表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/26

この幸せな感触を楽しみます

 ダメだ。出よう。


 立ち上がろうと足に力を入れるがビクともしない。魔族だけあって随分と力が強いようだ。


『ダメです。拒絶するつもり? 約束したでしょう?』


 マッチャロール様が抱きかかえている腕から思いが伝わってくる。しかもいつの間にか。掌が股でガッチリと捕まえられていた。手の甲の感触がその形を伝えてくる。こっちもヤバイ。


(そんなつもりは無いです。はい。ごめんなさい。)


 足の力を抜き、思いを伝えると少しだけ股の力が弱まったので、直ぐに手を引き抜く。


「ぁ・・・。」


 その漏れる声に頭が沸騰する。ヤバイなんてもんじゃない。


『そこは敏感なの。優しく触ってくださる?』


 殺しにきてる。理性が残っているのか全くわからない。頭がぼうっとしてくる。


『フフフ、冗談よ。』


 止めてください。そんな冗談いらないです。


「何をするんです。シロさん。」


 もう片方の掌にシロヴェーヌ様の指が絡みついてくる。そちらを向いて必死に手を持っていかれないように頑張るがやっぱり力が強い。


「こっちも 真似 するの 」


 真似しないでっ!


 それまで見ないようにしていたのにシロヴェーヌ様の白い身体が。少しピンクがかったうなじが。軽く結い上げピン止めされた髪の毛が目の前に迫ってくる。その先に小さくピンク色の何ががチラチラと見えている。


 視線を外そう外そうとしているはずなのにいっこうに外れてくれない。なんでいうことを聞かないんだ。自分の目なのに・・・。なんでっ!


「恥ずかしくないんですか? シロさん。」


 思考までいうことを聞いてくれない。誤魔化せばいいのに口が勝手に見ていることを伝えてしまう。


 シロヴェーヌ様は僕の顔を見て頭を傾ける。


 止めてっ! 傾けて広がった視界に何かが目に飛び込んできた。


「少し 恥ずかしい 」


 恥ずかしげにポウっと頬をピンクに染め上げる。そんなところも可愛い。可愛いすぎる。反則じゃない。反則でしょう。


「でも いいの モーちゃん なら すべて 見て 欲しい 」


 でも続く言葉と見上げる視線にドキドキと胸が高鳴り、理性の紐は崩壊寸前になっている。


「触って モーちゃんに たくさん 触って ほしいの 」


 さらに続く言葉に冷水を浴びたように頭が冷える。そうだ恥ずかしくないわけじゃないか。今まで人と肌が触れ合うことが無かった彼女なんだから、その欲求は人一倍あるはずだ。


 冷静になれ僕。性的な意味じゃなく。理性をしっかりと引き締めて触ってあげるんだ。


 こちらから恋人繋ぎのように手を絡み取り優しく優しくニギニギと触っていくと次第に彼女の力がぬけていく。


「・・・ぁ  ん   やっ   」


 色っぽい声に理性がぶっ飛びそうになるが、腕を彼女の背中に持っていき腰を引き寄せるようにそっと少し力強く抱き寄せると僕の肩に頭を乗せてくる。


 そうこれでいい。腕に力を入れたり入れなかったり。そうすることで僕の身体と彼女の身体が触れ合う。


 後は全身全霊でこの感触をお互いに楽しむ。そう純粋に楽しむ。決して次の段階に進もうなんて考えてはいけない。




















 なんでこんな状況になったんだ。


 3人とも良く暖まったので出ようとしたはずだった。うっかりマッチャロール様の『身体を洗ったか?』という質問に『NO』と答えたのがこんな状況に陥った原因だ。僕のバカ。


「自分で洗えますから。」


 僕は必死に最後の抵抗を試みる。何か悉くマッチャロール様に罠に嵌められている気がするのは気のせいだろうか。いかんいかん疑心暗鬼になってどうする。


「だめ わたし 洗いっこ したい 」


 ダメだ。その嬉しそうな顔にとても拒絶できない。


 背中を向けると暫くして肩に石鹸のついたタオルがあてられる。石鹸は異世界の勇者から伝えられたものだ。うちの店でも作って売っている。ここの石鹸には花のような香りがついているみたい。なるほど、今度うちの店の商品にも取り入れてみよう。


