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01 やっとスタート地点だよ

・第2章の投稿を開始します。

 話の進行を考えると、第2章というよりは第2話という感じではありますが。

・全8話+閑話となります。


 ようやく満足感を得るほどにお腹が膨れた。


 よし。それじゃあ、さっそくダンジョンマスター修行といこう。


 ダンジョンマスターといえば、ダンジョンを作って、そのダンジョン内に作った罠やモンスター、宝物を配置するのが仕事……って、いっていいのかな?


 お姉ちゃんを生き返らせる際には、お姉ちゃんの体を頭っから造らなくちゃならないだろうからね。メイドちゃんからはまだ詳しくは聞いていないけれど、ダンジョンマスターとしてやることをやっていれば、自然とその辺りの技術も身につくはずだ。


 ……はずだと思いたい。はずだよね? うん。がんばろう。


 ひとりっきりの作業となるわけだけれど、人間不信気味の私にとってはありがたくもある。いまのところ、人の多いところでどうこうしたいって気持ちはないからね。


 食堂(仮)を後にし、私はダンジョン・コアの置いてある部屋へと入った。


 どっちの部屋も本当に殺風景だ。余裕があるなら装飾とかしようかな。


 ラノベとかだと、DP(ダンジョンポイント)なんてものを消費して、ダンジョンを拡張したりモンスターを生み出したりするけれど、実際のところどうなんだろう?


 とりあえず、これには人工無能的なものが備わっているわけだから、質問すれば答えは返ってくるよね。


 変わらずにおどろおどろしい造形のダンジョン・コアに手を伸ばす。


 この乾きかけの血みたいな色とかはどうにかならなかったのかな?


「さて、ダンジョンの扱い方を教えて頂戴な……と――」


 ダンジョン・コアを手に取って命じた途端、イメージが流れ込んできた。流れ込んて来たけれど……。


「うがぁっ!」


 思わず私は叫んだ。


「なんなの!? なんなのなの!? 酷すぎるでしょ、これ!!」


 入って来る情報を遮断し、そして誰ともなく喚く私。


 いや、酷いんだよ。酷いとしか云いようがない。


 ダンジョンマスター修行的なこととして、まず最初にすることは、ダンジョンを作る事。当たり前だけれど。

 で、その作業は穴掘りから入るわけだ。とはいえ、別に道具を手に肉体労働っていうわけじゃない。


 ブロックで出来た世界を崩して造り替える系の箱庭ゲーよろしく、指定した範囲を崩して空間を作って――って感じでダンジョンを手掘り? で作っていくのが最初の修行。


 これはなんとか分かった。そう、なんとか分かるレベルで情報を引きだせた。


 ぶっちゃけよう。(ユーザーイン)(ターフェース)が酷すぎる。混沌としているといってもいい。スマホゲーとかをこのレベルで出したら炎上どころか、即日サ終だ!


 なんで私がこんなに苛ついているのかを、ダンジョン・コアは理解していないし。なんか、ビビってるのが分かるけど。


 うん。ダンジョン・コアは悪くない。こんな有様のUIにした奴が悪いんだ。つか、このダンジョンを作ったのは誰だっ!?


 そんなことを考えたら、私が手に持っていたからだろう、ダンジョン・コアがその疑問を認識し、答えをくれた。


 あのドラゴンゾンビが作成者だったらしい。


 アレ、配置されてたボスじゃなくて、あれがダンジョン・コアの作成者かよ! ダンジョンマスターどころじゃないじゃん! 


 ……もしかして、この混沌としたUIって、一切合切をまるで整理していない状態の思考そのものなんじゃないの?


 あのドラゴンなら問題ないUI? 


 まぁ、いまとなってはその辺りはさっぱりか。そもそもあのドラゴンはゾンビになってたわけだしね。


 よし。ダンジョンマスター修行は後回しだ。


 先ずはダンジョン・コアの取り回しを良くしよう。恐らく現状はver.1.0.0とかのはずだ。この状態のままじゃ修行どころじゃないよ。



 ★ ☆ ★



 ……や、やっと終わった。いや、まだ細かいところは満足できる出来じゃないけど、とりあえず十分な代物にはなった。どのくらい時間が掛かったんだろ? 体感的には3日くらい経ってるんだけれど。腹時計での計算だからもの凄い雑だけれどさ。


 なんとか扱いやすくできたよ。人工無能もバージョンアップできたよ。ちゃんとした会話型AIになったよ。ロボット系ゲームに登場するOSみたいな感じで、少しばかり無機質だけれど。一応、女性ボイスだ。そのうち、流暢に会話のできるレベルにまでしたいね。


