携帯の光
私が着いて見たものは誰もいないただの真っ暗な公園だった。それでも私は、公園にあるベンチまで近寄るのである。
でも、そこには見覚えのある明かりとバイト帰りによく見る女性の姿はどこにも見当たらなかった。
『これが現実なのだ、私には待ち人などいるはずがない、そもそもあの女性とは接点なんてなんにもないではないか、一度も喋ったことなんてないではないか………なんでわからないんだ。』
そう思いながら、私はため息とともにそのベンチに腰を落とす。
そして私はポッケに入れてある携帯を取り出し私の顔を照らす。
携帯の時計は22時10分を示していた。
ここまで来るのに10分しかかかっていない。
そこで私は携帯のロックを開き、携帯をいじるのである。
あの女性はどんな思いでここに座り、どんな思いで携帯を触っていたのであろう。
そんなふうに考えながら私は携帯を触る。
何時間経っただろう。
時間を見る。
時間は22時半だった、20分しか経っていない。
また、ため息を打つ。
誰も来る気配すらない、とても孤独である。
あの女性はこんな孤独な思いでここに座っていたのだろうか、なぜ私は今まで彼女に喋りかけなかったのだろうか、そう思い悔やんだ。
そうして、また、私は携帯を触る。
1時間ぐらいたっただろうか。
また時間を見る23時だった、30分しか経っていない。時間がとても長く感じた。
ふと、私は思う。
なぜ私はここに、このベンチに、この公園にいるのだろうか。
いつの間にか私が待ち人になってしまっていた。
いつも夜、ここの公園に一人でいるあの女性の……
そう思っているうちに誰かが近づいてくる気配に気づいた。