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8✳️

「おう、お疲れ!」


「エンデ様、お疲れ様です。今日も資料を取りに?」


「ああ、去年と一昨年の、魔物討伐記録を見たい。出来れば地方のも含めて」


「それでしたら右奥から2番目の棚の、上から3段目にありますよ」


「おう、助かる!俺、この後休憩入るけど、時間取れるならお茶でもどうだ?」


「良いですね!ちょっと裏に声を掛けてきます!」


「ああ、俺も資料を取ってくる」


倉庫にいる同僚に、休憩を入れて良いか確認して、カウンター業務を代わってもらう。

資料の貸し出し許可を出して、エンデ様と連れ立って、城内の食堂でお茶を飲む。


私は学園を卒業後、王城の図書館の司書をしている。

色々考えて、結局は自分の一番のやりたい事を優先してしまった。

選んだ進路を皆に報告すると、応援してくれて、試験勉強中も差し入れや、先輩で司書試験を受けた方に、傾向と対策なんてのも聞いてきてくれた。

無事試験に合格すれば、自分の事のように喜んでくれて、祝ってくれた。


卒業式とその後のパーティーでは、うちのクラス+幼馴染み達で、大号泣して、周りを唖然とさせたりして。


職場は、街にある一般の図書館とは違って、訪れる人の殆どが、仕事に使う資料を取りに来るだけで、覚える事は多かったけど、仕事に追われるって程忙しくはない。


資料整理をして、陳列、たまに希少本の修復、貸し出し業務が主な仕事。


花嫁修業中のレイチェル様は、たまに名指しで個人的なお茶会に呼んでくれるし、エンデ様は今日みたいに資料を取りに来たついでにお茶に誘われる。

週末は聖女見習いのチルルと、街に食べ歩きに出掛けるし、ライオット様は、宰相を務めるお父上に、時々書類を届けに来て、顔を出してくれる。

クラスメイトの中には、お城に勤めるメイドになった子も居るし、クラップ王子殿下は、わりと頻繁に顔を出す。


学園で知り合い、親しくなった人達が、今も変わらず親しくしてくれる。

その他の、クラスメイトや幼馴染み達もたまに手紙をくれるし。

実家からは、姉の婚約が纏まった事と、早くも長男のお嫁さんが妊娠した知らせ、次兄が伯爵家騎士団に合格した知らせも届いた。

ただ、好い人は居ないのか?なんなら私が探すわよ?と母が頻繁に手紙を寄越すのは困りもの。


「どうした、ぼんやりして?疲れてるのか?」


「ああ、ごめんなさい。疲れてる訳じゃないの。なんだか学生時代とそんなに変わらないな、と思って」


「そうか?俺は、仕事で度々遠征に行くせいで、学生時代はあんまり思い出したりはしないな」


「そうね、仕事の時は、あまり考えないけど、学生時代からの付き合いの友人に会ったり、手紙を貰ったりすると、皆凄くしっかりしてきて、あれ?私だけ成長してない?って考えてしまうの」


「全然成長してないって事は無いさ」


「そうかしら?」


「例えば、昔みたいに、思った事をそのまま口にして、笑いを誘うとか、言い聞かせても聞かない、酷い態度の令嬢に、鉄拳制裁を下したりとか、その他にも…………」


「ちょ、ちょっと!流石に今はやらないわよ!」


「ククッ、成長してるじゃないか?」


「………それって成長って言うのかしら?黒歴史って言うんじゃない?」


「アッハッハッ!黒歴史!グフッ!いや、良いんじゃないか?皆楽しんでたし、スカッとしたし!」


「もう!考え無しに突っ込んで行くのは、流石にもうしないわよ!」


「いや、正義感が強い上に、行動力が有って良いだろう?それで実際に改心した令嬢も居たし、今も付き合いがあるんだろう?」


「まぁそうだけど。彼女達のは、育った環境と、若気の至りよ。あまり言いふらしてはかわいそうだわ」


「いやいや、あれは今ではお茶会での、良い笑い話になってるそうだぞ?」


「えええ?何でそうなるの?それこそ彼女達に取っては、暗黒の歴史でしょうに」


「クックックッ!暗黒って!アッハッハ!妹が言ってたよ。お茶会でお姉様方が、リリー様が自分達の恥ずかしい態度を諌めてくれたって。その後に、レイチェル様とチルル嬢に更に諭されて、自分がどれ程傲慢で無神経な態度や言動をしていたのか、凄く反省したって」


