ずるい彼女
「なんか、納得できないんだよね」
俺が不満げな表情で、隣を歩いている愛結を見た。
「納得してないの? もう10回もデートしてるのに?」
愛結はクスクス笑いながら、俺のことを見あげた。
うっ、カワイイな。
俺が愛結の笑い顔の可愛さに怯んでいると、
「洸を納得させる準備はできてるから、洸しだいだよ」
と、いたずらな笑顔を俺に向けてきた。
うーっ、と声を出して悩んだけど、言ってみることにした。
「俺のこと、好きか?」
「それは、ズルいな」
「俺に言わせようとしている愛結だってズルいだろ」
「あ、バレた。でも、洸の言葉を聞きたいんだもん」
本当にズルい。
でも、愛結の言葉を聞き覚悟を決めた俺は、愛結の手を握って、今まで歩いていた大通りから横道に入った。少し歩くと小さめの公園に着いた。
今日は遠出をする予定で、朝の8時に待ち合わせしたから、公園には人影が少ない。公園に入り真ん中らへんまで来ると、手は握ったまま愛結の方に振り返った。
「好きだ。俺は愛結が好きだから、彼女になってください」
愛結の目を見て伝えられた。愛結の顔が真っ赤になりながらも、満面の笑顔になり、
「うん、なる。私も好きだよ、洸」
と、俺に抱きついてきた。
頬が熱く感じるから、俺も真っ赤なんだろうな。
でも、いいんだ。
幸せだから。
「やべ、電車に遅れる」
俺と愛結は自然と手を繋いで、駅へ向かって走り出した。
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