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(改題)黒塚:she is ONI-BBA  作者: 大原英一
ミステリ(?)掌編集
3/41

第3話「閑職」

 これはボクが、とある会社でアルバイトをしていたときの話だ。

 大学生だったボクは週2でそのバイトを入れていた。夜勤の仕事で、金曜と土曜の夜に出勤した。

 夜勤の拘束時間は長かったが、仕事内容は単純で時給もよかった。けっこうおいしいバイトだったが1年しか続かなかった。

 というのも、ボクが入って間もなくして、その職場センターの閉鎖が決まったからだ。


 1年後にセンターが閉鎖される。その決定が会社によって下されると、ボクらアルバイトには関係なかったけれど、社員さんたちの間ではけっこう人事的な異動があった。

 このとき、すぐに他部署へ移れた人たちはラッキーだった。可哀そうだったのは、閉鎖までこのセンターと運命を共にするよう言われた社員さんたちだ。

 センター閉鎖のあと、彼らに行き場があったかどうか、いまとなっては知るよしもない……。


 とくに可哀そうだったのが町野さんという社員さんで、彼は当時50(歳)手前くらいだったと思う。

 町野さんはオペレータひとすじの人だった。それがセンターの閉鎖が1年後と決まると、いきなりオペレーションを外されて内勤にまわされた。内勤者のする仕事はなかった。

 大昔では、こういった境遇の人たちを「窓際族」と呼んだらしい。

 冗談みたいな話だが、町野さんは本当に、朝9時から夕方の5時まで窓際にあるデスクに座ることになった。


 ボクは金、土だけの出勤なので、町野さんがオペレータだったときは夜勤でご一緒することもあったのだが、彼が平日のみの内勤になると接点はまるでなくなった。


「町野さんね、なんだか、ずっとパソコンにむかって勉強してるみたいだよ」

 夜勤中、ボクと一緒にシフトに入った石原さんが教えてくれた。彼は派遣社員でボクより出勤日数が多く、夜勤だけじゃなく日勤もあるので、町野さんのようすもある程度しっているらしい。

「どんな勉強なんです?」

 ボクが聞くと石原さんは首をかしげた。

「よくわかんね。技術系の資格試験らしいけど、町野さんが持っているテキストとか見ても、オレにはさっぱりだわ」





「ふう」

 町野すすむは事務所から人がいなくなったことを確認すると、おごそかに「仕事」の態勢に入った。デスクには、いちおう建前として資格試験のテキストを広げておく。

 そして彼は最近はじめた小説投稿サイトにログインした。



挿絵(By みてみん)

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