天使様
「恋は長くて穏やかなものがいいか、それとも激しくて短いものがいいか。」
そんなことを言ったのは誰だったのか?
「忘れないで」
私が愛したのは、恋をしたのは、「人ではない人」。
私より長いときを生き続けなければならない人。
私がもし、「愛している」と言ってしまったら、彼は大きな孤独をかかえて生きつづけなければいけない。だから、言えない。彼を愛しているから。
「忘れないで」
その言葉をきくたびに、そばに来てくれ、「愛している」と言ってくれと言われた気がする。
強引すぎるその言葉はそれでも、悲しいほど優しかったのだ。どこまでも、どこまでも、私の気持ちを優先した言葉。私があこがれ続け、私に居場所を与え続け、私を追い詰める言葉。
「来ないで、忘れて」
何度、その言葉を、心で叫び続けただろう。
「嫌いになって」
「軽蔑して」
「私に言わないで」
お願い―――――――――。
それでも、
彼と会うたびに伝えられるその言葉の数々は優しくて、暖かくて、きれいで、澄んでいて、私は嬉しかったのだ。だから、彼に会い続ける。依存しているのは、愛してしまっているのは、
ワタシ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
「忘れないで」
ありがとう。さようなら。
私は、まだ答えを知らない。
天使と人が交わる世界、「エンジェルワールド」。そこでは、人と天使が交われた。しかし、交わった、かかわった、ほとんどの人は天使から離れて行く。それは、なぜなのか?
失恋 そんなもの一時的な感情に過ぎない。時が過ぎれば悲しみが薄れるように、「失恋」という感情も同じようなものなのだと私はずっと思っていた。あの日あの場所であの人に会うまでは・・・・・
「ねぇ、君はなにをしているの」
「僕と友達になろうよ」
突然彼は現れた。白き衣をまとい、その背にはただの人ではない証拠に白きツバサがある。彼は、人であり、人ではなかった。私は彼に恋をした。
「おい、サクマ」
「なんだよ」
「あの少女にこれからも会うつもりか」
「もちろん、なんでだめなの?」
「はぁ、おまえはなぁ~」
「なんだよ、キラ」
「ちょっとは、真面目に聞けよ。俺は、人に恋をしたことがある。それはな、一時的な感情だ。その時の損失感を味あいたくないなら、もう会わない方がいい。」
「うっせいよ!!俺らはそんなんじゃないよ!! キラ」
「ったくよ。あいつは、何にもわかってないんだから・・・」
「サクマ~」
「なんだ??」
「見てみて」
楽しい。俺はこいつといる時間が好きだ。俺はこいつと一緒にいたい。
「〇○。」
「何サクマ??」
「俺、お前が好きだよ」
「―っ!!!」
「私もサクマのこと―――――」
そこまで言って私は口を閉じた。そして、
「ごめんね。私は、サクマのことそういう風には見れない。」
「そっか、気にすんな!!」
「うん!!」
―――――――――――――――――――損失感。
いつか聞いた。天使の会話。ホントは、私だってサクマがスキ。でもそれじゃだめなの。
分かってしまったから。どうして、天使と人は結ばれても、人は天使から離れていくのか。それは
「長いよ。」
そう、天使の一生は長すぎる。私達「人」じゃあ、どうあがいても追いつけない。私が死んだあとは、彼は?サクマはどうするの?
愛しているから、笑ってほしい。泣いてほしくない。幸せでいてほしい。
だから、人は天使とは結ばれない。そして、天使は消えた。
そして今日、天使はいない。