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目が覚めたら目の前にドラゴンがいたのでとりあえず殴りました。  作者: 和田好弘
第4章:侵略を受けていますが概ね平和です
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※ よっ子の機体紹介


 今日はウチの子たちを紹介するね!


 あたしはレプリカントの4人目。よっ子って呼ばれているよ。その内、お母さんがちゃんとした名前をくれるって約束してもらってる。


 もちろん、“名付け”が大変なことは知ってるよ。だからその時をいまから楽しみにしてるんだ。


 ……違う。今はあたしの話じゃない。


 紹介するのはウチの子たちだ。


 まずはこの子。


 プロトヴァルガ―!


 ダンゴムシとかいう昆虫……昆虫? 昆虫じゃないよね。足が一杯あるし。えーっと……節足動物?


 んと、なになに……海老の仲間……?


 ……と、とにかくそれを模した機械よ。ロボットって云ってたかな? オートマトンとなにが違うんだろ?


 変形するとまんまるになるんだよ。私より頭1個分くらい低くて、乗るには丁度いいんだ。


 あたしはひと目見て気に入った。


 だからプロトヴァルガ―によじ登って前方を指差すなりこういったんだ!


「全速前進da!」






 怒られた。


 最下層を適当にぐるりと回って、1時間くらいで帰ったんだけれど、お母さんに怒られた。


 これは乗るように作っていないから危ないって。


 こうしてプロトヴァルガーは倉庫入りになっちゃった。現状、使う場所がないって。解体する予定はないから、きっと、そのうち役立てる場所ができると思う。


 できるかな?


 できるといいなぁ。




 次はヴァルガ―。


 プロトヴァルガ―で不具合を洗い出し、改良した機体がヴァルガ―だ。


 そのサイズはプロトヴァルガ―の約2倍。かなりの大きさだよ。


 えーっと、ローリングストーンっていう罠の要になるんだって。


 ……ローリングストーンってなんだろう?


 お母さんに教えてもらった。というか、見せてもらった。


 ……。

 ……。

 ……。

 ……うわぁ。


 おっきい丸い岩を転がして、対象を押しつぶす罠。


 僅かに逃げる猶予を与えているところが嫌らしい。


 基本的に対象を誘導する罠で、押しつぶすことがメインとする罠じゃないみたい。でもウチだと押しつぶすことをメインにするんだって。


 そして実際に実装された罠の試用運転結果も見たよ。


 だって、ヴァルガ―たちの初仕事だもん。見ないわけがないでしょ。


 それでね……。


「お母さん」

「うん」

「ちょっと酷くないかな」

「そうね」

「見直そうよ」

「掃除が大変だものね」


 ……あれ?


 お母さんは汚れた通路とヴァルガ―の心配をしている。


 いや、ヴァルガ―があんなふうに汚れるのは嫌だけれど、違うよお母さん。そうじゃないよ。


 こう、もっとひと思いに始末しようよ。スマートに。


「でもこの方がDPを稼げるらしいんだよ」


 え!?


「なんでも、必死にさせたほうがいいんだって。私だってあんなミュージカル風の悲鳴なんて聞きたくないよ。無駄に苛々するし」


 ……ミュージカルってなんだろう?


 聞いてみたら、映像を見せてもらえた。えーっと、歌劇っていう演劇らしい。


 うん。よくわからない。歌と演劇は別々でいいんじゃないのかな?


 好きな人は本当に凄いハマるんだって。でも、あたしにはわかんないや。


 お母さんは? あ、お母さんもなんだ。えへへ……。


 血肉に塗れたヴァルガ―や通路は、スライムさんたちが綺麗にお掃除する手筈になったよ。


 これで安心だね。あたしが整備するときに、こびりついた肉片とかを除去する羽目になるのは、ちょっと嫌だからね。




それじゃ次。


 カラッパ!


