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第9話 リバーのこと、隊長のこと

 リバー・グリフィン君は、目つきの悪い水色の瞳と独特な髪型で威嚇してくる乱暴で粗雑で横柄な人だけど、最初に受けた印象とは違ってきた。

 本来の彼は人見知りらしい。むしろ、僕に普通(?)に話しかけていたのはレアケースだったそうで。

 初対面の人と話すのはまずない。

 そして話したとしても僕よりもぶっきらぼうな応対だ。

 キース・カールトン君からは、

「君に対してはまだ対応がいいほうだから、そういうやつだと諦めてくれ」

 と言われている。


 ……なんだけど。

 なんだか他の生徒たちと一番仲良くしているのがリバー・グリフィン君のようなんだよね。

 人見知りで態度の悪い人が、結果、一番社交的ってなんなんだろう……。

 と、他の男子生徒に声をかけられ、乱雑な言葉で仲良く話しているリバー・グリフィン君を見ながら思ってしまった。

 僕なんか、いまだにボッチなんだけど。なんか理不尽を感じる……。


 クロウ・レッドフラワー隊長は、もうあらゆる意味で別格だ。

 全体的に幼い見た目だし、他の生徒からは一番なめられているんじゃないかと思ったらとんでもない、一番恐れられていた。

 一部の生徒からは人気がある。女子生徒は特にかわいいと騒いでいるみたい。

 恐れられている理由はよくわからないんだよね……。

 灰茶色の髪を伸ばし前髪を切り揃え、金色の瞳に浮かぶ感情はなく、まるで人形のようだからかな、って思ったんだけどそういうことでもないみたい。

 ただ、「彼女の話をしてはいけない」という、お伽噺みたいなことを言われているんだ。何をどうしたらそんなことになるんだろう……。

 でも、隊長だからなぁ。

 もう少し詳しく聞いてみたいんだけど、何せ僕はボッチなので(以下略)!


 普段の隊長は、どちらかというとお姫様みたいなあつかいをされている。

 見た目の問題だけではなく身体的に問題があるようで、小隊のメンバーからとても大事にされている感じだ。

 あ、アッシュ・ウェスタンス教官は特に隊長を大事にしているな。

 小隊全員を気にかけているけど、隊長のことは特別気にかけているって思う。

 身体はデリケートな問題なので尋ねていいものか悩んでいて、今もそのままだ。なんとなく、隊長本人に訊けば答えてくれるけれど他のメンバーに知られたら怖い笑顔で怒られる気がするから、聞けずじまいなんだ。


          *


 僕が学生食堂でカロリーバーを食べていると、隊長とリバー・グリフィン君がやってきた。

 珍しい取り合わせだな、って思った。そして、珍しい格好だな、って思った。

 リバー・グリフィン君と隊長は、片手にトレーを一つずつ乗せている。それはまだいい。

 なんと、リバー・グリフィン君は隊長を肩車していた。すっごく目立っている。食堂にいる全員が注目しているし、なんなら近くの生徒たちは全員ガン見している。


 ……近寄ってほしくないなぁって祈っていたんだけど……隊長がリバー・グリフィン君に何か言うと、リバー・グリフィン君はまっすぐ僕のもとにやってきた。

「なんでお前、カロリーバーなんか食ってんだ?」

 リバー・グリフィン君が怪訝な顔をして僕を見た。

 なんで? って言われても……。

「僕、ずっとカロリーバーだったんだ。だから、3Dプリンタの食事に慣れてなくて。こっちの方が食べやすいんだよ」

 あと、カロリーバーは無料なんだよね。食費をケチるわけじゃないけど、僕は食に興味が無いのでカロリーバーでじゅうぶんだ。

「ふーん……。ま、そういうやつもいるよな。俺としちゃ、コッチの方がいろんなモンが食えて楽しいけどよ」

 意外に意見を押しつけてこなかった。3Dプリンタの食事に慣れろ! とか言って無理やり食べさせようとするかと思ったのに。


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