ニンジンはドブ川で笑う
私情は、挟むべきではなかった
敵はそう言って・・・
薄暗い路地に、赤いハイヒールともう何時間も座りっぱなしだ
始めは、臭いだの汚い窮屈だと新たな仕事における3Kを、ほざいていたが
今では立派に、ホッカイロを、体中に張り付けて、牛乳を飲んでいるのだから、人間の適応力とは恐ろしいものだ
されど、どれだけ適応しようが、今回の問題を、解決してくれない以上は
あまり報われはしない
何処かで報われるくらいなら今報われろよと
僕は、アンパン(ウグイス7)を、口に投げ込みながら、赤いハイヒールを見る
「何よ、牛乳あげないんだからね、ふん」
積ンデレ口調で、暇なのでしゃべっている赤いハイヒールは
今では慣れたもので、そんな言葉を、口から吐いた後に、何の面白さもなく
もはや生まれたころからそうであったかのような、堂々とした
気恥ずかしさもなく
牛乳をストローで、チュウチュウと吸血鬼媒体のように、路地裏で、音を響かせて飲む
まったく騒がしい
そこが、赤いハイヒールたる私情であり、また赤いハイヒールのアイデンティティーなのだろうか
僕に、説明はできない
なぜなら、良く知らないからだ
年齢不詳、性別も多分女だが、断固たる確証は不明
牛乳をよく飲むが、好きではないらしい
背は、低くなく175くらいは、余裕であるが
細身のせいだろうか、視力は落ちていないはずだが、それくらいはあることにしよう
とまあ、どうでもいい情報を並べたが
正直どうでもいい
なぜなら、赤いハイヒールは
いつも、真っ青なスニーカー
ジーパン色の硬めのワンピースに、ジーパン生地のジャケットと言う
旗から見れば、おおよそ、女子と言える要素のない地味な格好であり
ホームレスチルドレンとも鉱物堀者とも言えそうだが
一応僕と同じ給料はお貰っているはずだ
たぶん
…ちょっと待て、何の話をしてういるのだろう・・そうだ、任務についてだった
そうそう
それはいつものように
トースターに、トーストを入れると
面白いくらい細かい文字が
恐ろしく読みにくく
パンの表面に、焼き目をつけていた
この良く分からない
エンジェシリーズで言う
任務の始まりの合図の様なものとでも思ってほしいが
そこに、一時間ほどかけてようやく解読できた
任務内容が書かれていた
「親愛なるカーボン君、最近、君の髪の長さが気になって気になって、眠るに眠れず
酒を飲んで眠る日が、続きそうな気がする今日この頃
腹を壊してお腹が、ゴロゴロなっていますが、どうすればいいでしょうか
・・あっそうそう、任務は、赤いハイヒールではでは
場所は丸歯町の郵便局から右に三十六番目の路地裏
僕は、当たり前のように、焦げ目が多いそのパンを
ムリムリと食べると
しわのないクリーニングの袋から出していないスーツを、何十着ある中から選ぶと
それに腕を通して、今現在に至っている