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感想文その1 『白虎戦舞』第一部

今回紹介する作品は、とある個人サイトに掲載されている『白虎戦舞』となります



作品の大まかな内容としては。


家庭崩壊を悲しむ主人公、銀月零香の前に現れた異形の生物。

神の遣いを自称するその異形が言うには、

異世界にて加護を受けた者同士で殺し合いをしてもらう。

勝者には、自在に使える幸運の欠片が与えられる。

また、負けても現実世界での身体には影響はない。

期間はおよそ3年、幾度にも渡って繰り返される殺し合いに参加するか否か、明日の晩までに決めてほしい。

という、小学生高学年の身には過酷なものであった。

零香は悩み、しかし状況を打破するために過酷な戦いに身を投じるのであった……


という、魔法少女物をモチーフにした割にはヘビーなものとなっております。

 


この作品の見どころとしては「シビアな戦闘感」が挙げられます。

想い願いの強さや背負う者の重さなどといったものは勝ち負けには関係なく、

経験や戦力、運や頭脳や精神状態などを総合した実力こそが勝負を左右し、不運や油断で強者が死ぬこともありうる。

無論、土壇場で急に力が覚醒だのこれまで使えなかった技が使えるようになったりだのは皆無という徹底したスタンスで戦闘が描かれます。


そしてストーリー展開もかなり厳しいものとなっています。

加護として得た力は、まず制御から始めなければ戦うこともままならず、その力も、なんでもできる魔法の力などではなく、どのような戦闘スタイルにするかも己で決めていかねばならない。

異形の者がアドバイザーとして付いていはいるものの、戦闘中の判断には関知せず、そのほかに関しても重要なところは本人に決めさせるスタイルである。

勝利で得られる幸運の欠片さえも、それだけで現状を打破できるような奇跡が起きるわけではないため、

状況を打破するためには努力が必要となる。

また、力を得た代償も消して小さくはなく、人格に一部影響が出るレベルである。


「4人いる対戦相手は誰もが主人公と同じ、あるいはさらに悲惨な境遇にある同年代の者ばかりで、自分だけが特別に悲惨なわけではない」

ということを初めの戦闘前に知らされて衝撃を受ける展開さえもある。

その内容も「父が人を疑うことも知らないお人よしなことに付け込まれた結果ホームレス生活まで落ちることになった」り

「家庭内虐待の結果、親族からも追いやられたもののそこで親身になって助けてくれた姉といえる人物が重度の挫折と障害を負った」りと重いものばかりである。


だからこそ、主人公を含めた5人は皆が背負うものがあり、皆が必死に悲惨な境遇に対して抗い、そして覚悟を決めているのである。

即ち「未来のため、クソみたいな現状を打ち破るために、ある意味仲間とも言える、似た境遇である同年代の少女をぶち殺してでも己のエゴを貫き通す」と。



また、戦いは異世界だけではなく、現実世界での己の置かれた環境とも行われます。

直接刃を交えるだけではなく、状況を把握し、調査して原因を突き止め、それらに対処する。

場合によっては名家特有の政治的やりとりさえもこなしていかねば現状の打破さえもがままならない。



泣き腫らすだけだった無力な少女たちが、急速度で成長し、己の力を研ぎ澄まし、

そしてオトナへと羽化していく様を、

物語を通じて描いていく様はまさしく見事というしかないでしょう。



初めに感想を書こうと思ったのは、

個人的に努力物および異能バトル物の中で最高峰だと思っている物にしようと決めていました

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