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帰りたかった未来  作者: 三條 凛花
本編
20/27

19.武器を買いに(1)

 泥のように眠ったあと、目を覚ますとやはり早朝だった。階下に降りてレモン白湯を飲む。昨日だけなら偶然だと思われただろうけれど、2日続いたことに祖父母も母も、昨日以上の驚きを示した。



 今日は日曜日。朝食はトーストにゆで卵、紅茶だった。いちごジャムをパンに塗っていたら、今日はどうするのか聞かれたので、買いものに行くと話す。昨夜から決めていたことだ。

 家族はみんな怪訝な顔をした。そういえばこの時代の私は“おひとりさま”が苦手だったような気もする。


「遥ちゃん、私が送っていこうか?」


 祖母が尋ねる。私は首を振って「自転車通学の練習をしたいから」と告げた。祖母は、いつもこうして車での送迎を申し出てくれる。でも、実際に頼むと不機嫌になるのだ。




 今日の予定は頭の中でざっくりと立ててあった。自分の武器になるものを買いに行くのだ。幸い、資金は潤沢だ。お年玉を貯金しておいたものがたっぷり残っている。


 朝食を終えて身じたくをしたら、すぐに家を出た。自転車を15分ほど走らせると一番大きな街に着く。駐輪場に自転車を駐めて、まずはドラッグストアへ向かった。まだ9時だから店はほとんどシャッターが降りているけれど、ドラッグストアなら空いているはず。


 最初の目的は化粧品。メイクをするのが当たり前になった私からすると、どうしても素顔で出かけるのには抵抗があった。10代の何もしなくてもそれなりには見られる顔だとしても。メイクは鎧だ。休日はしっかり化粧をして、平日でもナチュラルメイクをしていこうと思っている。割と厳しい学校なので、ばれないように薄くする技術は必要だけれど……。


 メイク下地、リキッドファンデーション、パウダー、チーク、グレー系のアイシャドウ、ペンシルアイライナー、リキッドアイライナー、マスカラ下地、マスカラ、パウダータイプのアイブロウと、アイブロウペンシル、眉マスカラ、それからリップライナーとリップが2本。すべてプチプラのものなので、1万5,000円くらいと数の割に出費は少なくすんでほっとした。リップは青みのあるピンク色のものと、普段の通学用に色付きリップクリームを購入した。


 最低限……と思ったけれど、いつものフルメイクだと最低でもこれくらいは必要だった。細々としたものを買い替えていくことはあったものの、フルセットで買うことはなかったから、なんとなく悪いことをしているような気分になった。

 それと、出先でもメイクを落とせそうなクレンジング用のウェットティッシュもカゴに入れる。今の私のフルメイクだとそこそこ別人に変身する。帰宅したときに祖父母が卒倒しないようにするためだ。



 買いものを終えて、ショッピングモールへ向かって歩く。繁華街を歩く人はこの時間はまだ少ない。隣接する図書館と1階のトイレだけは開いているので、そこへ向かった。パウダールームで手早くメイクを施していく。買ったコスメをフル活用して、しっかりメイクをした。美容方面は不器用で、はじめてメイクをしたの20歳ごろだった。それも悠仁に言われて仕方なく。美意識の高い彼に散々文句をつけられて、時に怒り、時に泣きながら、なんとかそれなりに見られるような技術を身に着けたのだった。


 眉毛はこの時代に合わせて、昨夜のうちにかなり細く整えておいたものの、見慣れた自分の顔ができあがった。

メイク本で買って良かったのは『必要なのはコスメではなくテクニック』(長井かおりさん)。こういうメイクだったら微調整すれば時代を問わずいけそうだなあと思う。この本を買ってから、だいぶメイクがまともになりました。それから自分の顔に合わせて調整してます。


なお、遥のパーソナルカラーはサマータイプです。透明感があるイメージ。

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