世界樹の果実はタワワでした
景色が見えないはずのお風呂場のはずだったのに・・・絶景だ。
身体を洗い終え冷えた身体を温める。僕の身体のごく一部は熱くなっているけど。
もちろん、頭のことである。
そのまま湯船に浸かる。あれあれ、今度は2人が湯船の両脇を素通りしていく。眼福眼福。思わず2人の綺麗なお尻に心の中で手を合わす。
そして2人とも湯船のふちに腰掛け、足だけ湯船に浸かっている。タオルは申し訳ない程度に折り畳まれ膝の上に乗せられている。かろうじて秘部は見えない。
止めてっ!
足をバシャバシャしないでっ!
見えそうで見えないドキドキ感を味わってしまった。
「凄い。やはりモトラヴィチは凄い。まさかと思ったがシロの死の恐怖が止まることがあるなんてのう。」
2人は今、手を繋いでいる。そう触れ合っているのだ。もう片方の手は湯船のふちを掴んでいるから上半身は全く隠していない。
シロヴェーヌ様の白い肌がまぶしい。華奢な肩も折れそうなくらい細いウエストも、そしてピンク色の先っちょも全てさらけ出している。見放題らしい。後で追加料金を取られないだろうか。
「普段は手を近付けるだけで指が壊死してしまうというのにのう。」
怖いことをまるで世間話のようにする。
「えっ。指が壊死してしまったら、どうするんですか?」
「スッパリと枝切りハサミで切ってしまえば生えてくるぞ。」
元が樹木だからか、切ってもまた生えてくるらしい。やっぱり怖いです。マッチャロール様。
「マッチャ のど 乾いた 」
足を浸けているだけなのに、シロヴェーヌ様の肌には玉の汗が浮かんでは流れていく。もちろん、湯船に浸かっている僕も熱い。だけど身体の一部が反応していて彼女たちが先に出てくれないと出るに出られない。
「そうか。これを食え。」
マッチャロール様の胸の辺りが徐々に膨らんできて、タワワになったと思ったら、両手でポロリともぐ。
イヤイヤイヤ。怖いです。マッチャロール様。
肌の一部だったものがオレンジ色の果実になった。
「モトラヴィチも食え。遠慮するな。」
ポイっと放り投げてくる。
「こ、これは・・・。」
学校の教科書に載っていたある果物とソックリだ。
「知らんか。これは世界樹の果実と呼ばれるものだ。」
「えっ。あの万病に効くと言われている果実のことですか。」
「ああ。人族ではそんなふうに呼ばれているかも知れないが、少し元気になるだけだぞ。」
世界樹の果実。一説では、この実1個だけでも帝都の伯爵クラスの貴族が住まう邸宅が買える値段がするそうだ。
隣では美味しそうにシロヴェーヌ様がかじりついている。
「早く食べないと腐ってしまうぞ。マジックボックスは持ってないんだろ。それ以外では保存がきかないんだ。」
あまりにも高価なものを手渡され躊躇しているとマッチャロール様から注意された。もちろん、マジックボックスなんて高価な魔道具を持ってない。一番安いものでも僕の男爵としての年金よりも高いはずである。
僕は慌てて頂いた実にかじりつく。
もちろん元が胸だからといってミルクが出てくるわけではなく甘くてみずみずしい柑橘類の味である。乾ききった喉を一瞬にして潤してくれる。それでもあまりの美味しさに手が止まらずまるまる1個食べ尽くしてしまった。
「ふぅー。美味しかったです。ありがとうございました。」
「マッチャ もう いっこ 」
シロヴェーヌ様が追加を要求している。
「そうか。そうか。そんなに美味しかったか。モトラヴィチもコッチに来い。」
マッチャロール様は話をしながらも再び胸が大きくなっていく。僕は誘われるがままにマッチャロール様のところまで行く。もちろん、股間をタオルでしっかりと隠しながらである。
間近で見たおっp・・・世界樹の果実は、マッチャロール様の肌と同じ色で垂れておらず張りもあって、なかなかいい形をしている。もいだ途端にオレンジ色の果実に変わるなんて不思議である。
いきなり、手首を捕まえられる。これは触ろうとしていたわけではなくてですね・・・。
「ほら2人とも、もいでみろ。」
そう言って捕まえた手を世界樹の果実にあてる。触ってもいいらしい。
触った感触も想像した通りの感触だった。柔らか~い。
「おいおい。そんなに揉んだらもいだ途端、腐ってしまうぞ。仕方無いやつだ。」
今度は怒られてしまった。揉みすぎたらしい。
「ど、どうすれば・・・。」
「ほら、ここに口をつけろ。もいで直ぐにかじるんだ。ほんの少しの時間しか持たないから、直ぐだぞ。穴さえ開ければ熟すのが止まるからな。こらこらこら。歯を立てるんじゃない。」
あきらかにおっp・・・の尖ったところに口をつけた格好を強要される。絶対に人に見せられない姿だ。いや見てる見てる隣でシロヴェーヌ様がマジマジと見ていた。なんて恥ずかしい。
これは世界樹の果実だ。せ、世界樹の果実なんだぁ。け、けっしてやましいことをしているんじゃ無いんだぁ。
準備万端とばかりに口をつけて、もごうとした途端、今度は歯を立てるなと注意を受けた。恥ずかし過ぎる。痛かったのだろうか。試しに舐めてみる。
「・・・ん・ぅ・・はやく・・・。」
思いのほか色っぽい声が出てさらに動揺してしまう。な、なにをやっているだ僕は。その言葉に押されるかのように、もぎ取り噛み付く。口いっぱいに熟れきった果汁が入り込んでくる。思わず喉を鳴らして飲みきった。
うん最高のジュースだ。
そのまま周囲の果肉も食べていく。
初めに食べた果実と全く違う味わいだった。なんか10倍くらい得した気分である。
「この実は精力剤としても有名で、しこたま元気になるそうだ。メリー皇帝に献上したら喜んでくれたぞ。フフフ。」
えっ。それは拙い。いまでも十分元気を主張しているのにタオルで隠せなくなってしまうじゃないですか。
笑いながらマッチャロール様の視線が湯船の中に落ちる。
これは絶対確信犯だ。
僕は露出狂じゃないです。元気になったところをみてほしいなんて思ったことも無いです。
「そんなに押さえ込まなくても大丈夫。効果が出てくるのは明日の朝からかのう。」
どうやら、からかわれたようである。
???「なんてこと。道理で毎日激しかったのね。」