僕を好きだ言ってたのに裏切った、最低の浮気女と間男を、協力者の女の子と一緒に、纏めて盛大にざまぁしてやった後の話
17作目の主人公視点の話です。
あれから少しの時間が経った。
鏡花達を断罪した直後、学校の先生方から、色々と質問された。
プリントの事を聞かれたけど、勿論僕は関知していないと伝えた。
まぁ、嘘なんだけどね。
でも、僕『は』プリントをバラ撒いていないのは事実だし、大した問題じゃあないね。
鏡花とナゴのクズカス共は処分された。
二人共停学になったんだけど、鏡花は別の学校に転入する事になった。
退学処分って訳だね。
ナゴは、三年生という事もあって、停学だけで済んだけど、大学の推薦は取り消しになったそうだ。
更に、サッカー部は退部と、全く以てざまぁな結果となった。
僕としてはまぁ、妥当だと思うよ。
何処かで、心中でもしていれば、それはそれで面白いんだろうけど、流石に騒ぎが大きくなるしね。
そうなったら、一部のバカが、僕を逆恨みするかもしれない。
全く、面倒だね。
そもそも僕は浮気された被害者だし、今回の件は、その事で話し合いをしようと思ったら、『偶然あんな写真がバラ撒かれていた』だけなんだ。
あんな写真を見せられたら、そりゃあ僕は怒るよね?
そういう話なんだよ。
ま、どうでも良いね。
大事なのは、あのクズ共が淘汰されたという結果だ。
鏡花達が消えてから、学校が随分と過ごし易くなった気がする。
周りの雑音が消えた。
そして、もう一つの事が起きた。
ボクはキノさん……いや、木乃香と付き合う事になった。
あの後、僕達は二人で打ち上げをした。
クズ共を制裁した事を祝して。
僕にとっての裏切りのカス共の片割れは、木乃香にとっても仇の様なものだったからね。
復讐を遂げた僕達が……お互いに惹かれ合っていた僕達が、付き合う事になるのは当然だろう。
木乃香は、学校ではこれまで地味な格好をしていたけど、僕がイメチェンした日から、僕に合わせて綺麗に着飾る様にしていた。
僕もそうだが、彼女も結構注目されたらしい。
尤も、僕と直ぐ付き合うようになったんだから、彼女に見惚れていたバカな男達には、残念だったねと言っておこう。
鬱陶しい鏡花が消え、代わりにこの子が僕の隣に立つ事になった。
鏡花ほど積極的に会う訳じゃあ無いけど、逆に僕としては適度な距離感が合って良いね。
本当……あの裏切り者は、四六時中僕に付き纏っていたね。
暫くの間は、僕も木乃香も楽しい学園生活を送れていた。
密かに育まれていた僕達の絆が、より深い物になる事もあった。
フフ、詳細は敢えて語らないでおこうか。
僕達は、青春を謳歌していた。
だけど、熱に浮かされていた日々も、それなりに時間が経てば落ち着いて来る。
そうなると、違和感を覚える事も出て来るものだ。
周囲の雑音は以前ほどは無い。
まぁ、木乃香みたいな美人な彼女を持つ、僕に対してのやっかみの声はあるよ?
そうでは無くて、何だか周りが僕達への接触を拒んでいる様な感じなんだ。
実際木乃香も、以前は良く話していた友達と、あまり喋らない様になった。
何だか、避けられてる様だってさ。
どうせ、僕と付き合う様になった木乃香への嫉妬だろうね。
木乃香は凄く綺麗になったし、僕だって中々にイケメンだろ?
そんな僕達に嫉妬しているだけさ。
木乃香も、僕同様あまり友人には恵まれない様だ。
ああ、友人と言えば、彼がいたね。
最近は全然顔を会わせていないし、偶には会ってあげようかな?
そう思った僕は、放課後彼に会に行った。
ま、図書館にいる木乃香に会うついでだけどね。
「……久しぶりだな。何か用でもあるんか?」
特に用は無いね。
ただ、ちょっと顔を見に来ただけさ。
そう言おうと思ったら、
「無いならもう、行って良いか?」
と、随分と素っ気ない態度だった。
「……随分な態度だね? 付き合いが悪いんじゃあ無いかい?」
「はぁ? 付き合いが悪いだぁ? 別に良いだろ、こっちにも色々と予定があるんだよ。悪いけど、他を当たってくれない?」
どうにも余所余所しい態度だね。
他もそうだけど、何でこんな事をするんだろうか?
