道

リットゴブ「それでは私らの王様に会ってもらおう」

モスデデ「周縁から国民を入れるのは3年ぶり、赤子が産まれるのは5年ぶりだ」

リットゴブ「王様はそのどちらかではないと謁見させてくれない」

モスデデ「オレたちも会うのは3年ぶりよ」

歩きながら、話している。

メタ「どうしてそんなに国民は少ないのですか」

リットゴブ「大きな災いが来た。それは世界を分断し、統合の可能性を潰したのだ」

ルダ「誰がそんなことをしたのですか?」

モスデデ「知らない・判らない。ただ二人組がやったとだけ知っている」

リットゴブ「だからおまえたちコンビか、オレたちコンビかも知れぬゾ」

モスデデ「着いたゾ」


●奥の院

背広姿で王冠をかぶる男が玉座に座る。

字幕で「ロスク」と表記される。

リットゴブ「ロスク国王、新国民を連れて参りました」

ロスク「うむ」

モスデデ「ではこの妊婦を研修センターに連れて参ります」

ロスク「うむ」

モスデデ、うさぎを伴い去る。

メタ「あのぉ、国王」

ロスク「なんだ?」

メタ「うさぎさんとお腹の赤ちゃんは大丈夫なんですか?」

ロスク「国民の増強は即国家の増強。朕がないがしろにするワケなどない」

ルダ「この世界に他に国家はあるんですか?」

ロスク「国家は唯一この朕の国家のみ。他の共同体は村と呼んでいる。もっとも他の村は朕の国家を村と呼んでいるかもしれないが」

リットゴブ、ロスクに近寄る。

リットゴブ「国王、この者たちは国民にはなりません。よけいなおしゃべりは不要です」

ロスク「そうか」

ロスクの背後に近寄るのはモスデデ。

モスデデは右手をドリルにしており、そのドリルを回転させ、ロスクの背中を貫く。

叫ぶロスク。

ロスク「おまえ、おまえら!こんな国の国王になっても何にも面白くないゾ!」

リットゴブ「いいんだよ、アンタが今言った村に頼まれたんだ」

デデモス「お嬢ちゃんたち、心配しないでくれ、あの妊婦は更に大きくなる国家が面倒みる。早く来た道を帰れよ」

倒れるロスク。

玉座に座るデデモス。

メタ「そんなことは信じられない!」

ルダ「もしお母さんと赤ちゃんにもしものことがあったら、新しい国王を罰する者なんていないじゃないか!」

リットゴブ「いる。オレがその国王を殺す」


●遺体安置所

ロスクの死体を凝視するテーロール。


●砕石処理場

ワンピースのままその砂利の上に大の字で寝転ぶメタとルダ。

そこに自動操縦で動いているような1メートル程のロボットが歩行ではなく走行でやって来る。

字幕で「デスター」と表記される。

デスター「おまえたちを知っているぞ。メタとルダだ」

メタ「なんで?私たちはあなたを知らないのに」

ルダ「この世界に果てはあるの?」

二人の後ろに人影。

古代の弥生人のような衣装の男

バーダーボ「我らの神になんのようだ!?」

字幕で「バーダーボ」と表記される。

侍のような出で立ちの男。

チャックブル「きみらがむやみに触れていい存在ではない」

字幕で「チャックブル」と表記される。

バーダーボ「少女よ、私が代わりに応えよう。この神がいるこの土地が世界の終わりだ」

チャックブル「神は唯一にして不二である」

メタ「なんで、あなたが代わりに答えるの?」

バーダーボ「神は決してしゃべらないからだ」

チャックブル「我らは一度として神の声を聴いたことがない」

ルダ「つい今、これ、しゃべりましたよ」

バーダーボ「ウソだ!我らが十数年世話をしていて誰も話したことがないんだゾ!」

チャックブル「神は誰の言葉を受け止めるが、誰も特別扱いなさらない。だからこそこの世界の村々はこの神の下に平等でいられるのだ」

メタ「でもねー?」

ルダ「話したよねー」

バーダーボ「相手にせぬぞ、バカバカしい」

チャックブル「では聴くがなんと話したのだ」

ルダ・メタ「『おまえたちを知っているぞ。メタとルダだ』」

バーダーボ「それがなんだと云うだ!」

チャックブル「どんな金言を承ったかとおもえば、そんな千里眼、神ならば当たり前のこと」

この二人が話している間にデスターは揺れ・煙を出し、目のライトが点滅を始めていた。

バーダーボ「か、神よ!」

ブルチャック「こ、これは今この少女たちの言葉に反応したというのか!」

デスター、大破。

バーダーボとチャックブル、呆然。

逃げるメタとルダ。


●セメント工場

テーロールが施設の中でたたずんでいる。

字幕で「テーロール」とようやく表記される。

ハッと気づき、立ち去るとそこにメタとルダが駆けてくる。

メタ「なんか、そうとうヤバくない?」

ルダ「うん、だからこそ逃げないと」

メタ「でも、その、うーん、気配がまったくない」

ルダ「そう、無いよね」

二人は工内の鉄ハシゴを登り、双眼鏡で先いた採掘場を見る。

破壊したデスターの前で崩れ落ちるバーダーボ。

チャックブルは腰にかけた大剣を抜く。

バーダーボ、座ったままでチャックブルにすがりつく。

チャックブル、振り払うとそのまま自分の腹にその大剣を貫き通す。

そして倒れ、その死体にすがりつくバーダーボ。

メタとルダ、顔を見合わせて、気まずそう。

メタ「戻る?」

ルダ「うん、そうしよう」


●採掘処理場

バーダーボは未だチャックブルの死体にすがったまま。

メタ「そのひと、あなたの友だちだったんでしょう」

ルダ「なれば、そのままではかわいそうだから、埋葬してあげないと」

