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04 孤島ダンジョン攻略者の来訪_②


■トラスコン王国バンダル領軍遠征部隊長ハヤル


 初戦を終えた。魔物はゴーレムで間違いない。が、種別が不明だ。本来ゴーレムはその素材で区別される。だがこれはなんで出来ているのかさっぱりだ。


 木でもなければ石でもない。


 とはいえ、メイスで十分に対処できる。いくら実戦未経験の新人でも、一応は訓練を受けているのだ。1対5で負けようものなら、目も当てられない。


 だが問題なのは練度の低さだ。まぁ、まだまだ素人あがりの新人ばかりなのだから仕方ない。故に、盾役として私が立ち回っているのだが、これはあまりよろしくない。


 実戦では盾役など基本的に役に立たん。防衛線において、盾……というよりは、取っ手をつけた移動式の塀、壁というようものを数人がかりで用いる場合もあるが、普通の大盾で敵の攻撃を受け続けるというのは悪手でしかない。継戦能力が著しく低いのだ。


 現状ではゴーレムは単体でしか出現していないため、どうにかなっているが。


 ……というか、新人共の連携攻撃のいい訓練になっているのだが、これはなんの冗談だといいたいくらいだ。


 さらに進む。


 ゴーレムの数は変わらず1体ずつしか遭遇しない。


 だが、その戦い方の練度は少しずつ上がってきているようだ。そのおかげもあってか、新人共の練度の上りがいい。


 ……いや、待て。おかげ(・・・)だと? おかしいだろ。


 実戦に勝る訓練はないというが、まさにその状態だ。


 新人達にとって最適な強さのゴーレムが単体で現われるというのは、本当にどういうことだ?


 7層に入るとゴーレムの数は2体に増えた。だが、その単体の戦闘能力は6層で遭遇したモノよりも弱い。


 8層、9層と順調に進む。まるで集団戦の演習をしているような錯覚を覚える。新人達も立ち回りや己の役割、なにをどうすべきかを理解し始めたらしく、私の負担も減り始めた。


 とはいえ、ゴーレムの戦闘能力が高くなってきているため、攻撃を受ける際の衝撃は大きくなってきている。


 現状、連中には攻撃にほぼ専念させているわけだが、ここからはより周囲に注意を回し、回避行動に注力するように指導しよう。


 恐らく、私だけではさばききれなくなる。……判断が遅すぎたな。まぁ、最悪撤退すれば問題ないだろう。






 判断の甘さを思い知る。


 12階層。まさか最下層がこんな浅いと誰が思うか。どんな浅いダンジョンも、最奥は15階層以上下だ。でなければこういったダンジョン最奥を護るガーダーは存在しない、ダンジョンと呼べないような穴倉だ。


