表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/14

4✳️

早速の誤字報告と感想をありがとうございます!


特に事件も問題もなく過ごした1年生が終わりに近付き、2年生への進級試験。


そもそも魔法とは、火なら火を、水なら水を、体内の魔力を使って作りだし、自由に形状を変えて扱う技である。

人によって自由に形状を変えられるため、正解は無い。

一定以上の威力を出せれば、試験には合格出来る。

不合格者は留年。

同じ学年での留年は、3回までは許されるがそれ以上不合格になれば、魔力封じの魔道具を付けられ、退学を言い渡される。


退学後は年に1度、指定された貴族家に行って、魔道具に貯まった魔力を抜いてもらう。

そうしないと貯まった魔力で体に害が出てくる。


希少属性と言われる、光、闇、無属性は、物理的な力としては中々発現せず、光は治癒力として、闇は精神攻撃として、無は魔力無効として発現することが多い。


チルルは光属性にも関わらず、威力は弱いが攻撃魔法として針を出せるし、私は前世知識で空間魔法と言われるものを使える。

私とチルルは、普通のマナーや歴史等の、基本的な教科の試験はあるが、魔法試験は免除になった。


例の自称ヒロインマニュエルは、普通教科はギリギリ合格できるか、魔法試験はそもそも基礎さえ出来ていないと言う現状、進級試験に受かる見込みはほぼ無い。

本人は何故か自信満々らしいけど、素行も悪いし、希少属性初の退学が言い渡されるのではないかとの噂。


魔法試験免除の私とチルルは、マナーの試験を重点的に復習しながら、お茶会友達やクラスメイトとのんびり過ごしていた。


魔法試験は下位クラスから先に行われる。


そこで奴がやらかした。

試験を担当していた教師に、強烈な精神錯乱の魔法をかけた。

それは強烈なものだったらしく、錯乱して暴れた教師は、その場で昏倒して意識が戻らないらしい。


瞬く間に噂が広がり、危険視された奴は、魔法局に隔離されたそうだ。


◆◆◆◆◆◆◆


無事お茶会友達も、クラスメイトも2年生に進級出来て、皆でお祝いをして、去年は帰れなかったので、集団で帰省。

大勢での馬車の旅も楽しいもの。


2年ぶりに帰った我が男爵家は、目覚ましい変化を遂げていて、唖然とした。

道は整備され、3年に渡って猛威を奮った災害の跡が、ほとんど片付いている。

唖然としたまま我が家に帰ると、家族全員に出迎えられ、ぎゅうぎゅうに抱きつかれ、1年遅れのデビュタントのお祝いと、進級を祝われた。


落ち着いた所で、我が家の発展の理由を聞いてみたら、初等部入学式に同行したついでに、父親は王城に新しい作物の申請を出して認められ、正式に我が男爵家の特産品として認められたそうで、近隣だけでなく、噂を聞いた貴族御用達の商会の人が買い付けに来たりで、大変な事になったらしい。


我が男爵家の新たな特産品とは、私が以前、伯爵家の蔵書の中から、興味本位で選んだ『世界ゲテモノ食紀行』と言うタイトルの本に載っていた、前世のトウモロコシに似た植物から取れる甘味料の事で、トウモロコシに似ていても実はならず、魔力を帯びた土壌では、異常な早さで成長する、魔草と呼ばれる嫌われものの植物だったのが、茎を切り、強く振ると出てくる粘性のある液体を乾燥させ、粉になった物を目の細かいふるいに掛けると出来上がるのが、甘味料。

砂糖よりは蜂蜜に近い味で、しつこく無い甘さが人気だとか。

王城に持ち込んだ時に、安全性を検査したら、魔力の回復量が微量にでも有ることが判明して、更に騒ぎになったとか。


その収入で、道の整備や復興が早く進んだとか。


元々、山に囲まれた、痩せた土地しかなかった我が男爵領地だったが、災害のお陰で山の一部が崩れ、山の麓の湖が溢れ、その後の豪雨続きで、領地が水害で大変な事になった。

山の反対側は、魔の森と呼ばれる森で、そこから流れた土砂のせいで魔草が大量に繁殖し、手が付けられない状態で、復興には借金をしてでも、王都から魔法使いを呼んで、焼き払うしか方法がないと、大人達は思案していたらしい。


