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天才と脳筋は紙一重  作者: たんすちゃん
《第三章》-王立学園編-
51/100

51.英雄研究会!

「失礼しまーす! 見学に来ましたー……?」

「お邪魔する……わ?」

 ルナ達が教室に入ると、中には四人の生徒が神妙な顔で机を囲んでいた。異様な光景に思わず二人は言葉を詰まらせる。すると入ってきた二人に気づいた一人の男子生徒がこちらに顔を向け、声をかけてくる。


「ようこそ、我らが神話研究会へ。私は会長のアラードという者だ。見学といわず、まずは席に座って参加してくれたまえ」

「は……はぁ……?」

 アラードは思慮深そうな話し方で挨拶し、机に座るよう促す。困惑しつつも会長に促されるままに席についたルナとマナ。何が始まるのかと思えば、重い空気で見つめ合っていた教室には言葉が交わされ始める。


「では人数も揃ったところで、今日の活動を始めよう。今回は見学の者もいるが、こんなところに見学に来るような生徒だ。神話については多少聞き齧っているのだろう。

 まずは触りの部分として、王道の『九つの世界』についてクイズ形式で話そうか。君たちも自由に答えてくれて構わない……答えられるならね」

「……!」

 会長はルナ達が見学しに来ているということもあり、気を使ってか分かりやすくクイズ形式で語ることにしたらしい。九つの世界……それはいつかマナが夜に話してくれた神話の一つ。そしてマナが一番好きな話でもある。

 九つの世界と聞いた瞬間、教室内の空気が変わり、皆集中して頭を働かせていた。マナも自分の好きな神話がいきなり話題に上がったため、ピクッと反応していた。ルナには分からないが、その手の趣味の者にとっては定番のものなのだろう。

 そして会長が口を開いた瞬間、静かに話を聞いていた生徒達の様子は一変し、張り詰めた空気が漂い始める。


「1問目。――神々が暮らすとされる九つの世界。そこに繋がる神樹の名ま――」

「ユグドラシル!!」

 次の瞬間、会長が最初の問題を読み上げている最中だというのに一瞬で答えを告げる一人の生徒。クイズは早答え方式で、最初に答えを言った者の勝利となる。しかしその速度はあまりにも早く、ルナは思っていたよりも数倍の速度で展開が進んだことで、答えが出たにも関わらず未だに理解が遅れていた。


(早い……!?)

(え? もう答えでたの? まだ問題文すらよく分かってないんだけど……)

 神話が好きなマナでさえ、圧倒するほどの速度。マナは驚愕を隠せない様子だった。そしてそこからの展開も変わらず速さを維持したまま進み、ルナたちは何も出来ないまま、先輩生徒達によって次々と解答が出されていく。


「我々が住むこの大地の名は……」

「ミッドガルド!」


「巨人たちが住む国」

「ヨツンヘイムだ!」


「アスガルドとヴァナヘイムの戦争は――」

「引き分け、対立した」


………


「先輩たち早すぎるよ!」

 何問かの出題を経て、ルナはようやく先輩達の異常さに気づき、文句を垂れる。神話はマナから聞かされているため、少しなら分かるが、まさかここまで知識量に差があるとは思いもしなかった。

 そんなルナは、フッ……と先輩たちに小さく笑われてしまう。見学者にも容赦はしないのがこの研究会のやり方なのだろう。……しかし、ぷんぷんと理不尽な仕打ちに文句を垂れているのはルナだけで、マナは依然集中した顔をしていた。次の問題を静かに待っているのだ。――そして、流れはそこから変わる。


「7問目。この世界で最も下層に位置する国は――」

 会長が次の問題を読み上げた時、マナはようやく動き出す。


「死者の国、ヘルヘイムよ!」

「……正解だ。中々やるな」

 7問目にしてようやく正解を勝ち取ったマナ。相変わらずルナの頭の上にはハテナが浮かんでいたが、どうやらマナはこの速さでの思考展開に慣れてきたようであった。

 そしてそこからはついに同じ土俵に立ったマナの猛追が始まった。8問目、9問目と連続で早答えに成功していき、10問目までもをマナが正解した。流石に4連続正解には先輩達も驚いたようで、感心通り越してその表情を大きく崩していた。

