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2話

引き続きお願いします。

 無言で2人の後に付いて行く。少しして、こじんまりとしたレトロな建物が見えてきた。

「ここよ。」

エルダさん曰く、村で唯一の宿との事だ。まぁ、村全体は広くはないかったもんなぁ。

扉が開き中に入るとカウンターに少女が座っている。店番かな? 目が合い、笑顔で手を振られたので、こちらも振り返す。そのまま、階段を上がり長めの廊下を歩く。1番奥が部屋の様だ。

「さぁ、どうぞ。」

「ありがとうございます。」

ドアを開けてもらい中に入る。意外と広い。

1部屋だから、狭いのかと思ったら、2人なら十分な広さがあった。ベットは2つあり、テーブルと椅子が人数分。そのまま、椅子に座りお茶を貰った。

「美味しい。」

一気に飲んでしまった。冷たくて美味しい。ああ、体に沁み渡る〜。なんだかんだで喉乾いてたんだなぁ。私…。そりゃそうか…はは。その後、おかわりを促されたので、有り難く頂く。

「んで? なんで、あんな所に居た?」

今まで黙っていたサルクスさんが静かに私を見ている。観察? 監視…かな? あまりいい気はしないけど、仕方ない。まぁ、怪しいもんね! 私。てか、美形の真顔ってこえぇぇ。取り敢えず、目線は、サルクスさんの後に向けとくか…。見てますよアピールは大事だし。

 貰ったお茶を飲み一息ついてから、これまでの経緯を2人に話した。…と言っても、歩いてたら穴に落ちて、気がついたらさっきの森に居たんです! って言うしか無いんだけど…。

話し終わってから残ったお茶を飲む。暫く黙る2人を改めて観察する。マントとフードで顔を隠していたが、今は部屋の中なのでフードを取っている。が、めちゃくちゃイケメン…いや、綺麗系だな。うん。黒に近い紫の髪が腰まで流れているし、切れ目だし、ちょっと薄い紫の紫陽花みたいな色だな。その上身長高い。エルダさんと並んで、いや、エルダさんも高いのか。サルクスさんと並んだらマジで親子みたいな感じになるぐらいの身長差って何?

頭一つ分ぐらいしか変わらないし。てか、エルダさんは美形って言葉が似合うんだよなぁ。光に反射してキラキラ輝く肩まである金髪と意志が強そうな琥珀色の瞳。うん。腰にあるのは刀…いや、剣かな。似合うな。サルクスさんは…魔法使いなんだろうなぁ。使ってたし。勝手に好き勝手に想像していると、サルクスさんの鋭い言葉が私の痛い所をつく。

「マヌケ」

「…ぅっ!」

「サルクス!」

「エルダ。こー言うのは、はっきり言わねぇーとわからないんだよ。」

「う、ぅぅぅ。」

わーん。おっしゃる通りです。一言がこんなにも効力があるなんて。でもまぁ、確かに足元に注意を向けてなかったのは私が悪い! でも、でもさぁ! "ながら"では、動いてなかったんだよぉ〜。だからってさぁ。ああ〜。

「サ、サルクス。仕方ないわ。きっとそれは、"転移魔法"よ。私達にはわかるけれど。そもそも、"魔法"を知らない人からしたら避けようがないわ。予想外のことよ。対応が出来ない場合もあるわ。」

エルダさーん! めっちゃ慰めてくれてる。優しさが沁みるぅぅぅぅ。

「…ちっ。だか、普通に生きてりゃ、予想外の事だって起こるだろ。今回はたまたま、俺らのお陰で死んでねぇーが。これからも''予想外"だったからって、言い訳すんのか? 死ぬぞ?」

馬鹿かよ。そう吐き捨てて私を見る。めっちゃ責められる。嘘だろ? 話しただけで…泣きそう。でも、それはそう。言い訳にして注意散漫になってたのは私や責任だ。うぅ、ちょー痛い所つかれた。