まさか末の娘が魔草の活用方法を発見するとは、家族総出で驚いて、物は試しとやってみたら、見事成功してしまったらしい。

偶然と、自棄糞が実を結んだ結果、王家御用達の商会からも、甘味料を買い付けに来るそうだ。


甘味料になる植物は、温暖な土地でしか栽培出来ないので、大半を輸入に頼っていたのが、解決してしまったようだ。


険しい山は、少し削れたくらいでは、魔の森から魔物が溢れ出す心配は要らず、削れた部分からは湧き水が出て、その湧き水がまた魔力を帯びた水だったらしく、それを湖に流れるように整備して、湧き水と湖の水が止まらない限りは、魔草の栽培で我が男爵領は潤う見込み。


そして偶然にも、湧き水や魔草の調査に派遣されたのが、私の担当教師のアル先生だった。

そう言えば、アル先生は魔法局の副局長だった。


偶然が重なったとは言え、凄い事になったものだ。


ずっと清貧生活を強いられていた、我が家の次期当主の兄も、結婚の目処がたったそうだ。

災害のせいで、お付き合いしていた人との結婚が先延ばしになっていたからね。

次男は伯爵家の私設騎士団の試験を受けに行くらしい。

姉の結婚相手も探しているとか。

今までは、支度金も出せない状態だったから、碌な嫁ぎ先を見つけてやれなかったと、母が泣き笑いしながら言ってた。

家族総出でメチャメチャ褒められた。


伯爵家の図書室で、埃を被って隅の方に追いやられてた本を、興味本位で読んでみて良かった!


家族との団欒を存分に堪能して、また王都に。


ちょっと多目にお小遣いも貰ったし、学園の魔力伸ばしの一貫で、魔石に魔力を籠める内職の報酬も、丸々自分で使って良いって言われたし、ホクホクしながら王都に帰った。


◆◆◆◆◆◆◆


2年生に進級して、クラスメイトの顔ぶれが微妙に変化した。

クラス落ちしたり、新しいクラスメイトになったり。

何故か、公爵令嬢のレイチェル様と、侯爵令息のライオット様、侯爵令息のエンデ様は、Sクラスには上がらず、クラスメイトのまま。

また一年よろしく~!と軽く挨拶された。


ライオット様とエンデ様はまだ良いとして、レイチェル様の言葉遣いが、ちょっと崩れてきてるのは良いのだろうか?

勿論チルルとも同じクラス。


新しく入ってきたクラスメイトが、高位貴族の3人の、あまりのフレンドリーさに唖然としてるけど、その内慣れるだろう。


新担任は、そこそこイケメンのタレ目の穏やかそうな先生だった。


2年生からは、普通授業は無くなり、選択式の専門授業になるため、その説明を受けた。

今週中に希望を出し、希望者が多い場合は、成績順で溢れた人は、他の教科を選択し直しになる。


私とチルルとレイチェル様は、無事第一希望の淑女科を選択でき、他にも魔道具研究科、魔法戦闘科等も同じ教科を取った。


その他は、自分の好みで別々の教科を選び、同じ教科を選んだクラスメイトや、お茶会友達と時間割等を相談しながら決めた。


教科選択も終わり、一週間後に入学式。

その3日後に新入生歓迎会。

今年は優勝するぞ!と去年のメンバーが張りきっている。


新入生から遅れること1時間。

上級生のスタート。

1年間生活した学園は、ヒントの答えをすぐに思い付き、サクサクとポイントを貯めていく。

困難な場所は今年は少なく、何故か木の上を指定するヒントが多い。

また私が木に登ろうとすると、エンデ様が登り始めた。

驚いて見ていると、途中、2回くらい危ない所があったけど、無事ヒントを手にして戻ってきた。

ポカーンと見ていた私とチルルに、去年は女子に遅れを取った!とエンデ様は反省し、必死に木登りの練習をしたのだと、クスクス上品に笑いながらレイチェル様が教えてくれた。