 知識量だけでいえば、マナは先輩達と同等か、それ以上なのだ。まだ早答えのクイズ形式に慣れていなかっただけ。それが7問のクイズを経て、克服した。すでにマナに負ける要素はなかった。

 ……しかし、ここまでマナの猛攻が続いたのはお題が九つの世界についてのクイズだったからだ。マナが最も好む神話がお題であれば、クイズに慣れれば確かに追いつくことも可能だろう。そう思った会長はお題を変えることにする。少し意地悪だが、仕方ない。先輩にも面目というものがあるのである。


「……10問目となれば節目、お題を変えよう。……11問目。神界では全能神と言われ、ミッドガルドでは勇者ともされる――」

(……これって!)

 お題が変わってから最初のクイズ。会長が読み上げた問題はルナには聞き覚えがあった。それはルナが最も好きな冒険譚に出てくる主人公の名前――。


「ゼウス!」

「「「ああああああっ!!」」」

「……あら」

 その問題は全能神ゼウス、そして勇者ゼウスの冒険譚。マナから聞かされた神話と、ルナが好きな冒険譚の主人公が答えであった。思わぬ方向からの刺客の登場に、思わず先輩生徒達は声をあげて悔しがる。マナもルナが正解出来るとは思ってもいなかったようで、少し驚いたような顔をしていた。

 そして予想外の展開に一同は驚きつつも、最後の問題へと駒は進む。が……。


「終末の戦争――」

「ラグナロクね!」

 なんと過去最速の一言にして解答を告げるマナ。これには会長も驚いたような顔を隠せていなかった。そしてやれやれと言った様子で小さく笑い、お手上げのポーズを見せる。


「……フッ、参った。今回はこの辺りにしておこう。まさか初めて見学に来た一年に負けるとはな……それも理不尽とも言える初見殺しに対応してくるとは」

 唐突に始まった神話クイズ勝負はマナの勝利で終わった。ルナは周りの速度と知識についていけず、1問しか正解出来なかったが、一番好きなお題で正解を取れたことに満足しているようだった。

 会長は後半から凄まじい順応力と知識量を見せたマナと、最後まで諦めずに最も得意な問題で答えをもぎ取ったルナを称賛し、そこで今日の活動の終わりを告げる。

 そして見学者であるルナ達に改めて説明を始める。


「今参加してもらったように、我々は互いに神話関係における知識の競い合いをしたり、今の時代まで文書などに残されている神話について語り合ったり、新たな発見を求めたりするのがこの研究会の主な活動だ。簡単にいえば、神話が好きな者や語り合いたい者の集いと言えるだろうな。

 どうだ? 気に入ってくれたのなら入会してみるのも一つの手だぞ? 我々も語らい合う仲間が増えるのは歓迎だ」

 ……と、神話研究会の活動はそういったものらしい。ルナは神話については詳しくないし、そういった話を覚えられたのはゼウスの冒険譚くらいなもので、あまり向いていないように思えた。

 しかし、自分には合っていないように思えるが、隣のマナには合っているように感じた。マナはいつも『エクリプス』のメンバーに夜な夜な神話を聞かせようとうずうずしている様子だったし、語り合う仲間ができればマナも満たされるだろう。


「私はそういうの面白いとは思うけど、覚えるのって苦手だからやめておきます! 元々マナちゃんの付き添いで来たみたいなとこあるし! でも、マナちゃんはどう?」

「……そうね。確かに今まで対等に趣味を話せる相手っていなかったかも。せっかくだし入ってみようかしら……!」

 ルナははっきりと会長に断った後、マナに話を振る。苦手なものは苦手だ。ルナはここまでも少し興味はあったが、ピンと来ないものばかりだった。今回も同じ感覚だ。ルナはそういった自分の感覚を大事にしている。故に今回は面白かったが、断ることにしたのである。

 話を振られたマナは、やはり語り合う仲間が欲しかったらしく、前向きに考えた末、入ることに決めたようだ。


「そうか。では早速手続きをしよう。入会のための書類を持ってくるから少し待っていてくれ」


_


「……ありがと、ルナ。私だけだったらあのまま悩み続けてたかもしれないわ」

 入会の手続きを終えたマナは、廊下に出て教室の前で話していた。ルナも見学に参加するという形で背中を押されたおかげでマナも踏み出す勇気を得たのだ。神話が好きなマナにとって、対等に話せる仲間というのは今までいなかったため、ここに来て正解だった。故にマナは照れくさそうに頬をかきながら素直に礼を告げる。


