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桜恋  作者: 夢叶 零樹
1/1

新しい始まり

3月某日 ──────

市立○小学校卒業式

「直桜〜行くなぁァァァァ」

「……颯斗少し暑苦しいよ……」

「何でだよぉ〜何で行っちまうんだよぅ……」

「いや、だがら父さんが東京に転勤になっちまって」

「だったら親父さんだけ単身赴任すりゃ良いだろ!?」

「……いや父さんと母さん未だラブラブだから

離れる選択肢は無かったんだってば(汗)」


鈴本 直桜 13歳 現在絶賛困ってます。

何故かと言うと………

親友である颯こと倉本颯太に抱きつかれてるからです

(汗)

「くそううう〜直桜〜」「だから颯暑苦しい!!」

力強く抱き締めてくる友人に困っていると

「こら!!颯!!いい加減にしろ!!」と発しながら

オレらと一緒にいたもう1人の少年が

オレに未だ抱きついている颯斗の頭に

手刀を落とした。

「ぐはっ……」「ったく……悪ぃな直桜」

「ううん……ごめん岳斗助かった(汗)」

「颯も納得してねぇ訳じゃ無いんだが……

でもやっぱ寂しさのが勝ってんだろうな……

後はオレに任せろ東京に行く日は明日なんだろ??」

「………うん」「しかし、俺たちももう中学生に

なるのかぁ……時間が経つのは本当に早ぇな〜」

「……なんか岳斗お爺さんっぽいな……」

「……うっせー余計なお世話だっつーの」

「はははっ」「ところで、直桜寂しいからって泣くんじゃねぇぞ??もう俺たち中学生になるんだから」


「はっ……泣くかよ!?子供じゃあるまいし!?」

「ふーんどうだか?お前なんだかんだで

割と繊細だからなぁw」「うっさい!!繊細なのは

そっちだろ!?」「あーはいはいwけどあんま

無理はすんなよ。」 「…………?」

「東京は広島より大都会だけど、だからと

言って決して無理はすんな!!

お前はお前のまま頑張りゃ良いんだから……」

「……!!」「向こうで嫌な事や相談事があれば

直ぐに連絡して来い……力になってやるさ……」

「………ありがとう岳斗」「……別に?さて……

おいいつまで拗ねてんだ颯!!」

再び颯太の頭に岳斗の手刀が落ちた。

「痛いって!!岳斗てめぇ!!力加減位しろよ!!」

「いい加減拗ねてないで、言いたいことあるなら

言えや!!」 「ちょ……岳斗落ち着いて!!」

「分かってるっての!!直桜!!」

「……はい!!」「オレたちは離れていてもずっと親友だから!!そこんとこ忘れんなよ!?後、こっち帰ってくる時には必ず連絡しろ!!それから毎日LINEはくれ!!」 「メンヘラ彼女かてめぇは!!」

「うっさい!!そーゆう岳斗だって似たようなもんだろ!?」 「オレは違いますー!!」 「何だと!?やんのか!?」

「ちょ!?2人とも分かったから!?落ち着け!!」

言い争いを始めようとする2人を慌てて制止する

その光景が暫く見えなくなると思うと

胸がきゅっと苦しくなる。でも…………

「2人ともありがとうな!!やっぱお前らは

オレの最高の親友だわ!!」


"精一杯の心を込めてありがとう"