 表示関連もスッキリさせたよ。あと脳内に映像を出されても視覚で見ているモノと中途半端に重なって、見にくいことこの上ないし、なんだか3D酔いみたいになるからそれを修正。眼前というか手元というか、そこにポンと画面がでるようにしたよ。いわゆる、異世界転生系ラノベでよくあるステータス表示みたいな感じ。


 操作は音声でも視線でもできるし、タッチしてもできるようにした。


 いやー、最初にくらべると本当にすっきりしたよ。


 どこぞのスマホゲーよろしく、クエストが乱雑にベタベタ重なったウィンドウ表示、なんて感じだったからね。いや、あのゲームの数百倍くらい酷かったけれどさ。


 それと外見もスッキリしたよ。弄った覚えはないんだけれど、なんだか高そうなLEDランプみたいになったよ。


 ふふふ。ver.2.1.0といったところか。ここまで改修して様変わりしたのに、まだver.2.1.0っていうのもおかしな感じだけれど。


 ……ふふふふ、ひとりで悦に入っているのは気持ち悪いというか、滑稽かもしれないけれど、気持ちは分かるでしょ? 分かるよね? この成し遂げた感覚!


 いや……現状は成し遂げなくちゃいけないこと以前のとこにいるんだけどさ。やっとスタート地点だよ。とほほ……。


 まぁ、いいや。とりあえず、表示されているこいつから目を背けるのをそろそろやめよう。


 いや、ね。どうみてもおかしい項目があってさ。


 あぁ、項目関連も、私に分かりやすいようにしたから、基本的に日本語化したよ。で、そのうちのひとつがどう見てもおかしいんだよ。


 いわゆるDPなんだけれどさ。


 DP:108,556,706,098,876,223,089pt


 ……おかしくね?


 というかさ、読めないんだけれど。いや、さすがに数値はわかるよ。そこまでアホじゃないって。で、『兆』の上が『京』なのは覚えてるんだけれど、その上ってなんだっけ?


 そもそもなんでこんな桁数になるほどにエネルギーを貯め込んであるの?


《35万年間ノ貯蓄結果デス》


 ダンジョン・コアが答えてくれた。


 35万年!?


《尚、先日、当だんじょんニ3柱モノ神が存在シテイタコトニヨリ、莫大ナえねるぎーヲ取得デキマシタ》


 3柱。……大神様と私ってことだよね。私はスカスカ状態だったから……今もそうだけど、さして増やしてはなさそうだけれど。あと、メイドちゃんも神様枠に入るのか。


 あぁ、私はともかく、あのふたり……2柱はひと月近くここに滞在していたのね。私が繭からでてくるまで待機していたみたいだ。神様がそれだけ長く滞在していれば、そりゃあ増えるわ。


「エネルギーは侵入者とかから手に入れる、垂れ流し状態の何かってことだよね?」


 私の認識があっているのか、一応、確認してみる。


《ソノ通リデス、ますたー。個体ノ持ツ存在質量ノ生ミ出ス余剰分えねるぎーヲ吸収シ、ソレヲだんじょんハ貯メ込ンデイマス》


 ……。ないよりはある方がいいか。大神様のは棚ぼたとでも思っておこう。


《尚、ますたーハ当だんじょんノ管理者トナリマシタノデ、現在ハえねるぎーノ搾取対象カラ除外トナッテイマス》


 自分の存在質量とやらをつかって、ヒャッハー、無限機関だー! みたなことはできないのね。


 まぁ、それは都合が良すぎるもんね。……今度、大神様が来た時にはできるだけ引き留めてみようか? いや、とりあえずこれだけあれば、大抵のことはできるだろう。


 もっとも、現状はまるで使えないようなものだんだけれどね。


 コア周りを改修しているときに、ちょこちょことはダンジョンマスターができることについては確認したんだよ。


 いまの私は、いうなれば【ダンジョンマスターLv.1】ってところだ。そしてDPを一度に扱える量っていうのが、レベルごとに決まっている感じなんだよ。


 だからぺーぺーの私が一度に扱えるDPは、いいとこ10ポイントくらいなんだよね。


 この悲しいお小遣いレベルのエネルギーをちまちまと使用しながら、ダンジョンマスターとしての経験を地道に詰むのが最初にやるとこだ。


 なんだか、あのブロック世界の箱庭ゲーをよろしく、鉄鉱石や石炭を掘りに行くみたいな感覚だよ。


 さて、それじゃあ、整地からはじめるとしましょうか。




 着替えたよ。


 土木作業をするのに、学校の制服はさすがにダメだからね。


 ということで、学生にとっては定番のジャージだ! 寝間着替わりなのかなんなのかは知らないけれど、メイドちゃんが用意してくれてたみたいなんだよね。食堂(仮)の片隅に着替えがいくつか置いてあったんだよ。見覚えがある服だから、多分、私の記憶から情報を得たんだろうなぁ。