そう伝えると、
「あん? 他の皆も余所余所しいだって? そりゃ、そーだろ。あんな事やれば、誰だって距離を置きたくなるわ。俺だってそうだよ。もう、お前とは関わりたくないんだよ、色んな意味でな!」
などと言って来る。
「……冷たい事を言うね。君は以前は、そうじゃあ無かったと思うんだけど?」
あんな事? 鏡花達への制裁かな?
あれは当然の行為でしょ!
「冷たい? 以前はそうじゃなかった? だからさぁ、あんだけの事をしたお前と、前みたいにいられる訳ねーだろ!?」
「だから、どうしてそうなるのさ!」
「はぁ……マジで分かってないのか? 自分のやらかしを? そんなんだから、お前……はぁ……。」
呆れたような口調の友人だけど、呆れたくなるのは僕の方だよ!
「分かったよ……昔馴染みの誼で、ちゃんと説明してやるよ。どうしてこうなったかをな」
理由を話してくれるそうだ。
一々恩着せがましいけど!
彼は少し、考えている様だ。
「……黙ってないで、早く話してくれないかな? どうしてこうなっているのかを!」
僕に無断な時間を浪費させないでくれないか?
全く、あんまり木乃香を待たせたく無いんだけど?
「焦んなよ、これからちゃんと話してやるよ、『坐間 健斗』」
友人は、何故か僕をフルネームで呼んだ。
そこから先の説明とやらは、腹立たしい事ばかりだ。
要は、僕の鏡花達に対する復讐が、やり過ぎだったという話だ。
やり過ぎも何も、アレくらいされて当然だろうに!
そんな事も分からないのか?
それに鏡花達の処分は妥当だ!
あんな事をしたんだからね!
僕は反論する。
「裏切ったのは鏡花達だ! 制裁は当然でしょ! というか、アレくらい普通じゃあないか!」
「はぁ? アレくらい普通? お前、何か悪い物語の影響受け過ぎじゃね?」
何を言ってるんだという友人の言葉に、僕の方が呆気に取られる。
「あそこまで大事にして、大勢巻き込んで、向こうに非があるにしても、社会的に追い詰めすぎだろ。正直ドン引きだわ。人をああやって追い詰めるお前によ!」
「そんな事、ある訳が……それに……」
大事にしなければ制裁に……僕の復讐にはならないだろ!
悪いのはアイツらだ! 僕は当然の事をしたまでだ!
「周りもそう思ってるんだよ。だから、お前等は孤立してんの。浮気した方が悪いって事を、皆分かった上でお前等の所業にドン引きしてんだ、分かれよ!」
周りもそう思ってるだって?
ただの無関係で無理解な外野のバカ共の考えなんて、知った事か!
悪い事をしたヤツらを制裁して、なんでドン引きなんかするんだよ!
「……それにな、今にしてみれば、お前の方にも問題あったんじゃねーかって、皆思い始めているんだよ」
「何を言ってるんだ! 僕に問題? 言い掛かりも甚だしいよ! 何故そうなるんだ!」
「あ? 何故かって? あのさ、お前さ……鏡花が浮気するまで、お前は何してたんだ? 言ってみろよ、自分がして来た事を」
「何って……僕はサプライズの為にバイトしてあげただろ? 君の言ってる事が分からない。僕に何の問題があるって言うんだ!」
「ああ? 分からない? お前、マジで言ってるのか? ホント……お前……」
心底呆れた様な友人。
何なんだ? コイツは……。
呆れたいのは僕の方だよ。
「それ、止めてくれない? その、呆れた態度をさ!」
「呆れたくもなるよ、お前は本当にどうしようもないな……。今までよく俺は、お前と友達なんかやってられたよ」
ふざけた事を言う。
それは寧ろ、此方の台詞だよ!
「何でそんな事を言うんだ!? 本当に意味が分からない!」
「あん? 何でそんな事を言うんだ、だ? そりゃそうだろ。お前のそういう所に、本当に愛想が尽きたんだよ」
「はぁ? だからどうして、そうなるんだよ!?」
普通、愛想が尽きるのは僕の方だろう!
