テンプレートらしいから略します
(略)
というわけで俺は勇者として異世界に召喚されたらしいのであった。
……なんかめちゃくちゃ紆余曲折あって異世界へ招かれたというのにテンプレートらしいからという非常に納得の行かない理由で省かれてしまった。
てゆーかなんだ? いきなり化け物に囲まれてるじゃないか。状況を把握しようと俺はあたりを見渡す。白や赤、黒、銀といった多種多様な色を持つ異形の化け物共がこちらを伺っている。俺はなんだかスゲーところに来てしまったようだ。そんな中にひどくおかしな格好をした人間が居た。どうやら襲われそうになっていたらしい。俺はおい、大丈夫か? と彼に呼び掛けた。
「〃仝々〆〇$@*&#£⊃」
……訳のわからない言語で返事が帰ってきた。そうだよな。冷静に考えたら異世界だもんな。言葉が通じるわけないよな。
「まっ、やってやろうじゃねぇか」
俺は俺と共に落ちてきたと思われる銀の槍に手を伸ばした。おそらく俺を呼び出した神の用意した武器だろう。柄を握る。握り心地は最高によかった。
「はぁっ!」
俺は先頭の魔物目掛けてそれを叩きつけた。
ガギィンと派手な音がしてそいつは装甲ごと叩き潰れ行動不能になった。
「まだまだぁっ!」
俺は更に次の怪物目掛けて得物を振るっていった。
◇
……そいつは俺の前にいきなり現れた。目の前の空間が光っていきなりそいつが出てきたのだ。俺は思わず腰を抜かして尻餅をついた。そのさいにカランと荷物から愛用の金属バットが転がり落ちた。
そいつのことを詳しく書く前に俺はひどく平凡で一般的な高校球児だということを説明しておこうと思う。服装? 当然学生服だ。
そんな俺と対照的にそいつは……、なんて言えばいいんだろうか? ドラ〇エ3の勇者の服装を完コピしていた。宝玉のついた金色の冠に少しボロの青い服。屈強そうな脹ら脛が剥き出しになった黒いズボン。
そいつはあたりを見渡してから尻餅をついている俺に話し掛けてきた。
「ピフペパ、ピフペパピ?」
……いや、わかんねーよ。電波すぎるだろ、こいつ。せめてコスプレまでにしとけよ。
「お前…… なんだよ……?」
俺と裏腹に何かに納得したらしいロトの勇者(仮)は「ピ、パピプペ」と呟くように(と俺は感じた)言った。そしておもむろに俺の金属バットを拾いあげ、
ガギィン!
近場にあった車に向けて振り下ろした。
俺、唖然。
「パピパピィ!」
……え、なにしてんのこいつ?
次々に路上にあったり走ってたりする車に飛び掛かる。
俺は目の前の惨劇というか地獄絵図に呆気に取られ、へしゃげていく金属バットを見ながらこう思った。
(以下テンプレートらしいから略します by作者)
見てるか クレオ