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理想というわがまま

夕方になって、孝俊くんがやってきた。


孝俊くんが来たのになぜか今日は寂しい。


「それで、今日はどこに行く?」


「私、クリスマスツリー見たいな。確か、駅の方にでっかりツリーあったんだ。」


「わかった、行こ。」


クリスマスには届かないけど、少しでもクリスマスの気分を味わいたい。そう思っていた。



ツリーはいろんな形の星で輝いていた。


「写真でも撮る?」


「うん、」


写真を撮った。でもその写真を見ることはしなかった。


「なんで?見たくないの?」


私が自然と顔を画面から離したことが気になったらしい。


「私、可愛くないし、写真の写り、全然よくないから。見たくない。」


「あ、ごめん、嫌なこと聞いた?」


「いいよ。別に。」


私は誰が見ても不機嫌だった。でも別に怒ってるわけじゃない。少し辛かっただけだ。


「カフェ入らない?この近くにいいところあるんだよ。」

そう、孝俊くんが言った。


「うん。入ろ。」


他に何も考えていないデート、結局最後は適当なのか、カフェに流れで入った。


適当にアイスコーヒーを頼んで、


私は急かすように話そうと思ってたことを話し出した。


「孝俊くん、私ね、昨日も言ったんだけどさ、今までさ、こんなことに付き合わせてごめんね。」


「なんで?別にこれが仕事だから。嫌だったらとっくにやめてたよ。」


「そんなのわかってるよ、でも、私は謝りたい。自分の理想ばっかり押し付けて、お金ばっかり使って、このままじゃ罪悪感と後悔で潰れちゃうよ。」


本当はこのままでいたい、好きってもっと言って欲しい、それが私の理想だ。


その理想はもう叶えられない、だから今こうやって謝っている。


「とにかく、もういいよ。暗い話は、もうやめよ!ほら、なんか食べようよ!」


「うん。ごめん。こんなに暗くしちゃって。」


「なんか食べたいものある?」


「じゃあこれ?とか、」

私が指さしたのは大好きなモンブラン。


「これを1つ?」


「うん...いや、でも、孝俊くんも好きなもの頼んでよ。」


「なあ、ミナ、これも理想の一つなんでしょ?ならやってもいいよ、なんでやらないの?やりたくないの?」


「そりゃあ、やりたいよ。でも、それを強要するのはただのわがままだから。いいの。」


孝俊くんは抹茶ケーキを頼んだ。


フォークは2つ、理想の形はそこにない。


ゆっくり食べることなんてなく、すぐに食べ終わった。


アイスコーヒーも気付けば無くなった。


外はもう完全に夜だった。


「ミナ、もう夜になった、そろそろ、行こう。」


「理想...理想の形、最後に忘れたいこと、」


「ねえ、行こ!早く!」


────孝俊くんは私の手を取って走り出した。


「ミナ、全部忘れさせてあげる、わがまま受け止めるから、理想を全部叶えるから、元気出して!」


「好き...だよ、孝俊くん。」


「ありがと」


私の最後の理想、わがままの場所は



─────イルミネーションの光の中

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