 目の前にいるのは1体。だがその大きさは人の2倍はあるだろう。そしてこれまでと違い、その姿は鎧兜を纏った騎士だ。


 より正確に云えば、鎧兜姿の騎士の巨大な彫像だ。それも人と違い、背面も正面とまったく同じデザインとなっている。

 関節も人のそれと違い、完全に自在に動くために人を相手にするようにはいかない。


 これまでのゴーレムもそうであったが、この巨大ゴーレムはそれに加え、その動きが遥かに滑らかで、速い。


 それになにより、その威容に新人共が怖気づいている。


 士気の喪失。戦意が折れては戦うことなどできようもない。竦んだ足を抱えて、ただ自身が殺される様を見るのみだ。


 ゴーレムが跳ぶように一気に間合いを詰め、その拳を突き込んで来た。


 その手には金属製の角材横に柄のついた奇妙なクラブのような武器。これまで戦ってきたゴーレムすべてが装備していた武器と同じものだ。


 援護に入り、盾で攻撃を受ける。


 予想通り、その衝撃は凄まじい。が、それ以上に、腕にかかる盾の感触と音に顔を引き攣らせる。


 まずい。ただの一撃で盾が逝った。良くて2撃。下手をすると、次の一撃を受けた時点で終わる。


「撤退だ!」


 怒号をあげるように叫ぶ。


 どうやらこれで、竦んだ足も動くようになったようだ。


 後は――


 この大部屋は最奥だと思っていたが、まだ先がある。


 ここに入った際にしっかりと周囲は確認した。奥にみえる扉。こんな化け物が配置されているのだ。あの扉の先こそが最奥、ダンジョンマスターの居場所だろう。


 新人共がバタバタと撤退していく。……逃げ方を教えておくべきだったな。


 そしてそれを尻目に、こっちは奥の扉に向かって全力で走る。こいつはあの扉の向こうへ通さないための門番だ。


 ならば、新人共の方ではなく、俺の方に来るハズだ。


 これみよがしにゴーレムの前を横切るように奥の扉へと走る。案の定、ゴーレムは不格好に逃げる新人達を追うのを止め、こっちに向かってくる。


 向き直りの動作が不要であるためか、予想よりもずっと速い。


 これじゃあの扉を開ける間がない。そもそも開くかどうかもわからんが。


 ちっ。その時は諦め――


 左へ転がる。直後、私が直前まで立っていた場所に、ゴーレムが飛び込んできた。ジャンプし、右の拳を私に向け突き下ろして来たのだ。


 さすがに速い。これでは例えあの扉があっさり開いたとしても、逃げ込むだけの時間は取れないに違いない。


 まさに万事休す。


「隊長! 急いで!!」


 あのバカ!


 斥候役のひとり、背の低い方が扉を開け、俺を呼んでいる。


 なんで逃げていないんだよ!!


 俺たちは開かれたその扉の向こうへと転がり込んだ。直後、ドカン! と、凄まじい衝撃音が扉のすぐ向こうで聞こえた。


 まさに間一髪だ。


 身を起こし、慌てて扉を閉める。


 やたらと分厚い金属製の扉だ。そうそう破られることはないだろう。それにこの間口のサイズでは、あのゴーレムは通れまい。


「やれやれ。随分と騒がしい来客だねぇ」


 のんびりとした女の声に、俺は慌てて声のしたほうに振り向いた。


「いらっしゃい。ご苦労さんというべきかな?

 道中の様子を見てたよ。実に堅実だったね。でも最後は頂けないよ。ちょっと強い相手が出ただけであっという間に瓦解するとか、いくらなんでもメンタルが弱すぎる。それにいったいどういう判断だったのさ? 例え囮であったとしても、逃げるのにダンジョンの奥を選んじゃダメだって」


 そのだだっ広い玄室の中央には、見慣れない板のような……敷物? が置かれている。そしてその上には布団の被せられた丈の低いテーブルだろうか? がある。


 そこに黒髪の少女が座り、手にしていた書物を脇に置きつつ私たちに視線を向けていた。


 彼女がダンジョンマスターだろうか?


 訓練通り戦闘に入ろうとした斥候役の小僧を手で制す。


 まったく、他の連中は素直に撤退したというのに、なんでこいつはついてきたんだか。これでは囮になった意味がない。とはいえ、おかげで助かった? わけだから、叱るに叱れんな……。


 ダガーを構える小僧を見た少女が、やれやれと云わんばかりの顏で、これ見よがしに肩をすくめる。


「そういうことはやめた方がいいかな。いまのところマスターは無関心だからね。あんたたちへの対処の指示をするだけして、あとは私らのお任せだ」

「ほう。随分と無責任なんだな。ここのダンジョンマスターは」


 少女の目が僅かに細まる。


 ぞわり、と戦慄が走り、たちまち足が竦んだ。


「……お前、殺すよ? 私らに丸投げしているってことは、それだけ私らを信頼してくださっているという証拠だ。だからこそ私らは全力で事に当たり、全霊を懸けて結果を出すんだ。お前んところの恩知らずと一緒にするな」