「ああ、分かってるよ、ちゃんと説明してやる。もう、これっきりだからな」
そう言って、元友人は語りだす。
鏡花と付き合う様になった僕の事を。
悩んでいるとは言うけど、周囲の無理解が鬱陶しいだけで、別に僕自身に悩みなんて無い。
既にズレてるんだよ。
周りがギャアギャア騒いでいた時、確かに君は何かやっていたようだけど、全然力になっていないよね?
フォローしていた? あれで? 役に立ってない癖に、良くもまぁ偉そうに言えるね。
鏡花が僕を支えるのは当たり前だろ? 僕達は付き合っていたんだからね。
「で、お前は何をしてたんだ? 鏡花と少しでも釣り合いが取れるよう、勉強や運動を頑張ったか?」
……する必要なんかないだろ。
なんで僕が態々やらなけりゃならないんだ?
「してねーよな?」
「格好だけでも良くしようと努力したか? してねーよな?」
当時は別にファッションなんて興味なかったからね。
面倒臭いし。
「鏡花と釣り合いが取れない事に悩んで、俺に相談するのは良いけどよ、俺なりに頭使って考えたアドバイスを、一個でも実践したか? してねーよな?」
悩んでいたのは周囲の雑音に対してだよ。
勝手に僕の事を分かった気になるなよ。
傲慢なヤツだな。
それにアドバイス? あの程度で何か良い事を言っていたつもりかい?
本当、低レベル過ぎて呆れるよ。
「お前、本ッッッ当ッッッに、何もしなかったよなッッッ!!!!」
「ッ!?」
いきなり激昂した彼に、僕は驚いた。
今まで見た事の無い彼の姿に、流石の僕も引き気味だ。
「……ああ、わりいな。ちょっと感情的になった」
そう言って気を取り直した友人は、小言を洩らす。
まぁ、結局僕がちゃんとしてないから周りが五月蠅いんだとか、その度に鏡花がフォローしていたとか、どうでも良い話だ。
そして、ボソっと、
「……今にして思えば、鏡花の言う、お前の良い所、一つも当て嵌まってねーわ」
何かを言っていたけど、聞き取れなかった。
「……なんだって?」
「あ? 何でもねーよ」
その後、サプライズプレゼントの件を責められた。
確かに、あのことが無ければ、鏡花が浮気する事は無かったかもしれない。
でも、そのお陰で木乃香に会えたんだから、あれが間違いだったとは言われたくない。
そこであのナゴとかいう腐れ間男の話が出た。
コイツは随分高評価だけど、僕からすれば、最低最悪のゲロカスだ!
あんなのを褒めるコイツの感性が信じられないよ。
そして、
「お前とは大違いだな」
何て言って来る。
これには流石に僕も頭に来た。
「……睨むなよ、俺は事実を言ってるまでだ」
本当にふざけた事を……頭がおかしいんじゃあないか?
「幼馴染な事と、鏡花曰く、優しい事くらいしか当時のお前に取り得なんて無かっただろ? その優しさすらも怪しいがな」
その上僕を馬鹿にするような事まで……!
コイツ程度が、良くも上から目線で僕に文句を付けられるな!
その後も散々だった。
鏡花を放置したから寝取られるとか、僕のサプライズ計画自体を貶し、挙句の果てに、僕の鏡花の為にしてあげるっていう気持ちを、ただの自己満足だと切って捨てたのだ。
更に普段やらない癖に、変にやる気を出して空回りしたバカだと、僕を断じたのだ。
「ふざけた事をいうなぁ! 僕をバカだと言うが! そっちだって大概のバカだろ!」
頭に血が上って、僕も一瞬バカになってしまったようだ。
我ながら下手な返しだった。
「ふん、そうだな。お前の言う事を律義に聞いていた、俺も同様にバカだったわ」
そう吐き捨てていた。
その後に鏡花の浮気と破局の話になり、僕が落ち込んでいたという話があった。
あの時の僕は復讐に燃えていただけなんだけどね。
それに気付いて無いんだから、彼はやっぱり頭が悪い。
鏡花との事で励ましていたと言うけど、僕の心には全く届いていなかったね。
僕は復讐しか考えていなかったし。
そもそも、僕の心に届いていなんじゃあ、励ましも何もあったもんじゃない。
あの時に僕に必要だったのは、復讐する為の方法だよ。
やっぱり彼は、何も分かっていない。
そして僕の復讐について言及があった。
まぁ、それも『やり過ぎだ』と言う、実に下らない主張だったけど。
僕を裏切ったんだから、アレくらいはされて当然なんだよ!
