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(改題)黒塚:she is ONI-BBA  作者: 大原英一
最終話「黒塚」#1 安達ヶ原
20/41

その9

 それからわずか数秒後にオレの顔が恐怖で歪むことになろうとは、まさか思いませんでしたよ。

 いつものように、なろうのユーザページにログインした。そしたら「活動報告にコメントが書かれました」の赤文字が出ていた。なんの気なしにそのメッセをひらいたオレは、冒頭の表情を浮かべることになる。


+ + + + + + + + + +

 蛍田さん、こんばんわ。

 オフ会はいかがでしたか。楽しめました?

 私も行きたかったなー(o_ _)o

 うちは鬼婆がきて○○が食べられちゃったので、ムリでした……。

 ちゃーっす(笑)

+ + + + + + + + + +


 いやいやいや……楽しめました、じゃねーよオイ。

 おかしな点がありすぎてどこから突っ込めばいいかわからないが、まあひとつずつ行くか。

 まず、このコメントを送ってきた「れふとすたっふ」というユーザをオレはしらない。いわゆる一見いちげんさんだ。

 一見さんからコメントをいただくのは、べつにかまわない。問題はそこじゃない。


 なぜ、蛍田というオレのリアルネームをこいつは、しっているんだ?

 オレはなろうでは「ほっとケーキ」で通している。誰にもリアルネームは言っていない。

 なぜ、オフ会のことをこいつは、しっているんだ?

 前回の割烹で「鬼婆になろう」というおかしなサイトへのリンクが出ていたことは語ったが、オフ会とはひとことも言っていない。

 そしてラスト。○○が食べられちゃった、て。○○は食べものじゃないから。人の名前だから。

 あと、ちゃーっす、はオレの専売特許だからね?


 あきらかに異常事態だった。どこかでオレの情報が漏れたか……。

 思い当たることといえば、あのオフ会だけだ。が、オレはオフ会では逆にペンネームのほうを言っていない。

 オフ会以前に、すでにハッキングされていたか。

 ユーザページに「鬼婆になろう」のリンクが出ていた時点で、オレは狙われていたのかもしれない。


 なんだこれ。なんなんだ、いったい。ハッキングされているのはもはや確実といえた。

 誰の仕業か。誰がこんなことを……。

 オフ会で会った黒塚さん、または安達氏が犯人なのか。だが、そうと断定することはできない。

 彼らもオレと同様ハッキングされた側で、いまも嫌がらせを受けているかもしれないのだ。

 黒塚さんからもらった名刺にはメアドが載っている。彼女にメールして、被害状況を聞いてみるか。

 だがしかし。

 彼女を信用していいと、まだ決まったわけじゃない。これ以上彼らに関わらないほうがいいと、そう思う自分もいる。

 意外とめんどくさいやつなんです、オレって。


 独りで悶々とした。

 ふつうに考えれば「れふとすたっふ」とかいうヘンなユーザをブロックするか、これ以上ハッキングがエスカレートするようなら、なろうの運営さんに通報すればいい。

 ただ、それだけの話だ。でも……

 なにかがちがう、とオレの勘が告げている。かなりめんどくさいやつなんです、オレって。


 そしてオレの勘はよく当たるのだ。そのときオレのスマホに、1本の電話がかかってきた。

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