「?それって結局は、レイチェル様とチルルが、令嬢達を更生させたんじゃない?」


「クックックッ、更生ね!まぁ、でも、リリーが鉄拳制裁を下したからこそ、改めて諭されて改心したんだろうよ。今、初等部や高等部の令嬢達の間では、リリーは女騎士みたいな扱いになってるらしいぞ!」


「ええー、全然そんなんじゃないのにー」


「まぁ、だがそのお陰で、レイチェル様とクラップ殿下の婚約もスムーズに進んだわけだし」


「ええ?何故その話が、レイチェル様の婚約に繋がるの?」


「ほら、鉄拳制裁してきたリリーには感謝はしてるけど、その後優しくも厳しく諭してくれたレイチェル様が、聖母の様に見えたんだろ?あんな素敵な女性になりたい!みたいな?」


「まぁ、チルルは優しくても厳しくても、平民だから、憧れても声にはしづらいわよね」


「あんな素敵な女性なら、王子殿下の婚約者に選ばれるのも納得だわ!って」


「ウッフフフフフッ、止めて!裏声で手を組まないで!フフフッ!」


「なかなか似てるんだぞ!妹にも大うけしたし!」


「アハハッ!止めて止めて!上目遣いしないで!」


エンデ様も笑いだし、笑いがおさまる頃には、休憩時間も終了。

じゃあまた、と職場に戻ろうとすると、


「あ、リリー」


と言いながら、握手の時の様に手を出されて、条件反射で手を出せば、何故か指先を持たれ、


「学生時代と違って、毎日当たり前に会えなくなって、気付いたんだが。俺はリリーの事が好きだ。友達ではなく、恋人、出来れば夫婦にもなりたい。次会う時からは、全力で口説きにいくからよろしく!」


握られた指先にチュッとされる。

理解が追い付かなくて、


「へうっ?」


変な声が出た。

それに笑いながら去っていくエンデ様。

え?冗談?と疑ったが、去っていくエンデ様の耳が、髪に負けないくらい真っ赤だったので、冗談ではないことは理解した。


「ええ?ええええーーーー!!!」


後に残った私は、頭を抱えて叫ぶしか出来なかった。


◆◆◆◆◆◆◆


晴れ渡った秋の日、正式に聖女と認定されたチルルと、その指導担当だったブレンドル大神官立ち会いのもと、正式に結婚承諾書にサインして、キスをする私とエンデ様。


大きな拍手で祝福してくれるのは、私とエンデ様の親族、元クラスメイト、幼馴染み、お互いの職場の同僚、上司、関係の深い貴族家。


皆が笑って祝福してくれるのに、迂闊にも泣いてしまって、化粧が大変な事に!

この日のために、レイチェル様が派遣してくれた凄腕のメイドさんが、素早くお直ししてくれたけど。


最初に口説くぞ!宣言を受けてから2年。

この2年間のエンデ様は凄かった。

混乱して、動揺して、慌てるばかりの私と違い、私の友人知人にこれから自分が口説くので、異議の有るものとは正々堂々戦う宣言をして、遠征にかこつけて私の実家へ突撃訪問し、娘さんを全力で口説いているので、了承を貰えたら結婚させて下さい!と家族全員の前で頭を下げ、父と長兄が難しい顔をする横で、母と兄嫁と姉が大興奮で了承し、次兄が剣での対戦で大敗し了承。

本人に了承して貰えるまでは、内緒にすることまで約束して、今度はご自分の家族の説得。

侯爵家と男爵家の婚姻に、最初は渋っていたご当主のお父上と次期当主の兄上は、うちがアブソルム家だと知ると態度が多少軟化し、お母上と妹さんは、自分の兄がそんなにも情熱的に女を口説く人物だったとは!と驚きと共に了承。

