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第3話 困惑

 手軽に書いてます。手軽に読んでください。

「ありがとうございます……マイ、マスター」


 一体、どうなっているのだろうか。頭の中はもうクエスチョンマークでいっぱいだ。


 どこから入ってきたのか、先ほどの銃の震えや光は関係あるのか、外の景色とも関係があるのか。それとも、奇妙な幻覚の続きなのだろうか。なら頬をつまんでも反応は返ってこないのではなかろうか。


「ふぇ……ほぅなふぁいまひらか(どうなさいましたか)?」

「うわっ……!」


 可愛い。いやそうではなく、ちゃんとつまんだ感覚はあったし、それに対する反応もあった。どうやらこの女性は本物らしい。


 どうすればいいかもわからないので、とりあえず目の前の彼女に聞いてみることにしよう。それ以外に何かいい策があるのなら誰か教えてほしい。


「……えっと、あなたは誰ですか?」

「私はあなたの(しもべ)です。何なりと、マスター」


 一言目から何となく感じてはいたが、話が通じそうにない。こんな綺麗な女性は今まで出会ったことはないから面識はないし、そもそも自分をマスターと呼ばせたことなんて一度もない。


 質問を変えてみよう。他の事なら何かまともに答えてくれるかもしれない。


「ここってどこですか?」

「何百年も眠っていましたので詳細は知りかねます、マスター」

「じゃあこの銃のことは何か知ってますか?」

「私です。私はあなたの僕であり道具です。ご自由にお使いください」


 まともな答えが返ってこなかった。頭がますます混乱していく中、手持ち無沙汰なので目の前の銃を手に取ってみる。そして少しして思うが、スーツ姿に銃というのは中々に似合わない気がする。


 どんなださい格好をしているのだろうと逆に興味が湧いてきて自分の姿を見下ろす。普段ならこんなふうに興味がわくことはないのだが、今は意識が逸らせれば何でもいい。さぞかし奇妙な格好をしているのだろうなと思う――が。


「……え……何、これは」


 早く気付くべきだったのだろうが、着ている服が全く違う。さっきまで着ていたはずの慣れないスーツではなく、どこかファンタジーな格好をしていた。ゲームなんかでよく見る魔法職が着ているような法衣だ。緑を基調とした大人しめの服装だが、こんな服を持ってはいない。


 そもそも入社式に来ていたはずなのだ。まるで、異世界に飛ばされたかのような……


 ――ギィという音が、俺の思考を遮った。あまりにも遅いから社長か誰かが迎えに来たのだろうか。そんな淡い期待を持ちながら入り口を振り返ってみたが、儚く散ってしまう。いたのは俺と同じような格好をした男性が一人、子供が性別問わず多数だ。


 しかし、彼女のような話が通じない人以外と話せるのは好都合だ。とりあえず一歩前に出て話しかけてみる。


「あの、すみません。変なことをお聞きしますが、ここはどこですか?」


「「「…………」」」


 問いかけからたっぷりと五秒ほど経つが、何も返事が返ってこない。「あのー……」ともう一歩前に出ると、ようやく反応が返ってきた。


「キャーーーーーーー!」


 俺は人生で初めて、女の子に悲鳴を上げられた。


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