道・大切なもの
―私は私の道を行く。
あなたはあなたの道を行く。
―私には大切なものがある。
あなたにはありますか?
夢…遠い遠い日の約束
「私、アイドルになりたいんだ」
彼女はそう言った。
「私はみんなの笑顔が見たい。それが私の夢」
僕と彼女はいわゆる幼馴染だ。お互いの両親の仲が良かったのと、家が近かったのも相まってずっと一緒だった。
公園で遊ぶ時も、幼稚園で遊ぶ時も、小学校に登校する時も、中学校から下校するときも。
今、僕たちは中学3年生、進路を決める時だ。
今まで、ずっと一緒だった。
だけどこれからずっと一緒だとは限らない。だとしても、
―俺の大切なものはただ一つ、お前だ。
―お前がいれば他はいらない。
―俺の道はお前の横だ。
―だからずっと一緒ににいさせてくれ。どんなに時が経っても、生まれ変わっても
「だったら、僕はマネージャーになろう。いつまでも君といられるように。それが僕の大切なもの」
彼女の職業は
時に彼女は女王だった。その時俺は騎士だった。
時に彼女は医者だった。その時俺は助手だった。
彼女を守るために
俺は片目を失った。飛んできた矢から彼女を守るために
俺は姿を失った。呪いから彼女を守るために
俺は体を失った。幽霊になってでも彼女を守るために
彼女はすべての人を笑顔にできはしなかった。
女王は自らの民に尽くし、そのために何人もの敵を殺す命令をした。
医者は患者に尽くし、何人もの命は守れなかった。
それでも彼女は多くの笑顔を作りだした。俺は彼女を支え続けた。
―いつまでも私のそばにいてください。私の大切な人よ
―喜んで。