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僕の完成

作者: 新山七瀬
掲載日:2018/06/10

僕は何かを生み出すのが好きだった

でもそれと同時に完成させることは苦手だった


絵も

小説も

歌も


色んなものに手を出しては

何一つ完成させることが出来ずに

ただ積み重なっていく


何なら完成させられるのか

何なら最後まで作れるのか

これは僕にとって深刻な悩みだった


何をしても中途半端で

でも代名詞が欲しくて

これこそがと思えるものを探して

片足突っ込んで

何も成せずに

ほのかな自己嫌悪を残して終わる



かつて熱をあげていた、いろんな方向性の未完成物質を眺めながら僕は途方に暮れていた


例えばそこの絵の具の塊

描き切る前に移ろいゆく対象物は

まるで僕の絵筆の遅さを嘲笑うようだった


例えばそこの色の集まり

現実をデフォルメして描くそれは

描いていくうちに何が正しいのか分からなくなった


例えばそこの言葉の寄せ集め

どんな言葉も思う世界を紡ぐには足りなくて

書いていくうちに語彙力の無さを

想像力の乏しさを自覚させられてるような気がした


例えばそこの音の集まり

何の音色をどう組み合わせても

心地よい旋律にはならなかった


例えばそこのアルファベット言語の集まり

何かを表示させるにも必要なナントカ言語すら覚えられなかった



そもそも僕は何かを作るのに向いてないのではないかと思い始めた


誰かの作品をなぞってみるのはどうだろうか

基礎の部分だけ借りてみようと思った



誰かの歌を歌ってみた

さほどうまい歌声でもなかった

自分の声だが気に食わなかった


誰かのダンスを踊ってみた

それなりの完成度にすらならなかった

身体が思うように動かなかった


誰かのゲームをプレイしてみた

思うように動かせなかった

やり込む前に心が折れてしまった




結局僕は何もできないのだろうか?

ほのかな、どころか大きな不安と自己嫌悪に押しつぶされそうになる


このままなにも誇れるものがない人間だったらどうしよう


無様でもいいから最後までやることが大事だと言われたあの時を思い出す


僕は未だに何一つ完成させることが出来ていません

そのことにずっと心を締め付けられている


無様だなぁ

未完成の作品が、じゃない

あれこれと言い訳をつけて未完成のガラクタを生み出すだけの、この僕が無様でしょうがない



僕には責任能力がない

一度手をつけた作品を最後まで続ける責任がない


情熱も足りない

最後まで正面に向かい続ける情熱が足りない


なにより才能もセンスもない

思いついた傑作も

三日後には駄作としか思えない



つらい

なにもうみだせていない

おもうようにいかない

こんな人生がいやになってくる


ほこれるものもない

がんばれるものもない

ほめられるものもない

「生きてるだけでえらい」?

そんなコンテンツもあったっけな

僕がえらいわけないだろ

ガラクタしかうみだせないこの僕は

存在していていいわけがない


僕は悩み続けた

何か1つくらい自分の手でやり遂げたかった


責任がもてなくても

情熱がなくても

才能やセンスがなくても


こんな僕でもできそうな完結作品を











これだ。


僕は自分の部屋を綺麗にした

塵芥を払って

家具をきれいに並べて

未完成の作品たちで

天井を、壁を、飾り付けた


これがはるか未来に発見されたら、

その時には芸術の嗜好なんかも変わってて、

素晴らしい作品だ、なんて言ってもらえるのかな


なんて、淡い期待


悪いけどそれを見届けてやる責任はない

悪いけどそんな作品を増やす情熱もない

悪いけどセンスも才能もないから

そんな風には言ってもらえないかもしれない


あ、でも

君たちに愛着だけは持ってたよ

楽しかったよ、ありがとう

僕みたいなのが親でごめんね




何も完成させられなかった僕の

最後の作品


自分の命くらいは、自分の手で。


タイトルは、

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