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世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
素晴らしい世界
40/40

ノア、最後の言葉

「涼成。やっほー!」

 望愛は、どこかの公園か何かのような場所にいた。

「天界に帰る日の事を黙っててごめんね」

 それから始めた望愛は、カメラから目を話しながら言う。

「結局、私の翼を見ることができたのは、涼成だけだったね」

 望愛は、そう言い、すこしさびしそうにして言う。

「私は、この世界は、どんどんと荒んでいると思うよ」

 そう言うと、望愛はまっすぐにカメラを見つめた。

「でも、私はこの世界が好きなの。悪いところも、いいところも含めて……」

 望愛は言う。

「人が根付いているっていうだけで、この世界は、存在している価値があると思う」

 望愛はそう言う。

「人がいなくちゃ、人の優しさを感じることなんて、できないでしょう?」

 人は、優しい生き物であると考えている望愛。

 昔とは違い、人の世界は豊かになった。だから、自分の持つものを他人に分け与える事が出来るはずである。

「最近は友人同士の付き合いが密になってきているんだよね」

 家族との付き合いより、気のおけない友人。そういった付き合いの方がいいという人も多い。

「世界は、人を愛する事なんて忘れてしまった……そう言う人もいるけど、みんなが忘れたわけじゃないと思う」

 世界は動き続けている。色を変え形を変え、人はお互いを愛し合っているのは、昔から変わっていない。

「それを、みんなにわかってもらうために、私は天界に戻るんだよ」

 望愛はそこまで言い終えると、カメラに向けて、笑顔を向けた。

「これは悲しい別れじゃないんだからね、そのへんを誤解しないように」

 そう言い、望愛は言い出す。

「それじゃあね」

 そう言いながら、望愛は、羽を伸ばした。

『羽? 一体どうやって?』と、声が聞こえてくる。これを撮影しているカメラマンの声だろう。

 その声には答えず、望愛はその羽をはためかせて空に向けて飛んでいった。


 そこで、映像は終わり、凛子はパソコンを閉じた。

「君の役目はこれで終わったわ。これから先、覗きで警察のご厄介にならないように、気をつけて生きていきなさい」

 やっぱり、凛子はクソだった……最後にいらない嫌味を言ってから、涼成の前から姿を消していく。

「こっちも、素敵な男性に巡り会えるように祈ってるぜ」

 そう言い返すと、凛子は涼成の方を向いて答えた。

「大きなお世話よ!」

 そう言い、不機嫌な顔をして、凛子は去っていったのだ。


「へぇ……そんな感じで別れたのか、俺達には、何の挨拶もなしなのに……」

 玲一にその事を話すと、そういった反応を見せた。特に名残惜しいと考えているワケではないが、勝手に消えていくのには、気に入らないものを感じる。と、いったところだろう。

「まあ、涼成は彼女のお気にいりだったんだ。対抗意識を燃やしても仕方ないよ」

「対抗意識をもやてしているわけではなくてだな……」

 玲一は反論をした。だが、熏晴は、さも『まったく、意地を張っちゃってしょうがないね』とでも言いたげに首を振った。

「とにかく、挨拶の一つもできねぇのか? って事だ」

 説明をするのを諦めた玲一が言う。今になって、熏晴の事をとやかく言うのは、意味がない。

 涼成は、熏晴の事を見ずに話を続けた。

「次、あいつらがこの世界に来るときは、この世界はどんな風になっているんだろうな?」

 涼成は言う。

 望愛達は、空からやってきた。今でも、空から自分達の事を見ていることだろう……

 涼成は火山灰が薄くかかった空を見て、そう考えたのだった。

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