「貴女はどうするの? まだどこに入るか決めてないのよね? まぁ、無理に入る必要もないんだろうけど」

「まだいくつか候補はあるみたいだし、ピンと来るとこがあるまでは見て回ろうかなって。それでも良さげなのがなかったら、残念だけど諦めるよ」

 マナに訊ねられるが、まだ研究会や同好会はいくつか候補が残っている。それらを見てから考えることにしたルナはここでは決めず、自分の感覚に頼ることにした。学園生活を最大限楽しみたいルナにとって、こういったものには参加しておきたいのが本音だが、どうしても良いところがなければ無理に入ろうとは考えていなかった。

 研究会は来る頻度は自由らしく、マナは入会こそしたが今日はここで戻ることにしたらしい。彼女にも色々とあるのだろう。ルームメイトとの付き合いだとか、クラスメイトとの付き合いだとか。

 ルナもそういったことには気を使っていかなければならない。学園生活を楽しむのであるならば。まぁ、今のところはニーシャとも上手くやっていると思うし、問題はないはずだ。そしてルナ達はそこで別れ、ルナは見学の続きをするため、次の教室へと向かった。


_

_

_


「英雄……研究会?」

 マナと別れてから、いくつかの同好会や研究会を巡ったルナが辿り着いたのは英雄研究会と書かれた教室。研究会と名を語る会合は、そのほとんどが趣味の集まりで、何を研究しているのやら分からないものばかりだった。この英雄研究会とやらも同じで、名前からはいまいち活動内容が想像しにくい。

 何はともあれ、ここまで片っ端から見学して回ってきたのだから入らない手はない。そう思ったルナは教室の戸に手をかける。


「たのもー!」


ガラッ!


 勢いよく戸を開けて教室に入ると、中には四人の男生徒達が机を囲んでこちらを注目していた。


「なんだなんだ、道場破りか?」

「見学です!」

 教室に入るなり、席を立って出迎えてくれたのは筋肉が非常に鍛えられて発達しているムキムキの生徒。筋トレが趣味のルナからみてもその鍛えられ方は凄まじいものに感じた。

 筋肉先輩の後ろにいるのは痩せ細ってヒョロヒョロに見える生徒と菓子を頬張っている腹が出た生徒、そして眼鏡をカチャカチャと忙しく触り続けている生徒。制服からして精霊寮……恐らく全員先輩だろう。

 すると眼鏡の生徒が立ち上がり、ずっと眼鏡を触りながらも自分と他の生徒達の紹介を始める。彼がこの研究会の代表なのだろうか?


「け、見学の子か。英雄研究会へようこそ! 僕はこの研究会の会長、メガネと呼んでくれ。僕たちはお互いにあだ名で呼び合っていてね……そこのマッチョがキンニク、痩せているのがヒョロガリ、太っているのがハラデカだ。君の名前は?」

 眼鏡を掛けた先輩……メガネ会長は順に会員の紹介をしていく。筋肉が凄いからキンニク先輩、ひょろひょろで痩せているからヒョロガリ先輩、食べすぎでお腹が出ているからハラデカ先輩……とまぁ、あだ名にしてはなんともネーミングセンスが疑われる呼び方をしているのがこの研究会らしい。……このあだ名を考えているのは一体誰なのだろうか。


「ルナ・アイギス、精霊寮の一年生です!」

「おお、精霊寮か! 奇遇だね、僕たちも全員精霊寮なんだ。そうだな……君のあだ名はミニマムでどうだろう?」

「誰がミニマムか! ルナでいいです!」

 名を訊ねられたルナは答えるが、急に理不尽なあだ名を決められそうになり必死に否定する。この様子から見るに、彼らの壊滅的なあだ名を決めていたのはメガネ会長らしい。危うくルナのあだ名がミニマム(チビ)になるところであった。