大騒ぎになったからって、それがどうしたって話だ。
ただ、木乃香の事を言われた時は、ドキリとした。
「そんでお前は何故か鏡花並みに美人の女の子連れて、鏡花達を断罪してるんだから、マジで混乱したよ」
この言葉に、一瞬焦る。
あの時点では僕達の繋がりは誰も知らなかったハズ。
写真のバラ撒きは僕はやっていない。
やっていたら、流石に僕までも悪者にされるから、あれは木乃香が担当し、僕は偶々ホテルの写真を見てしまって、それで鏡花達を責めたという筋書きだった。
疑うヤツらはいるだろうけど、僕はやっていない以上は、有耶無耶になる。
拙い……。
そう思っていたが、それは杞憂だった。
それ以上の追及が無かったので、安心した。
その後は鏡花達を罵倒する僕の事をサイテーだとか抜かしたり、言いたい放題だった。
言い返してやりたいけど、変に話を長引かせて、プリントのバラ撒きの件を、木乃香と絡められるのは拙い為、僕は黙っていた。
そして木乃香と付き合う事になった事を言われたけど、それは単なる嫉妬の様な、どうでも良い話だった。
ただ、木乃香と付き合うんだから、鏡花達に復讐する意味は無いように言われたのは、カチンと来る。
あの裏切り共を制裁しなければ、僕の気が晴れないんだよ!
木乃香と付き合うからって、払拭出来る訳無いだろ!
アイツらは、地獄に落とされるべきなんだよ!
で、復讐をやり遂げた僕が、木乃香と付き合うようになった事に嫉妬するバカ共が、大量に沸いているとの事だ。
結論を言うと、普段の僕の態度が浮気に繋がり、ヤツらから見て過剰な復讐をして、そして木乃香の様な彼女を手に入れたから、今の状況になっているそうだ。
全く以て不愉快だ。
浮気した方が悪いんだから、復讐されるのは当たり前だ! それに木乃香の件は完全な嫉妬じゃあないか!
本当にバカバカしい!
そんな極めてどうでもいい、本当にバカとしか思えない理由で、僕達を爪弾きにするとか、全員頭がおかしいよ!
さっさと殺処分されて、来世はミミズからでもやり直せ!
そして目の前の友人……いや、元だね。
目の前の元友人面のカスゴミは、僕と金輪際顔を会わせたくないときたもんだ!
あーあ、別にいいよ。
僕だってサル未満のカスゴミなんかと付き合えないね。
こっち迄ランクが落ちちゃうよ。
「……もう良いか? 俺的には丁寧にしっかりと説明してやったんだ。今後はもう、声を掛けんなよ? じゃーな」
言うだけ言って、カスゴミはどっかへ行った。
「……ッ!」
ああああ! 腹が立つ!
なんであんなカスゴミに良い様に言われてるんだ!?
信じられない理不尽だ!
下手に話が長引いて、木乃香が写真のバラ撒きに関与していた事が万が一でも、バレない様に黙っていたら、言いたい放題だった!
本当にムカツク!
カスゴミの分際で!
何にも分かっていない、役立たずのカスゴミが! よくも僕に対してあんなに偉そうに言えたものだよ!
大したものさ! 本当にッ!
ああ、イライラする!
会って損した!
言われなくともこっちから縁を切ってやるよ!
クソクソクソ!
苛立ちながら、僕は図書館へと向かう。
僕には木乃香しかいない。
木乃香にも、僕しかいないだろう。
別に良いさ。
まともな思考も出来ない、バカ共の檻の中で、唯一僕達だけが、正常なだけだ。
そう思えば別に、ね。
それでも不快感があるからね。
今日は、この後、木乃香とタップリ楽しむとするか!
外野のバカ共が、憤死するくらいによろしくやってやるよ!
ありがとうございました。
評価を頂けると嬉しいです。
また、感想や誤字脱字報告もして頂けると嬉しいです。