証明書作り
朝起きてからいつも通り朝食をとり、そして冒険者ギルドに向かう。今日ギルドに向かう目的は、新規で冒険者証明書をもらうことだ。
「能力は使うなって約束だったけど……勝手に使われちゃうんだよね」
『見てたらわかるよ。なんでアランが歩いた足跡がそんなに青く光るのか、理由は一つでしょ。勝手に死者を蘇らせてるんだよね』
「うん」
なるべく能力を使わないように意識しても、歩くだけで死者を蘇らせ、使役できる状態にしてしまう。困った力だと思う。
冒険者ギルドの中に入る。そのままカウンターに向かい、冒険者証明書の作成を頼んだ。
「それでは、この魔法具に手をかざしてください。その魔法具が、あなたの使える魔法などを全て判定します。」
指を差されたのは、小さな箱だった。言われた通りに手をかざす。魔法具が光り始めた。
「……マジックアロー、ファイアボール、フレイムアロー、フレイムウォール、アイスダガー、フリーズランス、フリーズオーラ、クリスタルランス、マジックシールド、ウィンドカッター、ウィンドブレイド……前もそうでしたが出鱈目な数の魔法ですね……ヒール、ライトニング、ドラゴンライトニング、フライ、アンデッドタッチ、ショックウェーブ、禁術2つ……以上ですか?」
「はい、多分以上です」
「禁術について詳しく説明して頂けますか?」
「死者を復活させ、使役できます。おそらくそれだと思いますが……」
「死者の復活? 使役? 冗談を言ってるんですか?」
「そういうわけじゃ無いんですけど……なんだったら前から使役しているリッチを召喚しましょうか?」
「ええ、お願いします」
かなり疑われているようだ。証拠を出さないといけないだろう。
(リッチ、一旦外に出てきてくれ)
(承知いたしました)
リッチが現れた。ギルド内の全員が、驚愕の表情でこちらを見ている。
「エルダーリッチ。本物のようですね。ではアランさん、どうして証明書を作ろうと思ったのでしょうか?」
「こういう、傍から見れば危険な能力が僕にはあります。けれど、それを冒険者証明書に記載してもらえれば少しは怪しく見られなくなると思いました」
「分かりました。では、少々お待ち下さい」
嫌に硬いやりとりだった。個人だとこんなに当たりがきついのだろうか。それとも、僕が危険人物認定されたからなのだろうか。
『アラン、いろいろな人に警戒されてるよ。エルダーリッチは仕舞ったほうがいいかも』
「分かった……リッチ、戻っていいぞ」
「承知いたしました」
エルダーリッチが体の中に戻っていく。急に周りの空気が軽くなった気がした。
「お待たせしました。冒険者証明書になります」
証明書を受け取り、ギルドを出た。途中、依頼の確認をしてみたが特にいいものは無かった。
「ねえそこの人。私たちのパーティに加わってくれないかしら?」
ギルドを出て少し歩いたところで呼び止められた。ブロンドの髪に青い目をした若い女性が話しかけてきた。後ろには何人か仲間らしいひとたちがいる。
「私たちがこれから受ける依頼には、かなりの人手が必要なの。見たところ、あなたは死者をたくさん操れるみたいね。それで、その死者の人手を貸して欲しいと思ったから声をかけたの。
改めて聞くわ。アラン君、私たちのパーティ『青の涙』に加わってくれないかしら」
国で一番の冒険者パーティ、青の涙の人たちがスカウトをしてくれていた。
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