外堀が完全に埋まる頃。

会うたびちょっとしたプレゼントをくれて、以前よりもスキンシップが増えて、今まで見たこともない熱い視線を感じて、絆された私は、まず、チルルとレイチェル様に相談。

2人に満面の笑みで、グイグイ背中を押されて、婚約を了承した。

婚約を了承した途端、結婚の日取りまで直ぐ様決まったのには唖然としたけど。


今、隣でちょっと涙ぐみながら笑うエンデ様は、子供のようで可愛いと思う。


眩しさに直視を避けていた顔も、今では見慣れて普通に接することが出来るようになったし。


ちなみに、花嫁ブーケは、最近ブレンドル大神官様に片想い中のチルルに、全力投擲しときました!


◆◆◆◆◆◆◆


沢山の祝福を受けての新婚生活は、時々甘さに身悶えするけど、何故か笑いの絶えない家庭になった。

主に笑っているのはエンデだけだけど!


結婚半年が過ぎた春の終わり。

長雨が続き、侯爵家の領地の一部が、酷い水害にあった。

折悪く、検討し調査していた事業に、巨額を投じたばかりの侯爵家は、復興に充てる現金をすぐに用意することが出来ず、一時的にとは言え、金銭的余裕を失っていた。


そこに、侯爵家の隣の領地を治める伯爵家の領主が、無期限無利息の援助の申し出をしてきた。

ただしその条件が、エンデ様を離婚させた上で、伯爵家の娘を嫁にする事だった。


普段なら、当然、即刻断るとの判断を下す侯爵家当主は、慎重に詳細に下調べをしていた事業への投資が一段落した直後の水害に、急いでその現場を確認に行き、急場の対応を部下に任せ、と、普段よりも疲れて体調を崩していた。

一応、エンデの意思確認をしてから、と一言は入れたが、それは、即断る、と言うことでない以上、色好い返事が返ってくるものと、伯爵は判断した。


帰宅した伯爵は、上機嫌に娘にその事を伝えれば、ずっと長いこと片想いを拗らせていた娘は、涙ながらに喜び、行動に出た。


以前から騎士団の公開訓練には足繁く通っていたが、その見学席で、自分はもうすぐエンデ様の妻になるのだと、声高々に言い触らし、侯爵家に嫁ぐのだからと、前以上に煌びやかに自分を飾り立て、ご令嬢の多く集まるお茶会やパーティーでは、結婚式には是非参加してね!と多くの令嬢に声を掛けて回った。


当然噂になり、怒り心頭のエンデ様が伯爵家に怒鳴り込みに行きそうになったのを、何とか言いくるめて、まずは伯爵家からの結婚の申し込みがあるのかどうかの確認に侯爵家に向かった。


次期侯爵家当主のエンデ様の兄上、エンラ様は、噂のことも知らなかったようで、困惑しながら、共に当主であるお父様の所へ、話を聞きに行った。


「父上、私が離婚して、伯爵家の令嬢と再婚するなどと噂が有るのですが、婚姻の申し込みが有るのですか?しかも噂では、既に侯爵の了承は得ている、とのことですが、このような噂は、伯爵令嬢の妄想に過ぎませんよね?」


迫力のある笑顔での、エンデ様の質問に、


「い、いや、申込みは、あった。だが私ははっきりと了承はしていない」


目を逸らしながらのお父様の答えに、


「はっきりと了承はしていない、けど、完全に断ってもいないんですね?」


突っ込んだのはエンラ様。


「すまない。私はあの時少々疲れていて……………」


言葉を濁すお父様に、


「ええ、存じてますよ、大口の事業に巨額投資して、安堵した直後に水害の報告、休む間もなく現場に駆け付け体調を崩してまで指揮を取った父上は、とても立派だと思います。現場に父上が直接行った事で、領民もそれは心強かった事でしょう。ですが、エンデの婚姻を勝手に決めるのはいかがなものか?ましてやエンデは既に婚姻を済ませて、円満な家庭を築いていると言うのに?」


