今日は朝から(四百文字お題小説)
お借りしたお題は「鶏のから揚げ」です。
律子はスチャラカなOLである。
「ああ、今日は朝から鶏のから揚げが食べたくてどうしようもない!」
仕事もせずにそんな雄叫びを上げている律子を同期の香が白い目で見る。
「大丈夫なんですか、律子先輩?」
二年目の出島蘭子が小声で香に訊いた。
「いつもの事だけど、今日は特に酷い気がする」
何故か梶部係長が欠勤なので、律子はいつにも増してはしゃいでいた。
新しく課長になった米山米雄は課長室に閉じ籠もっていて何も言わない。
「りったん、仕事をしないと首になるよ」
恋人の藤崎が見かねて窘めた。
「大丈夫よ、係長は休みだから」
律子はニヤリとして反省の色がない。
「律子君、何を騒いでいるのかね?」
何故かそこに平井次長がやって来た。
「うう……」
急に具合が悪くなったフリをする律子。
「持病の癪が……」
いつの時代の言い訳だと呆れる香と三年目の須坂。
「なるほど、いい切り抜け方だな」
最近影が薄かった新入社員の杉村が感心していた。