 僕は必死に別のことを考える。それでも肩から腕を洗ってくれるタオルとは反対側に置かれた掌に全ての神経が集中していく。ワザとやっているわけではないのだろうが泡の付いた掌が触れるたびにゾクっとするのだ。背中の真ん中だけでなく、こんなところにも快感神経が・・・。


「なんだ。洗ってくれぬのか?」


 必死に声を押し殺しているといつの間にか目の前にマッチャロール様の大きな背中が出現する。


「洗います。洗います。」


 シロヴェーヌ様が腕を洗い終わったタイミングで腰のタオルを取り、石鹸を付けてマッチャロール様の大きな背中を洗っていく。うーん、洗い甲斐のある大きさだ。


「・・・っ・・・。」


 余裕が出てきたと思ったら、シロヴェーヌ様が今度は脇からお腹に掛けてを洗ってくる。何故だ。そこは普通、背中を洗うよな。自分のお腹を見るとシロヴェーヌ様の手が這い回っている。しかも、少し垂れ下がったタオルが僕の身体の一部に当っている。


 そうかっ!


 自分で言ったじゃないか背中を触るなって。シロヴェーヌ様は律儀に守って下さっているだけなんだ。そうに違いない。


 僕は必死に考えないようにしてゴシゴシとマッチャロール様の背中を洗っていく。


「少し洗い過ぎだ。ちゃんと前も洗ってくれないか。」


 そう言ってマッチャロール様が強引に手を捕まえて前に持っていく。タオルの上からも掌に伝わる僅かな膨らみ。いや無い全く無い。全く無いがマッチャロール様の背中が大きすぎて腕が回り切らず背中に僕の胸が密着してしまった。


 ヤバイよ。既に反応仕掛かっている僕の身体の一部も当っている。


「ずるい わたしも する 」


 シロヴェーヌ様が対抗意識を燃やしてタオルを持った手を強引に僕の胸とマッチャロール様の間に割り込んでくる。しかも後ろから羽交い絞めにされて背中にはシロヴェーヌ様の胸が当っているじゃないか。丁度、サンドイッチされたような格好になっている。


「洗い終わりました。」


 僕は必死にマッチャロール様を洗うことに専念して、この苦行をごくごく短時間に終わらせることに成功した。


「うん じゃあ 交代ね 」


 そう言ってシロヴェーヌ様が背中を向けてくる。背中ちっちゃ。腕も細いしウエストも細い。お尻に掛けてのラインは・・・。イヤイヤ観察してどうする。


「どうしたの?」


 シロヴェーヌ様。


 振り向かないでっ! 前見えてますから。


 僕は両肩を持ちやや強引に前を向かせる。今度はシロヴェーヌ様の肩から背中をゆっくりと優しく洗っていく。


 後ろからは私の番とばかりにマッチャロール様が肩から腕を洗ってくれている。こちらも背中を避けてくれているみたいだ。


 あっさりと洗い終わり。今度はマッチャロール様のタオルを持った手が胸からお腹回りを洗っ・・・。待って待って、そこは拙い。さらに下に向かおうとする手を阻止する。


「前は 洗って くれないの?」


 はいはい。洗います。洗いますとも、必死に右手でマッチャロール様の手を阻止しつつ、左手でシロヴェーヌ様のお腹を洗っていく。


「こっちも 」


 やっぱり、シロヴェーヌ様の力は強い。マッチャロール様より強い。いやマッチャロール様は確信犯だ。下腹部での攻防を楽しんでいるみたいだ。


 タオルを持った掌にシロヴェーヌ様の弾力のある膨らみが伝わってくる。その幸せな感触を楽しんでいると気が緩んだのか、マッチャロール様に押し負けてしまう。よかった、かろうじて当らなかった。2度目は無い。今度こそ持ちこたえて見せる。


シロさんの天然のお色気力は凄い。

書いているこっちがあてられてのぼせそうです(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