ドヤ顔でヒントを掲げるエンデ様は、子供の様で可愛かった。


そしてゴール前。

何故か去年と同じ光景が。

去年とは違う場所に設置されたゴールの扉を、サワサワしている自称ヒロインマニュエル。

何故ここに?!あんた魔法局に隔離されたんじゃないの?!と激しく疑問。

でも近寄りたくないので、距離を取って観察。

他の生徒はまだゴールに来ていないので暫く観察。

ずっとサワサワしてる。

ゴキブリみたい。


「クロ虫みたい」


心の声が出たのかと思ったら、隣のチルルから出た言葉だった。

クロ虫は、その物ズバリ前世のゴキブリと形状も性質も同じ様な生き物で、前世よりも大きく、実に厄介で嫌悪感をもたらす存在。

レイチェル様はクロ虫を見たことがないのか、キョトンと首を傾げているが、ライオット様とエンデ様は声を出さずに爆笑してた。


観察し続けても一向にサワサワを止めない自称ヒロインマニュエル。

さてどうしよう?このままでは、折角上位を狙えるだろうに、他の生徒が来てしまう。

こそこそと相談してたら、ゴールの扉が開き、至近距離でサワサワしてた自称ヒロインマニュエルに、ガンッと音をたててぶつかった。


「……………君さ、去年も直接ゴールに来て、入れなかったの覚えてないの?この扉は、ポイントを貯めた用紙を持ってないと、開かないようになってるんだけど?君が居るとゴール出来ない生徒が出てくるから、さっさと居なくなってくれる?」


普段フレンドリーに過ぎると評判の、生徒会長な第三王子殿下が、聞いてるだけで凍えそうな声で、自称ヒロインマニュエルを注意する。


「あ!やっと会えた~!あなた王子様のクラップ様でしょ?私、マニュエルって言いますぅ!あなたの恋人になる女の子です!」


「言ってる意味が分からないな?君は休みの間、魔法局で隔離されてた生徒だよね?何でここにいるのかな?」


「ええ!かくりなんてされてませんよ~!私の才能がみとめられて~、集中訓練を受けてただけですぅ~。私、すご~くがんばりましたぁ~!」


甘ったるい声で、上目遣いでグネグネしております。


「………………はぁ、それは後で確認するとして、兎に角、ゴールしたいのならポイントを集めて来なさい!」


それだけ言って扉をバタンと音をたてて閉めたクラップ殿下。

ドンドンと扉を叩き、


「ちょっと~、クラップ様~?何で入れてくれないの~?」


とか何とか騒いでいたが、暫くするとやっと扉から離れて、何処かへ行った。


姿が見えなくなったのを確認して、素早くゴールする。


部屋に入ると、


「お~う、君達、去年に続き早いね~!おめでと~!」


キラッキラの笑顔で迎えてくれた。

さっきまで凍えそうな声で、自称ヒロインマニュエルに注意してたのに。

温度差に震えます!

そんな私とチルルをチラッと見て、レイチェル様が、


「クラップ殿下、先程の女生徒の事ですが、彼女は退学にはならなかったのですか?」


「ああうん、見てたんだね。彼女は、魔法局預かりになって、教育し直すって話は聞いてはいたんだけど、何故学園に戻ってるのかは、まだ私にも報告がないのさ!でもちゃんと調べるし、彼女が問題を起こせば、すぐさま処分するから、君達は安心すると良いよ!」


「そうでしたの。何かと話題の彼女が、友人達に無駄に絡まなければ、わたくし達も何も言うことはありませんわ」


「絡まれた事があるのかい?」


「あー、はい。初等部の時に、見目麗しい大神官様が、私の担当教師を務めて下さり、彼女はその事が不満だったようで、言いがかりのようなものを頻繁に」


「成る程。彼女は見目麗しい男性には、積極的に迫っているとの噂だったね?それで、君はどう対処したんだい?」


「え~と、言われっぱなしは気分が悪いので、言い返しました。それでたまに取っ組み合いにもなりまして、その時は友人が助けてくれました」


王子殿下と直接話すのは、物凄く緊張するのか、答えてるチルルの手は震え、声が上擦り、うっすら汗もかいている。

心で応援していたら、友人が止めた、の所でこっちをチラ見して、王子殿下までこっちを見た!


「君は護身術でも習っているの?」


「い、いえ、ただの力ずくです!」


緊張して、無駄に声を張ってしまった!恥ずかしい!

1人でワタワタしていると、皆に笑われた!


そのすぐ後に、ゴールした生徒が部屋に入ってきたので、話は終わり。

何故か皆にクスクスされながら、居たたまれない時間を過ごした。

チルルとレイチェル様に慰められたけど、恥ずかしさは暫く収まらなかった。


制限時間の後に表彰式。

10位以内に入った私達グループは、去年よりちょっとだけ豪華な魔道具のカタログを貰った。

去年は、貰ったカタログから、チルルとレイチェル様とお揃いで、可愛らしいルームランプを選んだけど、今年は何にしよう?



相変わらず、頂いた感想への返信は出来ておりませんが、ありがたく読ませて頂いてます!

大変励みになってます!

ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ポカーンと見ていた私とチルルに、去年は女子に遅れを取った!とエンデ様は反省し、必死に木登りの練習をしたのだと、クスクス上品に笑いながらレイチェル様が教えてくれた。 この後の話になりますが、木登りの練習…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