桜の蕾がほころび始まる春を感じる温かな日

最高の親友達に見送られながら

オレは新天地の東京に旅立った。


新しい街、新しい家、新しい自分の部屋。

そして3年間使う真新しい制服。

「こっちではブレザーなんだなぁ……向こうだと

私立以外みんな学ランなのに……」

ぽつりと呟く。ただの独り言である。

父と母は日用品の買い出しに出掛けたため

現在自宅に1人でお留守番中である。

一緒に来るか?と両親は誘ってくれたのだが

とても行く気になれずに自分の事は気にしないで

2人でゆっくりしておいでよと快く送り出したのだが

慣れていない新しい家で、またまだ慣れていない

新しい自分の部屋でゆっくり寛げるはずも無い。

こちらに来て早数日経過したのだが

着いた当初感じたことは

"人が多すぎる"だった。東京に引越しが決まった際

覚悟してはいたが此処までだとは……

幾ら広島から来たからといって

元々住んでいた地域は所謂中間都市であり

田舎過ぎず、また都会過ぎなかった。

人が少なさすぎることも無く、また人が多過ぎる事も

無かった。それこそ都会出身であれば

慣れていたのだろうが…………

覚悟が足りていなかったようである。

「…これから始まるこっちでの中学生活大丈夫かなぁ」

ポツリとまた独り言を呟く。

一瞬脳裏に浮かんだのは故郷にいる親友達

東京な引っ越す前日の小学校の卒業式で

言ってくれた言葉の数々が

今も鮮明に思い出せる。

"お前はお前のまま頑張りゃ良いんだ"

"俺たちは離れていてもずっと親友だから"

「はははっ、まだ始まっても無いのに

弱音吐いたらダメだよな??

そろそろ切り替えて行かねーとな!!」

自分の顔をバシンと自分の両手で叩いて

気合いを入れ直す。

「よーし!!新しい中学校でも

オレはオレらしく頑張ってやる!!」


"この時のオレはまだ知らなかった"

知り合いが誰もいない

"東京の中学校で"

"奇跡"だと思えるような

"出会い"が直ぐそこに来ている事を…………




そして桜が舞う4月。

オレ鈴本直桜13歳!!

知り合いが誰もいない東京の中学校で

新たな新生活が始まります!!



4月6日日。


区立○○中学校校門前。


区立○○中学校第✕✕回入学式


「うわ〜やっぱ人多いなぁ(汗)

上手く馴染めるか不安だなぁ……」

東京の中学校なので周囲一辺

想像通りにやはり華やかです。

「オレの制服の着方変じゃねーよな??」

急に心配になり、自分の身なりを再度確認する

向こうじゃ私立以外基本学ランだから

ブレザーの正しい着方なんか、分かんねーよ(泣)

「おいおいアレ見てみろよw」「ちょw何アレw?

入学式早々何してんの?ゴミ拾い?w」

「しかも制服じゃ無くてジャージかよw

アイツ掃除のオバチャン??w」

「あーオレ知ってるw小学時代から有名だったわ

学校のゴミ拾いおばさんw」 ヒソヒソと小声のつもりであろう

多分同じ新入生の男子生徒たちの会話が聞こえた。


……ん?ゴミ拾いおばさん……??

チラリと視線を向けてみると

そこには学校指定のジャージの上下を着用し

顔にはマスクを付けている女の子が1人

ゴミ拾いをしていた。


…………えっ??なんで……??

これから入学式だよね??

こっちの中学校ってジャージで朝ゴミ拾いする

習慣でもあるの??

でも他の新入生っぽい人はみんな制服だし

もしかしたら先輩なのかも??

だとしても、入学式の日にジャージ姿とか無いよな

普通は……??

オレは頭の中で混乱していた。

………"どうしょう無性に気になってしまう"


そろそろ入学式の時間だと言うのに、

少女は制服では無くジャージ姿で、

校内のゴミ拾いを続ける彼女に

何故かとにかく気になってしまい

オレは意を決して話を掛けてみようと

決意をした。「……あのお忙しい中すみません!!」

「……何?」「……!!えっと今何をしているのかなと……」「……何って見たら分かんない??

ゴミ拾いだけど……??」 「……それは分かるんだけど

何で今、更にジャージでって……」

「…………あんたに関係ない。それより入学式始まるから早く教室行けば??」「えっ……??」

「……そろそろ予鈴なるよ」「えっ!?マジ!?」

「さっさと教室行きなさいよ」「…あ、はい……」

ゴミ拾いをしていた彼女に促された。

もしかしたら本当に先輩なのかな?と思いつつ

入学早々遅刻はまずいかと考えた直桜は

その人に一礼して、言われた通りにオレは

教室に向かったのだった。


「なんか、スゲー人居たなぁ……

少ししか話せなかったけど

面白い人だったなぁまた話したいかも…………」

ポツリと呟く

直桜はこの時既に

直感的に何かを感じていたのだろうか??


だけれどまさかの教室で

先程話し掛け自分で勝手に

先輩だと思い込んでいたジャージ姿の彼女

"上山空桜"と再会したのである。


"直桜と空桜 "この2人出会いより

小さな恋物語が今始まろうとしていた。
















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