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帰りたかった未来  作者: 三條 凛花
本編
19/27

18.リセット(3)

 夕飯の席で、祖母はやたらと私に構いたがった。にこにこして、優しい声音で話しかける。今度、入学祝いに好きなものを買ってやろうと話す。ヒステリックに怒鳴り散らした後はいつもそうだ。母は腫れ物に触るような扱いをする。祖父は我関せずといった感じで、絢は白けたような視線を祖母に向けていた。

 今夜のメニューは唐揚げで、母の味といえばこれ!というものだったけれど、ほとんど味がしなかった。



 今日はもう片づけるつもりがなかったので、早めにお風呂に入った。母が入浴中だったので、キッチンで自分でホットミルクを作り、自室に戻った。すっかりものがなくなった机を、濡れたタオルでピカピカに磨き上げる。それから乾拭きする。――うん、とても気持ちがいい。

 ストレスが溜まっているときは、こうして何かを磨き上げると気分がすっきりする。


 それから「残すものボックス」を漁って、てのひらより少し大きいサイズのノートを出してきた。大学生の従姉がヨーロッパ土産に買ってきてくれたもので、美しい妖精の絵が表紙に描かれているものだ。これを、私のこれからの作戦ノートとして使っていく。


 同じく「残すものボックス」の中から、ほとんど使われていない、5色入りの付箋を出してきた。それぞれ裏側の白い部分に「学校」「将来」「生活」「人」「その他」と書きつける。なにかやったほうがいいことを思いついたら、それぞれのカテゴリーに合わせた色の付箋を選んで書き込み、ノートの表紙の反対面に貼りつける。そして、実行できたら、裏表紙の反対面へと移す。シンプルな仕組みのToDoリストだ。


 先ほど吐き出した感情の原因となるものについて、それぞれどうしたら解決しそうなのかを考えることにした。


 たとえば、祖母のヒステリー。正論で言いまかせるような話術を身につけるのも一案だけれど、そうなったら、祖母が怒りで興奮して倒れそうな気がして思い直した。祖母の怒りの琴線に触れないように生活し、怒らせてしまったらそれを受け流せる工夫をしたほうが良さそうだ。

「人」カテゴリーにしたピンク色の付箋を1枚剥がし、「祖母が怒りそうなことについて考える」と書き込んで、表紙の裏側に貼りつけた。


 これからのごみの捨て方についても考えてみる。そういえば、東京では、古い衣類を回収しているボックスがあったはずだ。そうしたものが設置されていないか調べてみるのもいいかもしれない。「生活」カテゴリーにした黄色の付箋に「市役所に電話して聞いてみる」と書いた。この時代は、まだネットでの情報収集がかんたんではない。こんな地方都市の自治体だとなおさら期待できそうになかった。同じく黄色で「市役所の電話番号を調べる」と書いて、先ほどの付箋から少しずらして貼りつけた。


 そんな感じでやることを整理していたら、いつの間にか眠くなっていた。

この付箋を使ったリストは「種まきリスト」と呼んでいます。写真付きで過去に書いた記事があるので、作ってみたい方は参考にどうぞ。

http://365kaji.blog.jp/archives/20191006.html

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