バーダーボ「(うなずく)」


●国道

バーダーボがチャックブルの遺体を乗っけたリヤカーを引き、メタとルダが後ろから二人で押す。


●奥の院

そのリヤカーを玉座の上から見るモスデデ。


●病院内・手術室前

うさぎ、ストレッチャーで運ばれていく。


●遺体安置場

ロスクの遺体の横に、チャックブルを収めた棺が置かれる。


●セメント工場

バーダーボ「ありがとう、これで少しもヤツは浮かばれるだろう」

メタ「あの死体安置所はあなたが管理していたの?」

バーダーボ「そうだ。国家の中の死の領分は神の領域だからな」

ルダ「気を強くもって生きて下さい」

バーダーボ「ああ、だから、おまえらには新しい神になって欲しいんだ」

メタ「それは困ります」

ルダ「そんなガラではないし、あれは無口だったけど、私たちおしゃべりだし」

バーダーボ「この世界には神が必要なんです!」

メタとルダ、逃げ走る。

バーダーボ「この世界で国家も神の代理者たる我らを番外にしていた理由がこれだ!」

バーダーボ、工場の奥に行き、「danger」と書かれた部屋に入る。

何かが集合し・合体する音。

破壊音、そして部屋のドアが吹っ飛ぶ。

そして飛行音。


●河川敷

メタとルダ、走ってくる。

それに外骨格パワードスーツで強化合体したバーダーボが飛行して迫る(カゲだけで表現)。

周囲にバーダーボがばら撒く、弾幕の破裂音。

メタとルダ、逃げる・逃げる。

特に逃げ場所に当てがない二人だったが、河川敷にある水門を目指していた。

その水門に二人の立ち姿。

セーラー服でバズーカーをかまえる女。

字幕で「キー」と表記される。

テンガロンハットに二丁のライフルを持つ女。

字幕で「スロン」と表記される。

キー「イイ女にはデカい銃が似合う、てね!」

ロン「教主バーダーボ!この二人は家族!国家!神!の三つの共同幻想をくぐり抜けて来た者どもよ!云わば、神を超えた者!下がれ!」

(ここからアニメーション)

バーダーボ、全貌が出張る。

身長3メートル、両手・両肩には武器が満載、背中のウィングとロケットノズルで飛行する。

キー「ドラマメーションかよ!」

キー、バズーカ砲を連射。

バーダーボ、それを両肩のロケットランチャーで撃ち落とす。

ロン、水門からジャンプし、ライフルで狙い撃ち。

バーダーボ、それを両手に備え付けられた巨大マシンガンでいなす。

キー、地面に降り、マンホールを外した穴に手榴弾を入れ、更にバズーカ砲を一発、直ぐに蓋して・その蓋にキーが仁王立ちし、爆発!その蓋ごと、空へ舞う!

空中で腰から取り出した電磁ソードを二刀流!

バーダーボの両肩、両腕の武器を瞬時に切断!

ロン、端末を操作し、水門を開門。

キー、バーダーボの背中に回る、これでは攻撃できない。

更にキーは噴射口をピストル連射でいくつか壊し、バーダーボの軌道を変える。

ロン、水門の枠に爆弾を仕掛ける。

キー、バーダーボを水門の下にくぐらせる。

その瞬間、ロンが爆弾を破裂させ、強制的に水門を下す。

その門に挟まれるバーダーボ。

大きく跳躍し、逃れるキー。

(アニメーション、終わり)

地面に立つキー。

キー「ロン!乗っているバーダーボを助けておやり!」

スロン「姉さま!御意!」

メタとルダ、キーに歩み寄る。

メタ「危ないところをありがとうございます」

ルダ「あなたは何者ですか?」

キー「太古のロストテクノロジーを守る者だ」

メタ「そんなものがあるなんて」

キー「では、なぜに私たちは今会話ができている?それは共通言語ある証だ」

ルダ「私たちが誰だか、知っていますか?」

キー「では、私が案内する」


●国道

メタ、ルダ、キー、歩く・歩く。

その過程で、けっこう楽しそうに会話している。


●砂浜

やがて海へと着いた。

キー「どうやってニンゲンが生まれるかはもう判っているね」

その声に振り向くとキーはもういない。

遠方に建物が見える。

ルダ「あの夜に泊まった神社だ!」

メタ「まさか、なんで一周しているの!?」

ルダ、砂浜に近寄り、海の水を舐める。

ルダ「これ、人口の味だ」

メタ「まさか、そんな」

ルダ「この世界は私たちが思っているより狭い」

メタ「いったい私はどうして生まれ、なんのために生きているのか」

ルダ「疑問を探求し、自分探しはもう疲れたよね」

メタ「とりあえず焼肉でも食べようか」

ルダ「そして、旅行の計画を立てよう、海外か国内か」

メタ「台湾でも行ってみようか」

ルダ「うん、そこで結婚式を挙げる」

メタ「誰と?」

ルダ「(メタに口づける)」

メタ「(ルダを抱きしめる)」


●院内

院内、赤子の産声、ナースに差し出された赤子を愛おしそうにうさぎが抱きしめる。


●砂浜

赤半面・青反面のワンピースを着た男がたたずんでいる。

メタの声「これ、お母さんだ」

ルダの声「男じゃない、この姿」

メタの声「ネットに代わり、これが台頭していた」

ルダの声「開けるよ」

お母さんとメタから呼ばれた男、空間を無理矢理開ける。

そこには謎空間が広がる。

お母さんは、その謎空間に飛び込む。

その様子をキーとテーロールが心配そうに見つめている。


                                            了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