 この研究会のメンバーは全員精霊寮の生徒で、メガネ会長とキンニク先輩が三年生、ヒョロガリ先輩とハラデカ先輩が二年生だという。

 ルナがここは何をする研究会なのか訊ねると、メガネ会長は快く答えてくれた。


「世に知られる英雄から影で活躍している英雄、今は亡き英雄から今も尚存命している英雄などまで、自他国問わず数多の英雄たちを調べ上げ、語り合い、後世に語り継ぐ! それが僕たち英雄研究会の活動さ!」

「へぇ……! 英雄って本とかに書かれてる凄い人達のことだよね! 勇者ゼウスとか!」

 英雄研究会の活動内容を聞いたルナはビビッと来る。話を聞いて今までで一番面白そうに思ったのだ。英雄といえば、アーレス学園の学園長、アレスもデュランダル王国が誇る英雄の一人だ。今も存命している英雄と言われる部類だろう。

 それとアロンダイトの一件の時に話したオルランド聖騎士団団長のオリヴィア。彼女も過去に王国に襲来した竜を退けた実績があると聞いた。間違いなく英雄と呼ばれるに相応しい人物だ。


(あと、クロエくんの刀に憑いてるアルキュオネウスさんも今は亡き英雄……になるのかな? 本に残ってるくらい凄い人ってクロエくんも言ってたし!)

 クロエの刀に憑いているアルも、昔は剣豪として名を馳せた人物。そしてそのライバルであるヘラクレスも同じく有名な猛者。今ではどちらも死んでしまっているが、二人も間違いなく英雄だろう。尤も、アルは過去の不幸の影響によって今残されている文書では『戦いから逃げた臆病者』などと散々な言われようだが。


「勇者ゼウス……神話の部類とも言われているが、実在した人物という説もある。彼についての著書が残されたのは数十年前、割と最近のことだが、逆に信憑性が薄い。神話好きな誰かが作った物語とも言える。何故かゼウスを知る者は見つかっていないからね。

 だが! 僕はそんな伝説上の人物とも言えるゼウスこそ、本当に実在した英雄だと思う! 時代背景から見るに、ゼウスの冒険譚が史実に起きた話であるのならば、彼は未だ存命の可能性が高い! ロマンがあるだろう!?」

 ルナに話を振られたメガネ会長はやや興奮気味に話す。彼もルナと同じで勇者ゼウスの冒険譚をよく知っている者らしい。……いや、英雄研究会と名乗る者達の会長ともあれば、様々な英雄譚について詳しく、熱があるのかもしれない。

 熱烈に語り出すメガネ会長を見たルナは、英雄研究会の片鱗を見た気がした。他のメンバーもこれほどまでに熱く語るのだろうか……。


「あ、ぼくはメガネくん達と仲がいいから参加してるだけで、英雄について彼ほどオタクじゃないよ。というかメガネくんだけだね、いろんな英雄譚に詳しいのって」

 そんなことを考えていると、太っている生徒……ハラデカ先輩が菓子を食べながら解説してくれた。どうやら会長は色々な英雄について詳しいらしいが、ヒョロガリ先輩やキンニク先輩は特定の英雄について詳しいという。ルナのように好きな英雄にだけ特化した知識を持っているということだろう。

 そしてそれを話す当のハラデカ先輩はというと、別に英雄について詳しいわけでも、オタクなわけでもないらしく、ただ友人のよしみでこの研究会に在籍しているらしい。温厚そうに見えるハラデカ先輩は見た目通り懐も広いようだ。


「な、なるほど……」

「ぼくにもぼくなりの役目があるんだけどね! 見ての通り、ぼくは食べることが好きなんだけど、食の場では色々な話が聞けるんだ。それこそ、他国の英雄の話とか、あまり聞けない有名人の話とかね」

 ハラデカ先輩は食の場での情報収集を、メガネ会長は持ち前の頭脳で難読文書などから、ヒョロガリ先輩は繊細な動きや身軽さが取り柄らしく他のメンバーには難しい範囲からの情報収集……危険そうな雰囲気の場所や荒くれ者など武力に長けた者でないと不安な場などからだろう。そしてキンニク先輩は……。


