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世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
それは女神か? 悪魔か?
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涼成のいえにやってきたサラと望愛

「早く降りてきなさい! 二人共待たせているから!」

「二人?」

 涼成は、それを聞き、疑問に思った。『玲一と熏晴の二人でも、来ているのだろうか?』 いつも、熏晴の家に行ってもまだ寝ていて、涼成がわざわざ起こしに行く事も多い。

 そのたびに『これが、幼馴染の美少女だったらなぁ』と、考えて虚しくなるのだった。

 その寝起きの悪い熏晴が、この時間に俺の家にやってくるなんて、絶対にありえない。そう考えつつ、『まあ、降りて見ればわかる』と、考え階段を下りた。

「これはいいよ! 日本の朝食は最高だよ!」

「聞いちまった……」

 涼成にも、その声は聞き覚えがあった。

「あまりがっつかない。はしたないよ」

 この声にも聞き覚えがあった。

 望愛とサラが来ているのだ。顔を出すのを、面倒に感じながらも、キッチンを通らないと、着替えもできないため、仕方なく二人の前に出ていく。

「おはー! 今日もいい天気だね!」

 望愛が、屈託のない笑顔で言ってきた。そして、サラは携帯の電源をつけた。

「おい……この状況で、どこにかける気だ?」

 涼成が言う。そうすると、涼成の部屋から携帯の音が聞こえてきた。

「もしかして……」

 そう言いつつも、涼成は、自分の部屋がある、二階に登った。

 机の上に置いてある携帯を取る涼成。名前は、もちろん「サラ」と書いてあった。

 その携帯を取ると、サラが言う。

『おはようございます』

「なんで、わざわざ携帯にかけてくるんだよ……?」

『携帯に登録をしたからには使わないと。なんのために登録をしたか? 分からないじゃないですか』

 涼成はそれを聞いてげんなりする。

「そういうなら、まず昨日のうちに『明日俺の家に来る』とか連絡をしてくれ。そういうふうに使うのが一番だ」

『ううむ……携帯というのは奥が深い……』

「マナーとか……そのへんの話だ!」

 涼成は、そう言って携帯を切った。そして、携帯を置いたまま一階に降りていく。キッチンに降りると、また望愛は言ってくる。

「電話ばっかりで忙しい人だね。この世界にはゆとりというものがなくなってしまったのかな?」

 残念そうにしながら言う望愛。

「忙しい理由の大半はお前だけどな……」

 涼成は、そう言った直後に、「はっ……」となった。

 ついつい、いつも熏晴と話をしている時のようなつもりで物を言ってしまったのだ。

 恐る恐る望愛の方を見る。

 望愛は、言葉の意味がわからないようで、まだ朝食に舌鼓をうっている。

『ぽろぽろこぼしてんぞ……でも、まあいいか……』

「本当に、涼成に女の子の友達が出来るなんてねぇ」

「そうだ……一年前に、女子部の覗きの常習犯だと言われ、学校に呼び出されたときは、涼成には、女の子と付き合う資格が無いと思ったが……」

 良性の父が言う。それを聞くと、サラは「やっぱり……」といった感じでジトリとした目で涼成の方を見た。

「付き合ってみると、涼成はけっこういい奴です。スケベなところさえ直せば……」

 サラが言う。この場でフォローをしてくれたのである。

『やっぱりこの子、いい子だわ……』

 涼成の母は。「そうね、涼成はいいところもいっぱいあるのよ」と、言う。それに対し、父は「スケベなところさえ直せばな……」と言っている。

「ごちそうさまー! 奥さん、美味しかったですよ。こんなに美味しい朝食を食べたのは久しぶりです!」

 望愛が言うそれに気をよくした涼成の母は、焼きたてのウインナーを望愛に渡した。

 望愛は、それをすぐにほうばると、目を輝かせて、「うーん……デリシャス」などと言う。

「あっ! それ、俺の分のウインナー!」

 望愛に渡したのは涼成の分のウインナーだったのだが、母はまったくそれを気にしていなかった。

「早く食べないのがいけないのよ」

 そう言い、母は食器を洗い始めたのだった。


「おい……なんだよその両手に花は!」

 涼成が家の玄関を出ると、熏晴と玲一が待っていた。

 望愛とサラを引き連れて出てきた事は、熏晴にとって怒るに足る事だったようだ。

「涼成! ゼロから説明をしてもらおうじゃないか! 内容によってはタダじゃ……」

 熏晴がそこまで言うと、望愛は、ハンマーを使って熏晴を叩きつけた。

「涼成をイジメちゃだめ!」

 そう言う望愛。熏晴は頭を抱えながら言う。

「なんだ? この痛み! 頭の芯に届くようで、心地よさも持った、この暖かい感じの痛みは……」

 そう言い、熏晴は望愛に向けて迫っていった。

「それは、このハンマーは非殺傷系の武器だし、痛みは感じるけど、痛みだけで怪我や後遺症の起きない、便利なハンマーなの……」

 この前、ハンマーに殴られたときは、涼成は顔に怪我をした。その時は、ハンマーに殴られて、顔を地面で引きずったからである。

「まあ、説明は俺が聞きたいくらいだ。サラと望愛から話を聞きたいが……」

 そう言って、涼成はサラと望愛の事を見た。

 望愛は不思議そうにしていたが、さすがに空気を読めるサラは、今の状況の説明を始める。

「調査。涼成がどんな人物か? よく調べておく必要がある」

 短く、そう言ったサラ。

「わざわざ、こんな朝早くにまでやってきて調べなくてもいいんじゃないか?」

 熏晴は言う。どうも俺の家にサラと望愛がやってきているのが不満のようだ。

「私は、やるべき事はとことんやらないと気がすまない。メンドくさがっている人とは違う」

 昨日、熏晴は望愛の様子を探るのを、メンドくさがった事を言っているのだ。

「俺はやるときはやる男だよ。望愛に人間の素晴らしさを伝える事なんて、簡単にやってみせるぜ」

 サラの前ではそう言うが、どうせ、その言葉はサラがいなくなったら忘れるのだ。

 多分、サラもその事は感じているだろう。だが、それを口にはしない。

「まあいい、今日はこんなものにする。なにか聞きたいことがあったら、携帯で連絡して」

 そう言い、サラは、門を通って去っていく。サラがいなくなるのを見ると、望愛は涼成に向けて飛びついた。

「あいつがいると、こんな事できないだろうからね」

 そう言って涼成にベタリとくっつく望愛。

 サラが見えなくなると、熏晴の態度は一気に変わった。

「お二人さんお熱いね。俺がいたらじゃまだろう?」

 そう言い、熏晴は、一人で学校に向かっていった。

「それでは、涼成。学校でな」

 熏晴はそう言う。やはり、サラが居なくなればこうやって、すぐに手のひらを返す。

「こういうところが、本当にクズハルだな……」

 玲一が言う。熏晴は、サラに気でもあるのだろう。この極端な態度の違いを見れば、それは簡単にわかる。

「あいつ……期待できないな。あいつの分も。俺が手伝うから気にするな」

 玲一が涼成に向けて言う。それから、望愛にべったりとまとわりつからながら、涼成は学校に歩いて行ったのだ。

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