 で、今着ているのは中学の時のジャージと同じもの。中学の時のジャージはトレーナータイプだったんだよ。私はどうもあの前開きのジャージがいまいち好みじゃなくてさ。


 今にして思うと、前開きじゃないジャージって珍しかったのかな? まぁ、どうでもいいか。


 さぁ、それじゃあ、まずやることは穴掘りだ。ダンジョンマスターとしての基本だ。恐らく、多分、きっと。


 穴を掘り始める場所は、この最奥部であるダンジョン・コアの部屋。隣の食堂へと通ずる扉の真正面の壁を掘っていくよ。


 地下大空洞を作るつもりだから、まずは斜めに階段状に掘っていく。感覚的には掘るというよりは……削る?


 みょん! というような効果音でもしそうな感じで、目の前でフレームだけの立方体が現れてフヨフヨと浮かんでいる。もちろん、実体じゃない。


 おおよそ10センチ四方の小さなものだ。


 この立方体の範囲が、いまの私が一度に採掘できる範囲だ。一応、質量……いや、容量? を変えなければ、変形させることも可能だ。


 これを壁に通して採掘すると、ダンジョンのストレージに掘りだしたものが保管される。


 ダンジョンマスターレベルが上がれば、この採掘範囲、量は大きくなっていく。


 まぁ、まだLv.1だからちっさいのは仕方ないね。根気よくやって行こう。


 ポコポコと壁に穴を開けていく。床に接したところから順繰りに。


《DMレベルがあがりました》


 10個ほど採掘したところで、アナウンスが頭に響いた。


 ……レベルあるんだ。


 技能的なものだから、明確な形でのレベルがどうこうってないと思ってたんだけれど。いや、さっきはLv.1とかいってたけれどさ。あれは例え的なつもりだったんだけれどな。


 さて、Lv.2となって、なにが変わったんだ。


 お、一辺10センチくらいだったのが20センチになったよ。一気に容積8倍だ! 一度に使えるDPも20になった!


 ……8倍と云っても、なんか、あんまり変わらないよ。スコップを使って掘った方が早そうだよ。いや、土じゃなくて石だから、スコップじゃ無理か。……つるはしを振るうよりは楽かな?


 まぁ、効率はいまよりは上がるだろう。


《ぺーすハ十分以上ニ早イデス》


「そうなの?」


《人間デアレバ、3ツモ採掘スレバ倒レマス》


 効率悪っ!


 え、これってそんなに重労働なの?


《ますたーハ簡単ニクリ抜イテイマスガ、一度クリ抜クゴトニ転送スルコトハ、人間ヲ始メ、大抵ノ生物ニトッテ大キナ負担デス。DMトシテ経験ヲ積メバ問題ニナラナクナリマスガ、人間ガ高難度魔術デアル時空術ヲ操ルコトハ、現状デハ無理ナ話デス》


 あぁ、掘りだしたものの回収にも労力がいるのね。なるほどなるほど。いわゆるМP切れで昏倒ってことか。


「転送しなかった場合だと、どのくらい掘れるの? 人間だと」


《倍ノ6ツモ採掘デキレバ良イ方デショウ》


 うわ、大変だ。それにくらべて神のチートっぷりはヤバいな。疲れ知らずじゃん。お腹は空くけれど。それこそやたらと。


 あ、ごはんはダンジョン・コアを使って出してるよ。DPを消費して、簡単に食べられるサンドイッチとか出してる。私の事だし、多分、面倒臭くなったら、カロリーブロックとかにして、齧りながら作業してそうだ。


 なんか日本の食品関連が普通にテンプレのメニューに入っているんだよね。私の記憶によるものなのかな? まぁ、お気に入りのパンとかお菓子を出せるのはありがたいけれど。


 丸志摩(地元の和菓子屋)の豆大福が食べ放題とか最高。


 さて、それじゃ、飽きてやる気がなくなるまで掘って掘って掘りまくろう!


 目指すのは、最低でも東京ドーム1個分の大空洞だ!



感想・誤字報告ありがとうございます。


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