 いつの間にか囲まれていた。


 黒味がかった半透明の人型をしたなにか。ゴーレムのようにも見えるが、明らかにゴーレムではない。


「きちんと会話しようと思ったけれど、その気も失せた。私の質問にだけ答えろ」


 少女が殺気を放つ。それも尋常じゃない。戦闘に無縁な者たちなら、逃げることもできずに足が竦み、諦めることを選ぶしかできないレベルだ。


 そんな殺気に当てられ、小僧が降ろしていたダガーを再び構えた。ガタガタと震えながらも。


「勇ましいことはいいことだ。でも、相手を選べよ、お嬢ちゃん」


 彼女がニヤリとした、その容姿に似つかわしくない笑みを浮かべる。


「さてとだ。ここに来た目的は? 単に稼ぐために来たわけじゃないよね? あんたらがどういう経緯でここに来たのかは知っているからね」


 なに?


「とはいえ、実際に喋ってもらわなくては確定しない。単なる憶測ってことになるからね。で、目的はなんだ?」

「このダンジョンの攻略だ」


 俺は答えた。だが少女はそれだけでは納得しないようだ。


「攻略、ね。で、その攻略したと決定するための条件はなんだい?」

「条件?」

「なにを以てして攻略したとするかさ」

「そんなもの決まっているだろう。ダンジョンマスターを始末し、ダンジョン・コアを確保することだ。それが俺たちの仕事だ」


 それがあの盆暗から命じられたことだ。


 少女は大仰に肩をすくめて見せた。


「ははは。随分とトラスコンの木っ端貴族様は剛毅で偉いんだな。まさか神を殺すと宣言するとは思わなかったよ」


 は? 神?


「あぁ、安心しな。我が母たる主様は慈悲深いんだ。だからあんたらのことなんざ見逃してくれるよ。というより、歯牙にもかけないよ。

 でもね……」


 そう云って、少女は口元を歪ませるような笑みを浮かべた。


《告:神代行たるシステムより、トラスコン王国はバンダル領領主に告げる。身の程知らずの愚か者。貴様の神殺害宣言に対し、我らは貴様を神敵と認定した。貴様にとって我らが敵であるように、我らにとって貴様は敵だ。なれば、貴様が殺すと宣言した神よりの加護を受け続けるというのもおかしかろう。貴様の加護は今この時をもって剥奪する》


 突如として聞こえてきた謎の声。この無機質な、感情の一切伴わない口調。これは――以前に聞いたことがある。


 そう、確か――


「その顏は神託に覚えがある顔だね。いやはや、覚えていたようでよかったよ。説明が捗る。

 以前に、冒険者協会がやらかして酷いことになったのを知ってるだろ?

 残念だったね。云ったように、女神様はこの程度の些事を気に掛けることはないけれど、システムは赦さないってさ。そしてもちろん、女神様の配下たる私たちも絶対に赦さない。とはいえ、お前たちは無事に帰せと女神様に厳命されているんだ。だから見逃すよ。あんたたちはただの使い走りだしね。とっとと帰りな」


 少女がそう云った途端、俺たちの足元に魔法円が浮かび上がった。目の前が金色の光に包まれた瞬間、突如として風景が変わった。


 ここは――ダンジョンの入り口か?


 小僧……いや、娘っ子か。……なんでこいつは男と偽って兵役志願したんだ? いや、まぁいい。


 周囲を見回していると、部下たちがまさに這う這うの体という調子でダンジョンから飛び出してきた。


 そしてその直後、そのダンジョンの入り口が岩で塞がれた。


 その岩肌には木製の看板が埋め込まれている。



 【準備中】



 ……。


「これは……もう、はいれませんね、隊長」

「はぁ。どう報告したものか。……いや、あんな盆暗に怒鳴られるのも我慢ならんな。そもそも、俺たちが死のうとどうでもいいと考えて、ここに送り出したのだろうしな。お前ら、身寄りはあるのか?」


 そう問うと、皆互いに顔を見合わせ、首を振った。


 俺は顏に手を当てため息をついた。


 家に置いてきたもんは諦めるか。まぁ、たいしたもんもないしな。


「ステルッカに未練はあるか? 俺はもうあの盆暗の治める場所に帰る気になれんのだ。独り身だし、親はもうとっくに死んじまってるしな。未練らしいもんなんて何もねぇ。

 もうこのまま、別の町に移住しようかと思う。ホレ、ここからも見えるだろ、あの半島に数年間にできた町じゃ、いまもまだ移住者を求めてるらしいからな。そこに行くつもりだ。お前らはどうする?」

