真実
流石にこのタイミングの訪問は、心臓に悪い。
実家とはいえ、母がグループホームに入った今、家には自分しかいない。
回覧板でも届いたのかとインターフォンのモニタに目を向けると――
「!?」
そこには、バッツィーの姿が映っていた。
目のあるべき場所は落ちくぼんで空洞になっており、赤い血をだらだらと流している。
目だけではない。
鼻からも、耳からも、口からも血が零れている。
なんだ。
なんだこれは。
アイツは死んだはずだ。
いや、仮に助かったとしても、こんなところにいるはずがない。
誰かのいたずらか。
いや、あり得ない。俺がこの動画を観ているなんて誰も知らない。
何だ。何が起きている。幻覚か。
「お前……だろ……」
「!!」
応答ボタンを押していないのに、声が聞こえて来る。
そんなはずはない。あり得ない。
やはり、幻覚だ。そうに違いない。
罪の意識が、俺に幻覚を見せているんだ。
「お前が書いたんだろ……?」
「違う!! 俺じゃない!!」
「ウソをつくなァ!!!!!!!」
玄関のドアが激しく叩かれる音がした。
まるで車が激突したかのような衝撃で、家自体が震える。
その勢いで、自室のドアが開き、玄関まではっきり見えた。
何かが、玄関のドアへ狂ったように、ぶつかり続けている。
「石噛地蔵の事を書き込んだのは俺じゃない!!!」
「違うだろ。お前が書いたのは、石噛地蔵のWikiだろ!!!!!」
「!!??」