マリア!!発進!!
勝船長は、さらに派遣社員の若者達の頭を撃ち抜き、頭の中から這い出た蛆虫星人達を焼き殺した。
残った派遣社員は松本を含めてわずか数人となった。
松本「派遣社員のほとんどが蛆虫星人だったなんて。」
死体を避けながら派遣会社ワイルドの社員・伊藤が松本の側にやって来た。
伊藤「勝艦長のかけているサングラスは、人間の体内に寄生している蛆虫星人が見えるんです。今日は、蛆虫星人達の里帰りの日で、こうやって派遣社員に扮して、蛆虫星人達は毎年マリアに乗り込んで来るんです。」
松本「里帰りの日?」
勝艦長「ここでいう盆みたいなもんだ。人間に寄生した蛆虫星人は、殺人をする習性がある。だから毎年こうやって、俺がまとめて駆除してるんだ。コイツ等の故郷は太陽。太陽まで行く宇宙船は、マリアぐらいしかないからな。」
伊藤「それじゃあ皆さん、いきなり衝撃的なものを見てしまって少し疲れたと思うんで、とりあえずマリアに乗って休んで下さい。部屋は2階で4人ずつになっているんで、自分の名前のある部屋に入って下さい。」
派遣社員と戦闘員達は、マリアに乗り込み始めた。
勝艦長は、松本を見て何か言いたそうな顔をしていたが、特に何も言わずマリアに乗り込んだ。
全員が乗り込むのを確認すると、伊藤が港でお辞儀をして叫んだ。
伊藤「みなさん、行ってらっしゃい。決して無理せず、体調が悪いときは休むようにして下さい。」
松本が部屋に入ると、30代後半ぐらいの男が2人、ベッドの上に荷物を置き、ベッドの下にある荷物入れに生活用品を入れていた。松本はドア近くの右側のベッドに荷物を置くと、白い食品用の作業着が置いてあった。
松本『これを着て素麺作りをするのか。』
そう思いながら荷物整理を始めると、同室の2人の男達が挨拶をして来た。
「はじめまして、上田と言います。よろしくお願いします。」
「はじめまして、阿部と言います。よろしくお願いします。」
「はじめまして、松本と言います。よろしくお願いします。」
3人が簡単な挨拶をすますと、部屋の天井辺りについているスピーカーから、勝艦長の声が聞こえた。
勝艦長「戦闘員、派遣社員の諸君、ようこそマリアへ。この船に乗っているお前らは、もはや地球に不要な人間。戦闘員として乗っている者は自衛隊の落ちこぼれ、派遣社員として乗っている者は会社員としての落ちこぼれ。つまりお前らはクズの中のクズ、生きて地球に帰ろうなんて思うな!!この旅がお前達の最後の旅だ!!死んで宇宙の藻屑となれ!!マリア!!発進!!」
松本「相変わらず酷い言い草だ。」
上田「宇宙の藻屑かよ。」
阿部「こんな船に乗るんじゃなかった。」
勝艦長の発進という掛け声とともに、マリアは物凄い勢いで海面を飛び立った。