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転校したら、首位のチームに入れられました(ただし嫌われ者の集まりです)  作者: サエトミユウ
3章 ナンバー99は語る

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第50話 実力を測る

 いつもの小隊室に五人が密かに集まると、クロウが腰に手を当て、四人に宣誓した。

「明日はいよいよ対人戦だ。シャム・シェパードに私を守らせようと思う。それで実力が知れるだろう」

 三人が凍りつく。

 アッシュも渋い顔をしていたが、うなずいて言った。

「……VR訓練だから、感情的にイヤ、って問題以外はないしね。万が一クロウが殺られても、怪我も何もない」

「その感情が一番問題なんですけど?」

 ジェシカが抵抗したが、聞き流される。

「しかも、対戦相手はあのクソ女のところかよ」

 リバーが吐き捨てると、クロウが言う。

「連中は、シャム・シェパードの実力を測るにはちょうどいい相手だ。シャム・シェパードも、今のところいいところなしだから少し焦っているようだしな。対人戦が得意ならば、必ずここで実力を示そうとするはずだから、私、もしくはアッシュが見極めたら好きに動いてくれ。それまでは相手チームを全滅させないように手加減しろ」

「……難易度がかなり高いな……」

 キースが思わずぼやいた。


 現在、三人は本来の得意技を封じて戦っている。リバーは本来左手左足、ジェシカは両足、キースは両拳が武器だ。それを封印しリバーは右手で槍、ジェシカはシャムシールもしくはレイピア、キースは双剣を使っている。

 それでも負けることはないが、逆に手加減が出来ず殺るか殺られるかになってしまいそうだった。

「今までやったことのない訓練だと思えばいい」

 クロウがキッパリと言うと、三人が肩を落とした。


 そして、迎えた当日。

 別の意味で全員気合いが入っていた。

 とっとと実力を示してほしいリバーが、シャム・シェパードに発破をかける。

「いいか、今日の演習は対人戦だ。相手はお前に変われッつったヤツのいるチームだ。なら、わかるよな?」

 ジェシカは思わずリバーをひっぱたきそうになったが、耐えた。

 言ってることは間違ってないし、今のセリフじゃ悟られない、はずだ。

 シャム・シェパードは戸惑っている。

 クロウがすぐにフォローし、シャム・シェパードは困った顔のままうなずいていた。


 開始とともに、全員が散開する……と見せかけ、クロウはシャム・シェパードに張り付いた。

 ジェシカは思わず呪詛をシャム・シェパードに送る。

 シャム・シェパードは顔をこわばらせて何度もうなずいていた。

『アレを見ると、とうてい演技だとは思えねーんだよな……』

 専用回線でリバーがぼやくと、キースが返した。

『アレは素なんじゃないか? ジェシカが怖かったんだろう』

『怖がってちゃんと守ってくれるなら、いくらでも怖がらせるわよ!』

 ジェシカがキレながら目の前の敵を相手取った。

 シャム・シェパードが実力を示すまでは牽制するだけで倒してはいけない。ジェシカもイライラしていたが、いつもと違い牽制ばかりしてくる戦いにしびれを切らせたローズが、シャム・シェパードのところに向かった。

 本来なら逃さないが、ここは敢えて逃す。

 気を揉みながら三人が様子を見ていた。


 結果。――シャム・シェパードは確かに実力がある。武器は、恐らくなんでも使えるようだ。

 剣の不利さを即座に理解して、トンファーで戦い始めた。

 しかも、片手にクロウを抱えたままでだ。

 ただ……実力なのか素なのかわからないがギリギリ紙一重で避けるのだから、ジェシカの我慢の限界が切れそうだった。

 いや、切れた。

 何度目かの紙一重でブチキレたジェシカがクロウの名を叫び、救出に向かった。

 それを合図にリバーとキースが一気に敵を倒す。二人も我慢の限界だったのだ。

 同時にシャム・シェパードが動いた。クロウを置いて、攻勢をかけ、見事しとめた。

 安堵のあまり、三人が思い切り脱力した。


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