「すまなかった。あの時は、水害の復興にかける予算を、どこから捻出するかで頭が一杯だったのだ」


「成る程、それで娘との婚姻をちらつかせ、無利子無担保の援助をするとでも?」


「ああ、その通りだ。兎に角まとまった金を工面するのが先決と、伯爵の言葉にグラついたが、誓って了承はしていない」


「金、ですか。宝石や調度品の幾つかを売りますか?」


「いや、それだと侯爵家が逼迫しているとすぐに噂が流れる」


「では、母上のご実家に援助を願いますか?」


「それも、出来ればしたくは無い。あそこは、テミスと仲の良くない親戚と、最近頻繁に行き来している」


「ああ、母上が愚痴っていましたね。良くない噂の家だとか。それではどうします?事業に投資した金はまだまだ回収するには早すぎるし、積立金は即現金化するのは難しい」


「ああ…………」


お父様とエンラ様が深刻な顔をして沈黙してしまった。


「あの」


声を掛けると、全員に一度に見られた。

私が居ることを忘れていたのか、お父様がちょっと驚いた顔をしている。


「ああ、リリー、必ず伯爵家の申し出は断るので、安心していなさい。余計な心配を掛けてすまなかった」


「いえ、それはいいんですけど。お金で解決するのであれば、私でも多少のお手伝いは出来るかと」


「いやいやリリーちゃん、流石に侯爵家の領地の事に、君のお金を借りるのは申し訳ないよ。それに、こう言っては何だけど、いくら働いているからと言って、男爵家のお嬢さんに出せる金額では無いからね。お気持ちだけありがたく貰っておくよ!」


そうね、普通なら男爵家の娘が、ポンと大金を出せるわけが無い。

でもね、私持ってるんです!

そっとポシェット型マジックバッグから、行銀カードを出し、魔力を流す。


行銀カードとは、銀行のカードと同じ様な物で、国の管理する金融機関のカードである。

預金の出し入れ、商取引、等にも使える国で一番の信用の置けるカード。

カードは魔道具で、魔力を流すと貯金額が表示される。


カードに表示される金額を見て、唖然とする男性陣。


「このお金は、私が稼いだもので、いつかエンデ様が引退された後にでも、郊外に家を買えたらな~と思って、貯めていたものなので、暫く使う予定も無いですし、侯爵家でお使い頂いて大丈夫ですよ?」


唖然としていた男性陣の中で、一番最初に正気付き、


「いやいやいやいや!いや!何で?何なのこの金額?!え?リリーちゃん男爵令嬢だよね?アブソルム家ってそんなに稼いでるの?え?自分で稼いだって言ったよね?!え?どうやって?違法?違法な手を使って!?」


いや、正気付いてはいなかった!

だいぶ混乱して、私を犯罪者にしようとしてる!


「兄上、落ち着け!俺のリリーは、犯罪は犯さない!」


エンデの返事もちょっとおかしい。

お父様は固まったままだし。


「大丈夫ですよ。違法性は全く無い、純粋に私の稼ぎですから!」


「いや、リリー、王城図書館司書が、そんな破格の給料を貰えるとは思えないんだが?」


「内職で貯めました!」


「ええ?内職って?そんな法外な金額を稼げる内職って何さ?!やっぱり違法?違法な薬物とか?!」


エンラ様は、どうしても私を犯罪者にしたいの?でも、エンデも訳が分からないと言う顔をしてるし。


「エンデ、忘れてるようだけど、私の属性を思い出して?」


「え?無属性だよね?」


「そう、無属性。無属性は、バリアが張れる事で知られてるけど、それは一部の人が得意で目立つだけで、無属性の人の最大の特性は、魔道具作りに発揮されるのよ!」


「魔道具?…………そう言えば、リリーが仲良くしてる先輩が、去年魔法局魔道具科に入ったって言ってたね?」


「そう、魔道具マニアのアニマ先輩。そして、魔道具科には、アニマ先輩のお兄様のワニマ様も居るの。この2人には、以前から魔道具製作の協力を求められていて、それは魔法局の局長様、副局長様にも依頼されてるの」


