新規の依頼
「報酬、危険度などを教えてください」
まずはそこから聞いてみる。不相応な危険な仕事を受けて死にたくは無いのだ。しかし、あまり良い答えは返ってこない。
「報酬については保証するわ。難易度は……あなたが使役できる死者の度合いによるわ。詳しいことは話せないけど、国家からの依頼ってことは教えておけるわ」
「引き受けます」
国家依頼とは、冒険者に対して国から依頼が入ることであり、依頼を受けた冒険者は高額の報酬と依頼を受けている間の衣食住は保障されるのだ。そのため、金欠状態のアランにとってはかなり有難いのだ。
「分かった。じゃあ、自己紹介をしておくわ。私はリリア、『青の涙』のリーダーよ。支援魔法使いで、レベルは57」
「俺はザイル。盾役で、レベルは62」
「ネクト。火力魔法使い。レベルは71」
「シクスです。魔法剣士で、レベルは67。まあサポート役に回ることが多いです」
「私はセシウム。精霊魔法使いで、レベルは42だけど使役してる精霊が強いので、仲間に加えさせてもらってます」
「皆さん、ありがとうございます。僕はアランで、一応魔法使いです。レベルは26、使える魔法の数は多めだと思います。よろしくお願いします」
「分かりました。じゃあ早速、依頼の話を……」
『ボクを忘れないでくれ。アランに蘇らせてもらった、元化け猫のティビアだよ。よろしくね』
「分かりました、よろしくお願いします」
後ろで微かにセシウムの目が見開かれたような気がした。
「では、説明をします。簡単にいうと、土竜の討伐を依頼されました」
土竜。最強種のドラゴンの血を引く爬虫類のうち、土魔法が得意なものを総称している。そこまで強いわけでは無いのだけれど……
「魔力を溜めすぎて、凶暴化してしまいました。何人で束になっても敵わないため、私たちが依頼を受けたのです」
「束になっても勝てないのなら、なぜ僕を読んだのですか?」
「何人かで飛びかかると、目眩しや引きつけにはなります。けれど、飛びかかった場合間違いなく重傷は負います」
「分かりました」
つまり、操れる死者を使って目眩しをしてほしいということだろう。
「分かってくれてよかったです。討伐後の死体はあなたに預けますので、使役するのならどうぞ使役してください。出来なければ私達が持ち帰ります」
「良いんですか?」
「ええ」
「ありがとうございます」
討伐後の死体を操れるようになれば、かなり戦力の増加に繋がるだろう。生きて帰れれば、だけれど。
「出発は明日の朝でも良いですか? アラン君の都合に合わせますが……」
「大丈夫です、じゃあまた明日にでもお会いしましょう」
そう言って『青の涙』の皆さんはギルドの方に向かっていく。
「あ、そうそう。これからは呼び捨てかつ敬語無しでお願いしますね」
「分かりまし……分かったよ、リリア」
最後に言葉を交わしたあと、アランは再び街の外に向かった。
ーーーーーーー
アランと別れた後の『青の涙』のメンバーは、口々にいろいろなことを話していた。
「ところで、アランのことをみんなどう思った?」
リリアが全員に質問をする。
「さぁ……わかんねぇけど、まあまあ強そうだったぞ」
「普通よりはちょっと強いけど、そこまででは無い」
「そうですね、同感です。中にどんな化け物がいるのかは知りませんけど」
シクスの言う化け物とは、アランが使役する死者……アンデッドたちのことだ。
「私もみんなと同じよ。セシウムはどう思った?」
「アランについては同じ意見。ティビアに関しては、やばいとしか言えない」
「どうしたの?」「どうしたんだ?」「どうしたんですか?」
口々に聞かれてセシウムは少し戸惑ってしまう。が、勇気を出して話をした。
「ティビアは、化け猫なんかじゃ無い。最上位の猫精霊か何かだよ。私の使役する精霊たちよりも、遥かに強い」
レベル自体は『青の涙』最低だが、戦闘力に関しては『青の涙』でトップのセシウムが、やばいと言ったティビア、そしてそれを使役するアランに、皆興味を持ちつつも少し恐怖していた。
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何も考えずに「セシウム」っていうキャラ名を考えたんですけど、調べたら元素の一つでした……