「俺は情報収集は無理だ! 己の筋肉を鍛えることに勤しんでいるからな! 英雄は好きだが!」

 ……キンニク先輩は情報収集は無理だそうだ。とまぁ、それぞれメンバーごとに役割があるのだ。彼らは情報収集能力の高さを利用して、様々な方面から英雄についての情報を得ているらしい。

 聞けばメガネ会長は英雄なら何でも、ハラデカ先輩は特になし、キンニク先輩は英雄ヘラクレスの、ヒョロガリ先輩は他国のアキレウスという英雄のファンだという。そしてルナは勇者ゼウスのファンである。


「ところでルナよ! お前はもう学園に建てられている英雄ヘラクレスの像は見たか!?」

「え? そんな像があるんですか?」

 唐突にキンニク先輩から切り出されたヘラクレスの像についての質問。そんなものがあるとは知らなかった。学園の校舎内はすでにかなり見て回ったが、外はまだあまり見ていないのだ。その熱量は凄まじく、彼がヘラクレスの熱烈なファンということがよくわかった。


「あの鍛え上げられた筋肉……! 猛々しい戦歴の数々! 彼ほど英雄の名に相応しい男はいないぞ!!」

「そんなに凄い人なんだ……あとで見に行ってみようかな?」

 最初のメガネ会長に負けず劣らずの熱量で先輩に強くおすすめされたルナは後ほどヘラクレス像を見に行ってみることにする。訂正だが、キンニク先輩は情報収集は無理……ではなく、英雄ヘラクレスについてだけは異様に詳しいようだ。

 普通の人間からすれば過去の偉人や有名人にここまで熱くなれるのは中々奇妙に見えるかもしれないが、ルナも()()()()の人間なので特に何も思わなかった。彼らの勢いに少し圧倒されはしたが。


(あれ? ここ、ちょっと面白いかも……)

 ルナは話しているうちに、自分の中の直感が『ここはいいかも』と告げていることに気づく。ここまでいくつもの研究会、同好会、愛好会を巡ってきたが、今回が一番の反応だ。

 先程神話研究会で出会ったマナのように、ルナも語り合う仲間がほしいとどこかで思っていたのかもしれない。ルナが好きなのは無論、勇者ゼウスの冒険譚だが、メガネ会長やキンニク先輩の話を聞くにつれて、他の英雄たちについても興味が出てきた。

 そんなルナの背中を押すように、メガネ会長が入会するかどうか訊ねてくる。


「ルナくん、君は勇者ゼウスの冒険譚が好きなんだろう? 僕も好きさ! ゼウスの冒険譚には色々謎が多くて興味深いしね。

 どうかな、君も英雄が好きなら入ってみないか? 語り合う仲間が増えるのは歓迎だ! 是非君とも話してみたい」

「その、さっき言ってた勇者ゼウスが存命の可能性って、研究会に入ったら詳しく教えてもらえますか? 気になってて……」

 メガネ会長はルナのことを勧誘してくるが、ルナは前向きに考えつつも一つ気になっていたことを訊ねる。先程メガネ会長が言っていた勇者ゼウスの冒険譚についてのことだ。

 ルナはゼウスの冒険譚の熱烈なファンである。そんなゼウスが生きている可能性を見出したメガネ会長には詳しく聞いてみたいことがあったのだ。彼らの情報収集能力が高いことは最初の説明で理解している。ならば、ルナが気になっていることの情報も持っている可能性が高い。

 それに、ルナは疑問を解消したいのもあるが、純粋に彼らと話してみて楽しいと思ったのもあった。故に交換条件のような形で訊ねたのである。


「うん? そんなことでいいのなら喜んで協力するが……まだ確証はないからね。君が入ってくれるのならゼウスの所在について積極的に調べてみることにしようか!」

 ルナに訊ねられたメガネ会長が他のメンバーに『それでいいかい?』と訊ねると、会長以外の三人は頷く。彼らもルナのための情報収集には前向きに協力してくれるつもりらしい。

 ならばルナが断る理由もない。対等以上に好きな話で語り合える同志、そして大ファンの英雄についての情報を得られる可能性があるのだ。ルナは二つ返事で了承した。


「ほんと!? じゃあ入ります!これからお願いします!!」

「ああ! よろしくね、ルナくん!」


 そうしてルナは入会の手続きを終え、無事英雄研究会に所属することに決まったのであった……。


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