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第二章:誰も弾かないソナタ - エピローグ


事件が解決した翌日の放課後。

旧視聴覚室に、合唱部の部長が、一人で訪ねてきました。俯いたままの彼女に、愛瑠来えるきさんが、静かにお茶を差し出します。


「…話してくれる気になりましたか?」


その優しい声に、彼女はぽつり、ぽつりと語り始めました。


「あの日…練習がうまくいかなくて、一人で泣いていたんです。そしたら、華娘先輩が…。『あなたの仲間を救う、面白いゲームがあるのよ』って、あのスピーカーと、やり方を教えてくれました。まるで、神様みたいに、見えました…」


彼女は、自分が犯した罪の重さと、利用されただけだったという事実に、ただ静かに涙を流しています。

人の悩みに巧みにつけこみ、善意すらも駒として利用する。華娘萌莉亜さんという少女の、悪魔のような手口が、そこにはっきりと示されていたのです。


その日の夜。執有瑠高校のどこかにある、彼らだけの「聖域」。


華娘萌莉亜(げむす、もりあ)は、今回の「饗宴」の結果が書かれた報告書に静かに目を通していた。


「愛瑠来君は、人の心を読むのは得意だけれど、その裏までは見通せない。根露君は…面白いわね、玉座に座ったまま、全てを見通そうとするなんて」


彼女は報告書を置くと、ふう、と小さく、そして退屈そうなため息をついた。


「でも…」


その視線は、窓の外、遠くに見える旧視聴覚室のあたりに向けられている。


「この程度では、写楽くんを本気で舞台に引きずり出すことはできないのね…」


その呟きは、誰に聞かせるでもない、次なる、より残酷なゲームの始まりを告げる、静かなゴングの音だった。

【第二章:誰も弾かないソナタ - 了】


美しい旋律の第二章終焉です

お付き合いいただきまして、ありがとうございました

それでは、次の幕開けをお楽しみに

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