「ぅう、はい。もっと気をつけます。」

「まぁ、どうでも良いけどな。」

優しいのか、優しくないのか分からないが、心配…してくれたんだろう! うん。そーしよう。

「そ、それで、ユウヤが知りたいなはこの世界についてよね?」

「そうですけど、あんまり驚かないんですね?」

意外…てか、信じられないと思ってた。だから、非難されたり、キレられたりするのではないのかと一瞬だけ思った。

「うーん。まぁ、嘘ついてなさそうだったし、それに…。」

「それに?」 

「珍しいけど、居ないって訳じゃないから。」

「……え、え、い、いるの!? 私以外!?」

「居たわよね。」

「国にいたよな。確か…。男とお前と同じぐらいの女だった。」

 興味ねぇーから、名前とか知らねぇーけど。言いながらエルダさんが入れたお茶を飲むサルクスさん。

「へぇ〜。そんなんだぁ。」

ちょっと安心した。私以外にも居るんだ。良かった。ちょっと安心した。



少し落ち着いてからエルダさんが、この世界について教えてくれた。

最初、サルクスさんが教えてくれる雰囲気だったのに、報告書出すから無理って言われた。報告書?? 報告書って何?? そして、そのまま書き始めてしまった。お、おお。なんか、普通に紙とペンで…は!、あ、あれは! 羽ペンだ!! 書きたい! 興奮気味な私を察したのか、紅茶を入れてくれて、お菓子も準備してくれた。王都で有名なお菓子が、どう考えても、”クッキー”だ。おお、サクサクした触感と丁度いい甘さ…。”聖女”様が好きなお菓子の1つだ言われて流行っているらしい。おっと? まぁ、甘いからいいか。紅茶とクッキーを食べていると、エルダさんが、話してくれた。 

 この世界には、”魔法”があるらしい。一応確認で、ユウヤの世界にある? と聞かれたので、知識としては知ってるけど、現実には使える人は居なかったとは伝えた。 

「魔法かぁ…。」

実際見てなかったら絶対に信じられなかった…けど、1日で実感できる程の事が私の前で起こった。なら、信じるしかない…。てか、1日にしては濃密すぎる時間を過ごしてるな。私…。

「私達の世界では、”当たり前”生まれ持って存在していたの。」

この世界に生きている限りは大なり小なり”魔法”が使えるとの事。また、魔法を使うには、"魔力"つまりは、()()()()()()()が必要なんだとか。だから、命が宿ってない物には魔力がない。

「無機物?」

「そうね。机や椅子、石も。ただし、()()()()()()と簡単な命令なら可能よ。サルクス。」

「あー。丁度終わった。」

言うと、報告書の書いていた紙に手をかざすと手から()()で出る?

「あ、見える? 魔力を送ってるのよ。」

「んー。見える様で見えない…何かでて…る? って感じなんだけど。」

「ふふ。十分よ。素質あるわね。っと、そろそろね。」

「…へ?」

サルクスさんの手が離れると紙が勝手に形を変えていく。目の前で紙が一度丸くなりそこから形を変えていく。折られてる? あ、鳥になった。そのまま窓の外に出ていく。

「へぇ。”鳥”か。蝶かと思ってた。」

依頼書は蝶だったし。途中で変わったのか? と言うことは、同じ形にならないのかな?

「形って毎回変わるの?」

「そうね。難易度と金額にもよるわ。鳥だと困ってたのね。確かに、最初の依頼は害獣駆除だったのに、()()になってしまったから、難易度が上がったのかも知らないわ?」

なんでも、依頼書と報告書は特別な紙で作られているらしく、魔力を込めると難易度や金額にやって変化するとの事だ。へぇ、面白い。因みに、普通は蝶々で、次が鳥らしい。鳥にも種類があるのだと言う。

「なんか、すごいね。後、依頼書が変化するって事は道案内とかしてくれるの?」

「そうよ。始めていく場所でも迷わず行けて助かってるのよ。それに、着いたらちゃんと紙に戻るしね。」

ふふっと楽しそうに言うので、エルダさん的には良い魔法なんだろう。方向音痴の私としては、欲しい! って思う。


また、魔法には“何パターン”かあるらしい。

1つ目は、一番使える者が多い魔法。自然界の力を使った魔法だ。火・水・風・土の4種類で、大抵の人は扱え、俗に“自然魔法”と呼ばれている。精霊の力を借りる…らしい。また、他にも、雷・氷があるが、それは”自然魔法”の派生との事だ。

「もっと、()()()()()もあるの。」

「希少?」

「闇と光。これも、一応は自然魔法でもあるのよ。使い手が少なすぎて分からないのが現状ね。」

「あーなんか、分かる。」

確かに、ファンタジーの世界だったら闇と光の魔法ってレアでプレミアついてるんだろうなぁ。話を聞くが、結果…マジだった。しかも、やっぱり悪い方だった。

話を聞くに、滅多に使い手が居ない。“闇”は、破壊・消滅・呪いと言う何ともコメントしにくい魔法だった。“光”は再生・治癒・浄化が使える。現に、召喚された”聖女”様は光魔法を持っているとの事だ。

