表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

責任を取ってもらうことにした

 僕はシロさんを慌てて引き剥がす。


 ヤバイヤバイ。もうちょっとで波に飲まれてしまうところだった。


「誰に何を言われたんですか?」


 シロさんらしくない。全然らしくない。自分からこんな行動に出るはずがない。


「ん マッチャ 既成事実 ダメ?」


 やっぱりか。裏で糸を引いていたのはマッチャロールか。しかも、押せ押せガンガンと僕を煽ればシロさんを押し倒すだろうと思っているんだな。いったいどういうつもりなんだろう。


 わからない。


 僕とシロさんを強引にくっつけてもあの人に利する事など何も無いだろうに。それとも単なる娯楽のつもりなんだろうか。


 後で本人に問いただすしかないか。


「嫌? ・・・嫌わないで。」


 シロさんが不安そうにしている。今にも泣き出しそうだ。僕は優しく彼女の肩を抱くとホロリと一筋の涙が零れ落ちる。


 僕は指の腹でその涙を掬い取るように拭った。


「大好きだって言っただろう。撤回するつもりはないよ。でも、僕はゆっくりと進めていきたいんだ。急ぐ理由なんてどこにもないだろう?」


 例えマッチャロール様に何か言われての行動だとしても、彼女が僕を本当に好きなことは十分に伝わってくる。


「うん ごめん なさい 」


「謝らないで。本当はデートくらいしてあげられるといいのだけどね。」


 流石に囚われの身の上の方を連れ出せないからな。


「デート できるよ 」


 えっ。どうやるんだろう。


「クロ してた 」


 なるほど前歴があるんだな。クロノワール様なら警護の男性を何人も落としていそうだし、外でデートするくらい訳が無いに違いない。


 クロノワール様に聞けばいいのか?


 イヤイヤイヤ。後で何を要求されるか、わかったもんじゃない。少なくともデートするくらいは要求されるだろう。あんなに小さい子供と外でデートしていたら何を言われるか。ブルルッ。何度も言うが僕はロリコンじゃないっ!


 かといって、こんなことを上司である公爵令嬢に訊ねたらどやされるに違いない。せめて詳細だけでも掴んでから話を持って行かなくてはならないだろう。


 そうだ。警護を交代する方たちにそれとなく聞いてみればいい。悠長かもしれないが公爵令嬢に尋ねるよりはいいだろう。


「とにかく今日のところはもう寝よう。」


 もう一度寄り添って軽く抱き締めるとシロさんが目を瞑る。布団を掛けなおし、しばらくシロさんの寝顔をみていると寝息が聞こえ出したので、僕も眠ることにした。




















 翌朝、目が覚めると昨夜と同じ格好で眠るシロさんの姿があった。


 よかった僕のほうが先に目が覚めたみたいだ。


 僕はそっとシロさんの傍から離れてトイレに駆け込んだ。ヤバイヤバイ、思いっきり身体の一部が元気になっていた。シロさんに見られなくてよかった。


 さあどうしてくれよう。とにかく、着替えてマッチャロールのところに行って問い質すことにする。


 トイレから出たところで人とぶつかりそうになった。


「ほうほう。元気になったようだな。」


 そこにはマッチャロールが立っていた。今以上僕を煽るつもりなのかスレンダーな身体に着けた透け透けのベビードール姿なのが逆に痛々しい。


「ええ! おかげさまで!!」


「こんなところで出会うとは、朝の一発済ませたところかな。」


 下品なことをのたまう割には無表情。だがその上に貼りついたニヤニヤ笑いが気持ち悪い。


「そんなわけが無いだろうが。僕たちは昨日出会ったばかりなんだぞ。」


 でも反射的に思わず強い口調で言ってしまう。ダメだ。相手は姫君なんだからっ。丁重に扱わないと。


 そういえば、この人は表面は優しく下品でも内面は上品で優しい人だった。


 あれっ。両方優しい・んだ。ということは、僕が誤解しているだけなのかな。


「さては、童貞だな。我が教えてしんぜよう。」


 そう言って腰に手を回してくる。


 これは善意で解釈すれば、優しく教えてあげるということだろうか。確かにそういったことは初心者であり不得手でもあるから、教えてくれるということであれば乗ってもいいのかもしれない。


 それにこの方は枝切りハサミで切り取れば再生可能だから、処女性とか重要視しないのかもしれない。これは単なるお勉強なんだ。


「待って どこ いくの 」


 あっ。そういえばシロさんを1人ベッドに残してきたんだった。


 言い訳しても仕方が無い。ここは正直に話すべきだ。


「マッチャさんが既成事実の作り方を教えてくれるというから、ついて行こうと思っているんだ。少し経験を積んでくるから待っていてほしい。」


「ダメーっ! マッチャ 取っちゃ ダメーっ 」


 うわぁぁぁ。久々にきたーっ。こんなに離れていても凄い恐怖感だ。


 ここは本人に責任を取ってもらうしか手立てはなさそうだ。僕は、マッチャロールの後ろに隠れるとシロさんの方向へ押し出した。


「ほら説明責任を果たしてきてくだ「ぎゃぁぁぁぁ。」」


 あれっ。マッチャロールは何か悲鳴を上げながらシロさんにぶつかって行った。

キャラクタ設定についてご質問があったので捕捉します。

討伐された七魔王の数は七大悪魔から取りました。

7つ名前を考えるにあたって出てきたのは地元の銘菓。

シロ:死霊王、クロ:冥界王、マッチャ:緑樹王、コーヒー:好戦王、サクラ:錯乱して攻めて来た魔王とほぼイメージと駄洒落です。

アズキは殆ど黒ですかテカテカと光っているところからワイバーン→翼竜王

ユズなどの柑橘系は甘そうな香りに騙されて丸かじりすると苦いところから幻惑王としました。

(実は私本人が柑橘系の皮が苦手だったりします)

我ながら安直な設定です。くだらない裏話でした。笑ってくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