 うん。カラッパだよ。ハズカシガニっていうカニがモデルの騎乗機械。……内部に乗り込む形式でも騎乗でいいのかな? まぁ、乗ることには変わりないから、騎乗でいいか。


 あたしがヴァルガ―を乗り回したりしないようにと、お母さんが作ってくれたんだ。


 ……うん。危ない真似をさせないために、安全なものを、ということで作ってくれたんだよ。


 お姉ちゃんたちに怒られた。なにをやっているのかと。わがままをいうなと。


 いや、その、わがままは云ってないよ。


 ただ、まるっきり信用されてなかっただけだよ。ヴァルガ―に乗らないって。


 ……。


 一番上のお姉ちゃんにさんざんお説教された。案山子教官に取り囲まれて生きた心地がしなかったよ。


 って、そんな騒動はどうでもいいんだよ。


 カラッパは大型の騎乗機械で、そのお腹から内部に乗り込み制御する。自分で動かすっていうのは、すごく気持がいいんだよ。


 武装は敵に取りつかれた時に、それを引きはがすための電撃兵器。広域スタンってお母さんは云ってたよ。

 カラッパの表面を電撃で覆うんだって。カラッパから周囲1メートルくらいまでが効果範囲になるみたい。


 だから、その範囲にいる者は、電撃で麻痺状態になるよ。


 でも基本は防御なんだよ。


 なにせ、カラッパのハサミはどうみても盾にしか思えないような感じだからね。


 だから、丸くなって、敵が近づいたら電撃、っていうのが基本だね。


 カラッパは現状2機。


 1機はいわずもがなで、私のカラッパ。メタリック塗装の赤銅色。見ようによっては、琥珀のようにもみえるよ。


 もう1機はメイド様のカラッパ。こっちは翡翠色。




 そして最後がアテルガティス。


 お母さんの専用機だ!


 これもカニ型の騎乗機械だよ。マンジュウガニをモデルとしているんだって。マンジュウガニもハズカシガニ同様にまるっこいカニだ。ただ、そのフォルムは攻撃的な感じ?


 カラッパはハサミが盾みたいだけれど、アテルガティスは普通のカニと同じような感じだよ。


 アテルガティスが造られた背景は……その、私たちが原因かな。主に私とメイド様。


 当初、お母さんは自分用の機体としてカラッパをもう1機創るつもりだったんだよ。でもそれに私たちが反対したんだ。


 だ、だってさ、もう1機カラッパを創ったら、それは3号機になるじゃない。お母さんが乗る機体が3号機とかダメだよ。


 まずメイド様がこんこんと説得をした。


 それこそ示しがつかないとかなんとかいろいろと。


「え? 私はそんなの気にしないよ」


 お母さんは自分さえ良ければ評判とか一切気にしないみたいだ。


 どうしようもなくなって、泣き落としにした。


 あたしがやったよ。そしたらお母さん、すごい狼狽えちゃってね。


 ……うぅ、もの凄い悪いことした気分だよ。でも事が事だから、お姉ちゃんたちもさすがに私を叱るわけにはいかなくって、困った顔をしてたよ。


 こういう時こそ怒って欲しかったんだけれど。だってお母さんを騙しているようなものだし。


 そんなこんなで、お母さんが頭を抱えて乗騎をどうするか悩んだ末、生み出されたのがアテルガティスだ。


 結局カニになったって、悔しそうにしてたけれど。


 色は赤。見た感じはルビーかガーネットかと思えるような、透明感のある見た目になっているよ。


 装備はカラッパと一緒。そして攻撃手段は殴る。カラッパは守るが基本だから、実のところハサミの動きは少しばかり鈍いんだ。でもアテルガティスはブンブンと素早くハサミを振り回せる。


 カラッパも可愛いけど、アテルガティスも可愛い。


 カラッパは単色だけれど、アテルガティスは甲羅部に紋様が入っているんだよ。なんでもスベスベマンジュウガニの甲羅の紋様を単純化して入れたんだって。


「なんだか意匠化した月桂樹模様みたいになっちゃったよ」


 って、お母さんはぼやいてたけれど。


 綺麗だと思うんだけれどなぁ。




 あ、そうだ。


 あともう一機あるんだった。まだ創られてはいないけれど、創る予定のもの。


 大型の人型機械。名称は未定。


 ラスボスとして配置するんだって。現状では、一番上のお姉ちゃんが操る予定。


 そうでなくとも、乗り込んで操縦するようにするみたい。ちょっと楽しみ。


 娯楽室にあるゲームに、そういう人型機械の登場するやつは沢山あったからね。


 どうせなら各パーツを用途に応じて変更できるようにとかしないかな。


 お母さんに云ってみよう。


 と、その前にカラッパの整備をしないと。砂が入っちゃったからね。関節部を布かなにかで覆うようにしないと、地上での運用はやめたほうがいいね。


 さーて、がんばるぞー。


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