「私はずっと隊長と一緒です!」


 ……そういや、こいつ、お嬢ちゃんって云われてたな。なんで男装なんてしてるのかは分からんが。というよりも、なんでこんなに俺に懐いてるんだ? さすがに父親と思われるほどの歳じゃないんだが。


 そんなどうでもいいことを考えていると、他の連中も俺と一緒に行くと云いだした。


 ふむ、他の連中も未練はないか。


「よし。それじゃ、ここからすぐ北の半島に向かうぞ。確か、アッディ村だったか。砂エルフの集落に砂走船の定期便が停泊するはずだ。それに乗ってロージアンへとまずは向かおう。盆暗には……報告書を送っとけば問題なかろう」


 この島から半島まではたいした距離じゃない。だがここらの海獣は脅威だ。この島に辿り着くまでに、航海運を使い果たしてないことを祈ろう。


 そして俺たちは、島を発つべつ、船へと足を向けた。



 ★ ☆ ★



■雷花


 先生を膝にのせて、初級ダンジョン用のモンスターとして配置するゴーレムに関して、あれこれと設定する。


 初心者ダンジョンである【サンティの塔】は、個人戦闘能力の訓練施設として運用している。そして初級ダンジョンは集団戦の訓練施設とする予定だ。


 もっとも、集団戦といっても冒険者パーティ向けとなるため、多くとも8人程度での集団戦だ。まぁ、軍隊向けの訓練施設にするわけでもないから、これで十分だろう。


 人死にの出ないように調整しているが、VRダンジョンではないため事故は起きるだろう。実際、各国の騎士や兵士の訓練でも死亡事故は起きているのだから、気にすることはないかな? それとも、配置するゴーレムの武器をスポーツチャンバラ使うようなエアーソフト剣的なものを持たせるか。あんなんでも、当たり所によっては脳震盪を起こしたりするからね。


 いや、中学の時さ、男子が悪戯で丸めたわら半紙で、クラス新聞を作ってた男子生徒の後頭部を叩くなんてことをしてね。叩かれた男子、脳震盪を起こして倒れたんだよね。当たりどころが悪いなんていうけれど、こういうことかと驚いたものだよ。


 だから武器の威力なんて、素材で決まるわけじゃないんだよ。ダメージソースの安定性が違うだけで。


 ま、ダンジョンでは実戦なんだから、多少のリスクは仕方ないね。


 初級ダンジョンは2人以上のパーティ推奨とするが、幻獣ありきであればソロでの攻略も可能なものとしておく。幻獣との連携と人同士の連携では違うところも多いだろうが、ゴーレムたちの対処方法をそれぞれに合わせて変更することも無いだろう。


 問題なのは――


「人型ばっかりだと単調だよねぇ」

「アニメで見た、クモみたいな六足のゴーレムなら出せるわ!」

「あれ、先生、そんなのも作ったの?」

「壁や天井にも張り付いて、トリッキーな機動をとるのはとても興味深かったもの。試作して、同様の機動ができるようなったわ。もちろん、天井にも張り付けるわ」

「おー」

「でも重量の問題で軽量化しまくったから、材質のせいでちょっと脆いの」

「あー……重いと天井にはりつけないしね」


 重量問題はなぁ……。確かに材質でどうにかするしかないよねぇ。いや、待てよ。スケルトンナイフみたいな感じにするのはどうだろう? 下手に肉抜きすると打撃に弱くなりそうだから、応力? だかなんだかを考えて網目なフレームを造れば、どうにかならないかな? ゴーレムだから、コア無しタイプにすればスカスカでも問題なく動くしね。コストは嵩むけど。ということで、先生に提案してみよう。