「ああ、じゃあこれは、魔道具の特許の一部?」


「そう。守秘義務が有るから、どんな魔道具かは言えないけど、今のところ私にしか作れない魔道具が幾つかあって、その特許料ね!」


やっと理解してくれたエンラ様が、


「あ、あははは、な~んだ!それなら安心だね!僕はまた違法な事に手を出してしまったのかと焦ったよ!どうやって揉み消そうか、一瞬で凄く悩んだ!」


ぐったりしながら誤魔化し笑いをしている。

犯罪はしてませんよ!でも誤魔化してくれようとしたのは、ちょっと嬉しかった。

疑われたのは納得いかないけど!まあ、男爵家の娘が持てる金額じゃないからね。


「ええ、ですからこのお金は、侯爵家のために使ってください!規模が違うとは言え、復興の大変さは男爵家の私でも知っていますから」


そこでやっと動き出した侯爵家当主のお父様。

我が男爵家が、過去に逼迫していた事を思い出したのか、深く深く頭を下げて、


「すまない。暫くの間、お借りする。必ず利子を付けて返すと誓う!勿論伯爵家には、早急に断りの手紙を出す!このままでは、娘に口をきいて貰えなくなり、妻に離縁される所だった!」


お父様が深々と頭を下げてくれる。これは、噂を聞いた義母と義妹にだいぶ絞られたようだ。

何故かお義母様と義妹のクラリエンヌ様には、物凄く良くして頂いてるしね!

嫁姑の問題は皆無って素敵!


「お父様、頭をお上げ下さい。縁あって家族になったのですから、是非協力させて下さいませ!」


「リリー!うちの嫁最高!!」


エンデが叫んで抱き付いて来たことで、シリアスな空気が台無しに!

お父様とお兄様が、凄く微笑ましいような呆れたような顔で見てる。


一件落着、と思って、新たに淹れなおしてもらったお茶を飲んでいると、

バタバタバタバタバーーーン

とけたたましい音と共に、部屋のドアが叩き開けられた。

ドアを叩き開けた犯人は、デコルテどころか、胸が半分盛り零れそうな派手な紫のドレスを着た令嬢で、入ってくるなり、


「あああ!エンデ様!やっと、やっと、わたくしのものになって下さるのね!わたくし、この日を一日千秋の思いで待っていましてよ!」


叫びながら、祈るように組んでいた手を、ババッと開き、さあ!抱きしめろっ!と大きく両手を開く令嬢。


「よくおっぱい溢れねーな?糊付けでもしてんのか?」


ついつい疑問が、ボソッと溢れてしまったら、


「「「ブフゥッ!!」」」


と聞きなれた吹き出す音が。

振り向いたら、男性3人が声を堪えて笑ってらっしゃる。

エンデは見慣れたものだが、そうですか、お父様とお兄様もですか、流石家族、笑いのツボも同じ様です。


その後遅れてやって来た伯爵に、お父様が、きっぱりはっきりお断りの返事をしたら、令嬢が錯乱したように取り乱して手がつけられなくなったので、侯爵家の兵士に連れ出されて行った。


令嬢の錯乱振りに、改めてあんな令嬢の事で心労を掛けさせた、とお父様に謝られた。


「まぁ、愛に障害は付き物と言いますし、良い経験になりましたわ」


大した障害でも無かったけど、これで微妙な距離感のあったお父様とお兄様とも親しくなれたので、良しとしよう。


何故かその後のエンデは、今までより以上に甘々になって困惑したけど。


異世界転生したお助けキャラ令嬢ですが、ヒロインそっちのけで、私はこの世界で幸せになれそうです。




お読み頂きありがとうございます!

感想も沢山頂けて、大変嬉しいです!

ただ、幾つか頂いた感想の中に、リリーに対する侯爵家男性陣の仕打ちが酷い!とご指摘を受けましたので、ちょっとだけ修正しました。

悪気は無かったんだけど、行き違いがあった、と書いたつもりが上手く伝わりませんでした、ごめんなさい!


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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様、文章巧いですな。 笑わせてきたと思ったらホロリとさせてくる。 この作品だけで無く、キャラが生きている。 そう感じます。 是非とも作品作りを続けて下され。
[良い点] 大変楽しく読ませていただきました。ざっくばらんでおきゃんで頼りになる主人公は見ていて笑いがこぼれてしまいます。このエピソードで一つ気になったのですが、 「唖然としていた男性陣の中で、一番最…
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