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魔法

二話目投稿できました!

◈◈◈◈◈◈◈


………結果から言うと、読み切れた。

しかも、ほぼ全部、頭に入ってる。


というわけで――魔法について、簡単に説明します。


まず、魔法は「魔力」を使って発動する。


魔力は、自分の体の中と、空気中に存在している。

……ただし、地球には空気中の魔力がないらしい。ゼロ。


そして、使えるのは体内の魔力だけ。

使い切ると、魔力をためていた「枠」が空く。すると、自動的に周囲の魔力を吸い込んで、体内に補充される仕組み。

※地球で使い切ったら、体内で回復するのを待たないといけなく、めちゃくちゃ時間がかかる。


この「体内にためられる魔力の最大量」のことを――魔力量という。


で、なんと私たちは、その魔力量がとてつもなく多い。

特に私が一番みたい。


「良かった。あなたたちはみんな頭がいいから、読み切れたわね」


お姉ちゃんは、ニッコニコの笑顔。

……私たちは、げっそり。


『面白かった。でも、天花、読むの遅い』


天音も、にこやかに言うけれど――ちょっと不満げ。

……なにこの温度差。

夏と冬、いや、赤道付近と南極ぐらい違うんですけど。


「明日は実践ね。実践の方法も、魔法の種類も、初級魔法については全部、本に書いてあったでしょう?」


……と、お姉ちゃんがさらりと、新たな爆弾を投下してきた。

明日も昼ご飯、五分で食べなきゃいけないの?

……無理……。


そのあと、夕飯を食べて、寝て、朝ご飯を食べて――いよいよ魔法の実践開始。


…………結論から言うね?

あの分厚い本に載ってた魔法、ぜんぶできた。

……信じられない。


私たちは、お姉ちゃんが夕飯を作っている間、リビングのソファで屍と化していた。


「これ、毎日……?」


お兄ちゃんが、げっそりと、魂の抜けた声でつぶやく。


「た、多分……? でも、お姉ちゃんは、私たちを守るためにやってるから。」


心愛が、ちょっと引きつった笑顔でそう言う。

……うん、優しい子。わかってる、わかってるんだけどね。


「そうだね。がんばれば、楽な生活が手に入る!」


私はそう言って、自分に言い聞かせた。


それから、お姉ちゃんは、私たちに“守りの魔法”を中心に教えてくれた。

……気づけば、一週間も学校を休んじゃった。


(でも、明日! やっと学校に行ける! 理沙ちゃんにも会える!)


『よかったね。私もついていく!』


天音がそう言って、ふわりと一回転した。


◈◈◈◈◈◈◈


「おはよう、理沙ちゃん!」


私は元気いっぱいに手を振りながら挨拶した。

ちょうど登校中に会えたのだ。


「おはよう、天ちゃん! ひさしぶり!」


「ごめんね。ちょっと病気で、休まなきゃいけなくて。」


私は、理沙ちゃんにそう返した。


「そうなんだ。お見舞いに行こうとしたら、天ちゃんのお母さんに、

“天花の病気が移ると大変だから”って言われたの。

……お菓子、おいしかった?」


理沙ちゃんが、少し心配そうに言った。

(……まじでごめんなさい。家にいませんでした。病気も嘘です。)


「ごめんね、まだ食べてないの。ちょっと気持ち悪くて食べられなくて。

あ、病気でね。」


私はなんとか誤魔化した。


『理沙ちゃん、こんにちは!』


天音は、理沙ちゃんの顔を覗き込みながら言った。

……もちろん、理沙ちゃんには、天音の姿は見えていないけど。

じっと天音を見つめていると、理沙ちゃんが言った。


「どうしたの?」


「あ、いや、なんでもないよ。ひさしぶりだな~って思ってさ。」


私は笑ってごまかした。

(あっぶな……。天音は見えないんだよね、普通の人には。)


『そうだね。気をつけてよ。――あ、先に学校行ってるね』


天音はそう言い残して、すーっと学校の方へ向かっていった。

風も音もないのに、空気がそっと動いた気がした。


そして学校に着くと、クラスの子たちが口々に声をかけてくれた。


「月城さん、ひさしぶり! 大丈夫だった?」


「体調、もう平気?」


みんな、心配してくれていたらしくて、ちょっと照れくさかった。


「大丈夫だよ。」

「今は元気。」


みんなにはそう答える。

(………罪悪感がすごい。)

もう、だんだん苦笑いしかできなくなった。


『あ、やっほ。やっときた。』


先に来て、あちこちふらふらしていたであろう天音が、声をかけてきた。

(天音が早いだけだから。あ、ちょっと中にいてくれない?)

私は天音に言った。中とは、私の意識の中だ。


『分かった。』


天音が頷き、私の中に吸い込まれていった。


「おーい、席に着け!って、月城じゃないか。元気になったのか?」


タイミングよく、先生が教室に入ってきた。


「あ、はい、元気です。」


私は慌てて答える。

やっと、普通の日常(…ちょっと違うけど)が戻ってきた。

盛大なフラグですね。

やっと十話です!

面白いと感じたら、応援よろしくお願いします!

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