 そんな感じで、もはや当初の目的を忘れ、小型、軽量、天下無双、騎乗可、なゴーレムのデザインを如何にするかの検討会になってしまった。


 いや、孤島ダンジョンのボスだったあの鉄塊ゴーレムは無敵無双の答えのひとつだと思うんだけど、さすがにゴリ押し過ぎて美しいとは思えないんだよね。個人的には突き抜けてて好きなんだけどさ。

 だからそれとは違う方向で、且つ大きくても3メートルくらいでどうにかしようと先生と盛り上がっちゃったんだよ。


 ただ打たれ強いだけの鉄塊より、華麗な動きで翻弄する方がカッコいいというものよ。


 そんなわけで、庭先にスカスカの籠みたいな雰囲気の蜘蛛型ゴーレムを試作したところ、どうにも見た目が微妙。


「うーん……」

「隙間が多すぎて、形状を把握できないわ! 見栄えは大事よ」

「表面を防刃布……刃物を通さない布、アラミド繊維だっけ? それで覆う? それならさして重量は増えないでしょ」

「え? なにその素敵な素材」


 そんな感じでどんどん趣味に突っ走った採算度外視なゴーレム試作機が完成に近づいた頃、デメテルから報告が来た。


《孤島ダンジョンに来訪した者たちの対処が完了しました》


「あ、終わったんだ。それなりに穏便に済んだ?」


《彼らを送り出したトラスコン王国の盆暗子爵が神敵認定されました。トラスコン貴族、及び今回の探索に派遣された者たちには神託として知らされています》


 は?


「え、なんでそんな大袈裟なことになったの?」


《マスターに対し殺害宣言をしたのです。当然です。六花はもとより、それ以上にシステムが激怒しています》


「いや、そうはいっても私が何者か知らないでしょ。私は『無知は罪じゃない』とは云わないけど、猶予くらいはあげなよ」


《システムに落ち度はありません。現状は首謀者の加護剥奪で抑えています。後は、トラスコン王国中央がどう動くかで、システムは今後の対応を決めるかと。

 それと追加の情報ですが、首謀者は被害者令嬢の父ではなく、兄であるとのことです。先代は娘の敵討ちを果たしたことで、いわゆる燃え尽き症候群に陥ったらしく、息子へと代替わりをしました。息子は盆暗です。正しくクズです》


 クズって。そんなのを後継にしたのか、あのマッチョおじさん。他にまともな人材はいなかったのかな? それとも子供可愛がりのダメ当主だったのかな?


《如何に倫理観の低い現人類社会であっても、血族の敵討ちに貢献した者を欲の為に殺すなどというのは、人として下衆の所業です。

 マスターの命が無ければ、六花はあれらを始末していたでしょう》


 六花が対応したんだ。まぁ、人選としては一番無難かな? あの子はきちんと話し合いをするし。他のレプリカントたちは……かなり我が強いからなぁ。

 一花なら問題なさそうだけど、基本的に家事以外のことはやりたがらないし。ドーベルク行きのときは人手不足から行ってくれたけど。というか、玖印と士穏を止められるのが一花くらいだったからなぁ。


 いや、そもそもだ。私を殺そうなんて云ってる奴を穏便にどうにかする謂れはないな。なんで私を殺すといってる輩に忖度しなくちゃいけないんだ。つか、その労力がもう面倒臭い。


「そっちはもう、任せるよ」


《了解しました》


 さて、初級ダンジョンだ。初級ダンジョンは港ダンジョンを再利用するつもりだったんだけど、孤島ダンジョンにしたほうがいいかなぁ。

 ただこっからだと距離が遠いんだよねぇ。祠の村より遠いんだよ。孤島ダンジョンはもう閉鎖するか、それとも居住区画を作って、初級ダンジョン攻略に専念してもらうか。いや、でも、あの島を発展させたところでなぁ……。


 うん。私がひとり悩んでいても仕方ない。これに関しては探索者さんたちにアンケートを採ろう。その結果次第で、アリの巣区域みたいに初級ダンジョン区をつくってもいいしね。なにせここ、広さだけは馬鹿げてるし。


 そう決めて、私は再び先生とゴーレムの試作を続けた。



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