あー私は知ってる。コレ、多分、偉い人に捕まったらダメな奴だ。知ってる。だって、現に”聖女”様は王都? に居るんでしょう? ヤバいって。

「まぁ、さっきも行ったけど、”聖女”様は光魔法が使えるのよ。後は、”勇者”様についてだけど。私達は良いく知らないのよ。」

「だな。まぁ、”国”の危機に()()されたらしいけどな。」

なんだか、含みのある言い方するなサルクスさんは。もしかして嫌いなのか? 現状、2人が召喚された理由としては、”魔獣”討伐の為に呼ばれている。との事だが、多分、魔獣を裏で操っている黒幕とやらを倒す為に呼ばれたんだろう…ってサルクスさんが言ってる。あ、私のクッキー! ソレ、絶対チョコのじゃん! 

「最後の1枚だったのにぃ!」

「俺もチョコ入り好きなんだよ。てか、コレ俺のだったんだけどな?」

「え? っは! ごちそうさまでした!」

「…はぁ。ったく。エルダぁ。紅茶おかわりある?」

「あるわよ。入れるわ。」

「サンキュー。エルダの入れた紅茶はやっぱり上手いから。いつもありがとう。」

「ふふふ。どういたしまして。気に入ってくれて私も嬉しいわ。」

イチャつかれた…。クッキーを出しにイチャイチャされた。

「ラブラブだ。」

「そりゃな恋人同士なんで。…んでなんか質問あるか?」

サラッと、付き合ってる事言われたのに、質問聞かれた。うう。何処で出会いましたか! って聞くは無いかな? 馴れ初め聞きたい! いや、それはきっとエルダさんに聞いた方がいいか。なんか今聞いたら殴られそうだし。はい。すみません。何でわかったの? すっごい目で見られた。

「うーん。…あ、はい!」

何故かふんぞり返るサルクスさんに苦笑いのエルダさんはお茶を渡す。渡されたサルクスさんの顔が崩れる。めっちゃ喜んでる。てか笑顔だ。

「ん。」

顎で促された。

「え、えーと、”魔獣”って勇者様と聖女様以外にも倒せる? 私でも?」

「可能よ。大規模になるけど。ユウヤはまず”魔法”使えるか確認しないと分からないわね。」

考え込みながら答えるエルダさんに、なら私が出会った熊の魔獣って何んいれば倒せるんだ?

「お前があった魔獣なら中規模だから10~20人いれば倒せる。」

…確かに2mぐらいあったけど、あの大きさに10~20人居るのに、2人で簡単に倒したサルクスさんとエルダさんはどんだけ強いんだろう?

「なら、”魔獣”ってのは。()()()()()するの?」

質問したら溜息疲れた。ひど! 知らないんだか仕方ないじゃん!

「勝手に出る訳無いだろう。…突然変異も無くはねぇーよ。でも大体は、瘴気(しょうき)の所為だな。」

「しょう…き?」

瘴気とは、体内に魔力が溜まりそれが排出できなくなり起こりうる場合と、意図に取り込んで起こす場合。後は、魔力に何らかの刺激…例えば、闇魔法と一緒に取り込ませる。…など出来るらしい。

今回の熊の魔獣は魔力に無理やり()()を入れられたから起こった自体だと言うんだ。なんか、感染症みたいじゃね?

「か、簡単に言うと”菌”みたいなもの?」

「う、うーん。まぁ、理解はそれでいいわ。」

いや、でも、そうだよね? 生き物や植物に害を与えて、凶悪なのに変わるんでしょう? ほら発熱したら、変なテンションになるのと一緒だよね??

「成程。聖女様も勇者様も大変だなぁ。」

召喚って事は私と同じかぁ。可哀想に…いや、でも衣食住あるからいいのか? うーん。

「っと、もう1つ、胡散臭い所あるから、気い付けろよ。」

「胡散臭い?」

首をひねると、嫌そうな声がエルダさんからする。あんまりいい思い出ないのかな。

「教会ね…。今、聖女様が所属しているところよ。」

そう言って手元にある紅茶を一口のんだエルダさんの顔は少しだけ憂いを帯びていた。

エルダ 金髪の琥珀色の瞳の美人さんです。剣士

サルクス 濃い紫色のロングヘア―で 薄紫の瞳の魔法使いです。口は悪いです。 



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