おまけ たくみ視点 別ver
もうちょっと前向きな方が良いかなと思ったのでボツにしましたが、これはこれで好きなのでおまけで載せてみます。
今日、ゆいこはひろしに俺たちが付き合ってることを言うらしい。
もしかしたら、これでひろしは自分の気持ちに気づくのかもしれない。漫画とかドラマとかでもよくあるだろ?誰かに取られそうになって初めて自覚するってやつ。ひろしはあまり顔に出ないから自信がある訳じゃないけど、多分ゆいこのことが好きなんじゃないかって俺はずっと思っていた。俺が何を言ったってひろしは認めなかったけど。
ひろしがやっとゆいこへの気持ちを自覚するなら、それはそれで良かったじゃないか。そっちの方がゆいこは幸せだろう。
そりゃあできることならこのままゆいこの隣に居たいし、俺の予想が外れてくれたら良いのにとは思うけど。
まあ、そんなことは起こらないだろう。
もし、ひろしがやり直したい、本当はゆいこが好きだって言うのなら、ちゃんとゆいこはお前に返すから。
ゆいこは俺への罪悪感から躊躇するだろうけど、ちゃんと背中を押すから。
恨み言なんて言わない。今までのは全部嘘でお前らが全然進展しないからくっつけるためだったんだよ、とかなんとか言えば大丈夫だろ。
俺は少しでも、形だけかもしれなかったけど、ゆいこの彼氏になれて幸せだった。
両想いのふたりが居るなら、邪魔者は消えるべきだ。
もしも俺を選んでくれるなら、もちろん俺にできることは全力で何でもする。
それで俺がゆいこのことをちゃんと幸せにできるなら良かったけど、多分俺じゃだめだ。
同じことをしたとしてもひろしがした方がきっとゆいこは何倍も喜ぶ。さすがに勝てねえよ。そんなことはわかってるから。
ゆいこが好きなのはひろしだ。きっとそれは変わらない。
恋ってそういうどうしようもない残酷なところがあるものだ。別にひどい女だなんて思ったりしないし、ただの幼馴染としてこれまで通り普通に接するから。気にしなくて良い。
このままふたりの気持ちが通じ合ってハッピーエンド。
ゆいこが好きな、小説みたいなドラマチックな展開じゃないか。
ちゃんとデートだって名前をつけてふたりきりで出かけたり、毎日のように電話してみたり。好きとかかわいいとか、そういったことを真正面から言う権利があったことも嬉しかったな。ゆいこには俺の思い出づくりにずいぶん付き合ってもらったけど、これぐらいは許されたって良いよな。ゆいこがひろしと付き合うなら、俺が告白したことだって無かったことにするんだからこんなのはきっと付き合ったうちに入らない。
これぐらいならちょっと仲が良い友達ならしてもおかしくない程度のことだ。
初恋が叶った幸せな日々のなかですぐに上書きされていくだろう。
それでも俺にとっては、きっとこれから先何度も大事に思い出す、あたたかくて幸福な日々だった。
切なめなやつです。
このたくみ的には、ゆいことひろしが進展するきっかけになるかもしれないし、成功したらゆいこの恋人の座を得られるというどちらに転んでもメリットがあったので告白しました。
ひろしが3人の関係を完全に壊す覚悟を決められたらまだ逆転の可能性はあると思います。
でも多分ひろしはそんなことできないし、できたとしてもゆいこが怒ると思います……