艦長命令
勝は、レーザーガンを持ったまま松本達の並ぶ列に沿って歩き、松本を見て立ち止まった。
勝「若い奴だけかと思ったら、こんなとこにオッサンがいやがる。おい、あんた歳は幾つだ?」
松本「47です。」
松本は恥ずかしくて小声で答えた。
勝「47だと?オッサン、お前、素麺作りをなめてるだろ。ちょっと時給がいいから応募して集まった口だな。アンタ、嫁や子供はいるのか?」
松本「・・・・いません。」
勝「ケッ1人もんかよ。その歳まで1人ってことは、今まで好き勝手やって来たんだろ。仕事で嫌なことがあったらすぐ辞めたりしてこのクズが。」
松本は恥ずかしそうに俯き、顔を赤くして半泣きになっていた。
勝「ハハハハッ47のオッサンが泣きそうな顔をしてんじゃねえよ。よし、お前にチャンスを与えてやる。これが出来たら、お前を男として認めてやるよ。」
勝は俯いている松本に近づくと、松本の右手にレーザーガンを持たせた。そして、松本から前に数えて15番目の茶髪の背の高い若者目がけてレーザーガンを構えさせた。
勝「アイツをこれで撃ち抜くんだ。さあ、やれよ、これは艦長命令だ。」
松本は勝を見て、小声で震えながら言った。
松本「・・・・できません。」
勝「はあ?聞こえねえよ、もう一回言ってみろ。」
松本「できません。・・・・人を殺すなんて、艦長命令でもできません。」
勝は、レーザーガンを握っている松本の手を握り、引き金の人差し指を重ねた。
勝「宇宙海賊をやっている地球人だっているんだ。あんな使い捨ての派遣の若造1人殺したって、宇宙には何の影響もない!!こうやって殺すんだ!!」
勝は、松本の人差し指ごと引き金を引いた。
ズキューン!!
レーザーガンは、背の高い茶髪の若者の頭を撃ち抜き、撃たれた若者はその場に倒れた。
松本「うわああああ!!何を・・・・あんたは何をするんだ!!」
撃たれた若者の回りにいた派遣社員の男達も叫び始めた。
「うわああああ!!人を撃ち殺した!!」
「この人が何をしたって言うんだ!!」
「マリアの艦長は人殺しだ!!サイコパスだ!!」
勝「ガタガタ抜かすな!!宇宙で殺し合いは当たり前だ!!そして、よくコイツを見るんだ!!」
勝は、松本からレーザーガンを取り上げ、うつむせに倒れている男の所へ行き、足で蹴って男を仰向けにひっくり返した。
すると、撃たれた男の頭の空いた穴から、細長い白い一匹の線虫が這い出ていた。
「うわあっ気色悪い!!」
「キモい!!」
回りの派遣社員の男達は、慌ててその線虫から距離をあけた。
ズキューン!!ゴオオオオオオオオオオ!!
勝は、レーザーガンの引き金を引きっぱなしにすると、レーザーが出しっぱなしになり、まるでライトセーバーのようになって、線虫の先端から焼いて蒸発させ始めた。
勝「これが俺のエクスカリバーだ!!」
派遣社員の男達「おおおお!!なるほど。それでさっき、エクスカリバーって言っていたのか。」
「勝船長は、コイツが蛆虫だと言うことを分かっていたということか。」
プギャアアアアアアアアアアアア!!
線虫は変な叫び声をあげながら、焼かれて蒸発した。
勝「コイツは俺達地球人の耳から入って寄生し、やがて地球人の体を乗っ取り、その地球人として生きる蛆虫星人だ。宇宙にはこんな奴等がウジャウジャいる!!よく覚えておけ!!分かったら返事をしろ!!」
「・・・・はい。」
「はい・・・・。」
派遣社員の男達の小さな返事が、少しだけした。
勝「大きな声で返事しろ!!撃ち殺すぞ!!」
勝は、レーザーガンを派遣社員の男達に向けて叫んだ。
「はい!!」
「分かりました!! 」
「はい!!」
派遣社員の男達の大きな返事が、あちこちで飛び交った。