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帰りたかった未来  作者: 三條 凛花
本編
25/27

23.武器を買いに(3)

 進藤と別れた私は、ふたたびショッピングモールに戻った。100円ショップに寄るためだ。でも、結果的には失敗だった。この時代の100円商品は、やたらとカラフルなのだ。ショッキングピンクやイエローグリーンなどの雑貨ばかりが並ぶ。


 色彩センスに優れた人じゃなかったら、色数は多くても3色までに押さえたほうがいい。色数が多く、まとまりがないと、落ち着かないのだ。おそらく、目から受け取る情報量の多さが原因だと思う。かんたんなのはモノトーンで揃えることや、なるべく透明なものを選ぶこと。


 ただし、同じ色のものが並ぶと、中身を判別しにくくなるので、ラベリングが要になる。このラベリングも、文字で書かれたもののほうがわかりやすい人と、イラストや写真が認識しやすい人、色で判別している人などさまざまだ。ちなみに私は色でわかるタイプなので、丸シールを買っておいた。




 収納に使えそうな箱をいろいろ買いたかったけれど、色・質感・形のすべてを鑑みるといまいち好みのものが見つからなかった。

 とりあえず今日は、増やしておくと便利なものだけ見繕うことにした。


 まずはブックエンド。これは仕切りに使える。L字型で、装飾が少なく、シンプルな色のものを選ぶ。


 次に粘着式のフック。たくさん買い込んでおく。扉裏に貼りつけると、かんたんに空中収納が作れるのだ。ひもがついているものならそのまま引っかけられる。穴がついているものなら、穴のサイズと合わなくても、S字フックをつければ掛けられる。


 それからウォールポケット。透明でハガキが入りそうなくらいのサイズ感のポケットが特に使い勝手がいい。これはクローゼットの扉裏に仕込んで、インナーや下着、靴下の収納にするつもりだ。


 部屋を片づけていたらたくさん出てきたけれど、はさみも1部屋に1つあると便利だ。今は自室だけなので1つあれば十分。


 それから掃除道具。フロアモップと使い捨て用のシート、小さなちりとりとほうき、粘着ローラーを買った。小さなごみ箱も2つ買う。部屋にひとつあるけれど、デスクの下に置いてあるので、ベッド脇に1つ、クローゼットの中に1つ置いておく。

 家に帰ったら祖父母にハンディ掃除機を部屋用にひとつ欲しいと伝えるつもりだ。




 すべての買いものが終わったので、駅に戻り、自転車を引いて駐輪場を出た。家に帰るには、海の上にある大きな橋を渡っていかなければいけない。体力のない身体でひいひい言いながら登った。そして、海風でぐちゃぐちゃになった髪の毛をさっき買ったバナナクリップでまとめた。


 橋の向こうには海が広がっている。空はこの時期独特の柔らかい薔薇色で、水平線のところに、じゅっとアイスクリームが溶けるように夕日が落ちていくのが見えた。また泣きそうになって、私は急いで自転車にまたがった。ブレーキを半押ししながら、坂道を勢いよく下っていく。

 とにかく動かなくちゃ。疲れなきゃ。――何も考える暇がないくらいに。

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