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転校したら、首位のチームに入れられました(ただし嫌われ者の集まりです)  作者: サエトミユウ
1章 シャム・シェパードは語る

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第20話 策謀

 思ったよりも邪魔だ。

 私は思わず舌打ちしてしまった。

 想定外の出来事には慣れているし、依頼人が余計なことをするのにも慣れている。

 だが、さらに足を引っ張るような真似をしてくるとは思わなかった。

 ただでさえ『学園』という閉鎖空間の上、ターゲットはあのナンバー99小隊とかいう連中といつもつるんでいて隙が狙いにくいのに!

「……しかたがない。多少強引な手を使ってでも、とっとと駆除するしかないか」

 そのための計画をざっと練りあげた。


 ――私は下準備として、特定の空き室のモニターを何度かブラックアウトさせていた。すぐに復旧させ、あたかも『調子が悪い』と思わせるようにしてだ。

 本格的に故障している場合はすぐに修理になるだろうが、調子が悪いとなるとすぐにはとりかからない。

 なぜなら、『今は使えているから』。特に監視モニターなんて高級品のわりに通常そう役立つものでもない品は、たまに映らないときがあってもさほど困ることはないのだ。

 案の定、モニターの不具合は大した問題にはならず、そのまま使われていた。ここまでは計画通りだ。


 下準備が整った上で、駆除対象だけが読むようにメッセージを流す。もちろん、足がつくような真似はしない。


 その後、警備室を傍受する。

『普通科の空き室がまたブラックアウトだよ』

『……今回長いな』

『様子を見に行くか?』

『そうだな』

『――普通科に向かっている途中で悪いが、直った』

『せっかくだから念のために見てくるよ』

『じゃあ、ついでに魔術特科の空き教室もよろしく。ブラックアウトした』

『マジかよ』

『――普通科。特に異常なし』

『魔術特科は点灯した。次は防衛特科だ』

『おいおい、ソレ、俺が向かう途中でまた点灯するオチだろ。しかももう魔術特科に向かっている最中だぞ。防衛特科は真逆じゃねーか』

『わかったよ。魔術特科を確認したら――あ、点灯した。じゃあ魔術特科を確認したら戻ってきてくれ』

『――って言ったそばから防衛特科のほうがまたブラックアウトしたぞ。でも、どうせまた点くし異常はないだろ』


 傍受しながら私はブラックアウトした空き室に滑り込んだ。


          *


 僕が廊下を歩いていると、肩をポンと叩かれて飛び上がって驚く。

「驚かせてしまったか」

「た、隊長!?」

 慌てて後ろを振り向いたら隊長がいた。

 ……気配を殺すのが上手いよな。本当に気づかなかった。

「こんなところでどうしたのだ?」

 って言われたんだけど……。それはこっちのセリフです。

「僕は、ミザリー・アレグラ副教官に呼び出されたんですよ。『空き室に来てくれ』って。初めてメールをもらったし、そもそも意味がわからないんですけど、さすがに担当教官から呼び出されたのなら行かないといけないかなって。……ただ、この辺り空き室ばかりですよね」

 僕は辺りを見回した。

 そして、隊長に尋ねる。

「ところで、隊長こそどうしてここへ?」

 それこそ、僕みたいに用がなければこんなところへは来ないだろう。

「私は神出鬼没だからだ」

 …………。

 確かにそんな雰囲気だけど、そんな説明?

 僕は呆れながら尋ねた。

「ジェシカ・エメラルドさんが怒りませんか?」

 隊長一人でいるところを見かけたことなんか今まで見たことないし、なんか、隊長を一人にするとジェシカ・エメラルドさんが半狂乱になりそう。

 すると、隊長が咳払いした。あ、やっぱり良くない感じみたい。……もしかして、逃げてきたとか?


 ……って考えた途端。

「クロウ〜〜〜〜!!!!」

 ジェシカ・エメラルドさんの絶叫……いや叫び声が聞こえた。


「心配した~! どうして勝手に行っちゃうのよ〜!」

 ギュウギュウ抱きついてスリスリしてます。彼女、いつもにこやかで一線を引いている感じなのに隊長相手だと崩れるよね。

「……私なら大丈夫だから、そう心配しないでくれ」

 隊長がうつろに言う。


 僕は巻き込まれたくないので、そそくさと言った。

「えーと、僕、呼び出されているので……そろそろ失礼しますねー」

 一応声をかけて歩き出そうとしたら。

 後ろから悲鳴が聞こえ、驚いて振り向く。

 そうしたら、空き室から鞭使いの子が血だらけで飛び出してきた。

 そして、驚きすぎて固まっている僕たちを視認すると、脅えたように叫ぶ。

「あ……あたしじゃない! あたしのせいじゃないわ! アイツが……アイツが襲ってきたのよ! これは、正当防衛だわ!」

 僕は何を言っているんだろうと思ったが、隊長たちは彼女が出てきた空き室に走ったので僕も慌ててついていった。


 ――――そこには。

 彼女よりも血だらけで倒れているミザリー・アレグラ副教官がいた。


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