この力について考えよう
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次の日も似たような雑務をこなして日銭を稼いだ。1日の宿代と食事代くらいはどうにか出来るくらいの金額を貰う。
夕食を食べ、宿の部屋でくつろいでいると、ティビアが話しかけてきた。
『アラン、そろそろその力についてちゃんと考えるべきなんじゃ無いかな?』
その力、とはもちろん死者を蘇らせたり出来る力のことだろう。確かに、今までしっかりとこの力について考えたことはなかった。例えば僕がエルダーリッチに肩揉みをさせているのを見た他人はどう感じるか。
もちろん、恐怖するだろう。無駄な混乱を招くかもしれない。最悪、危険人物とみなされて処刑されるかもしれないのだ。そんなことにならないために、この力についてどうするべきか考えた方がいいのは至極当然の流れだ。
「身分証明と能力証明っていうのができたら随分と楽そうだけどなぁ」
『そうすれば、少なくとも不審者扱いはされなさそうだね。能力を公表してるわけだから。……そこで、実は今日面白いものを見つけたんだ』
「なんだい?」
『冒険者証明書とかって名前なんだけど、冒険者としての身分を証明できるプレートらしいんだ。名前、冒険者としての能力、例えば使える魔法の名前とかを書いたあと、冒険者ギルドの判子を押してもらえれば正式な証明書として使えるはずだったけど……』
「あ、僕が以前持ってたやつがあるよ。えーっと……これかな?」
鞄の中からプレートを取り出す。冒険者パーティ『赤い翼』にいたときのものだ。なるほど確かに、僕の名前と使える魔法の名前、そして冒険者ギルドの判子が押されてあった。
『それって無料で発行できるのかな?』
「確か、前に作ったときは無料だったと思うよ』
『じゃあ、その証明書を作るまではその『死者を蘇らせたり使役したりできる能力』は使っちゃダメってことでいいかな? アランも揉め事に巻き込まれたくは無いでしょ?』
「もちろん、証明書を作るまでは一旦この力は使わないようにするよ。でも自動で発動することもありそうだから、とりあえず明日の朝早くにギルドで作ってもらうことにする」
『わかった。じゃあ、それより前では使わないでね? アランには無事でいて欲しいから』
「うん、分かった。それじゃあもう夜遅くになってきたし、寝るよ。おやすみ、ティビア」
『おやすみ、アラン』
目を閉じてから、アランは体の中のリッチたちに呼びかける。
「おやすみ、みんな」
リッチのしゃがれた声が「おやすみなさい」と言った気がした。
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