サラの、占いの館
「あなた……結婚について悩んでいますね……」
サラが言う。
サラは、満のブースに座って、凛子に向けてそう言った。そうすると、隣でサラの占いを見ていた涼成はそれを止める。
「いきなり核心を付くんじゃない……」
涼成が言う。
「そこは、『人間関係で悩んでいますね?』で、いいんだよ。とにかく、ぼかした言い方をして、相手の興味を引くのが一番だ」
熏晴も言う。サラは、それを聞いて、頷いた。
「凛子……もういちどお願い」
「わかったわ……」
どうも腑に落ちない顔をしている凛子。それでも、凛子はサラに付き合って客の役を続けた。
「あなた、人間関係で悩んでいますね」
それを聞いた凛子。
「そうですー……私人間関係で悩んでて……」
演技が、雑な凛子が言う。
「それでは、人間関係について占ってみましょう」
そう言い、サラは、自前の水晶玉を使って未来を見始めた。
「前回の男性は数ヶ月で別れましたね……」
「……はい……」
サラの言葉に、凛子は小さな声で答えた。
「あなた、部屋が汚いでしょう?」
「……はい……」
お客の役をしている凛子は、小さな声で言う。
「そこだね」
そこまできて、熏晴が言い出す。
「質問が直球すぎる! もっと言い方を考えて……」
熏晴がそう言うのに、サラが頷く。
「ちょっと……私だけが、いらない事実を暴露されてない!?」
凛子がそう言うのに、涼成と熏晴が言い出す。
「さっき、逃げたんだし、これくらいの事を付き合ってもいいんじゃないか?」
涼成が冷たい目をして言い出す。
「わかったわよ……続けて……」
凛子がそう言う。それで、サラは遠慮なく続きを言い出す。
「あなたは、几帳面さに欠けるところがあるようですね?」
サラは言う。
それから、サラは占い師の心得を叩き込んでいった。
「なんでこんな事ばっか晒されるのよ……」
涼成達の前で、自分の事をいろいろバラされた凛子は、すっかり意気消沈をしていた。
「男の前で、バラされなくてよかったじゃないか。サラの役にも立てたんだし、男が寄ってくるようにアドバイスだってもらえたんだろう?」
サラの占いは、本当にピタリピタリと当たる。
凛子はサラになにか言われるたびにショックを受けていたようだ。
「サラ。相談者を勇気付けるように話すんだぞ……」
「うん……がんばる」
そう言い、サラはみんなに背を向けていった。
その背中から、サラの決意を感じ取った涼成達は。サラが上手くいく事を願っていたのだ。
次の日、涼成は、起きだして、食パンを齧りながらニュースを見た。
そこで、最近有名になった占い師の事を報道していた。
『これを見たら、サラにとって助けになるだろう……』
そう思った涼成。今、サラはテントを張って、道端で占い師をしているはずである。
『この、なんも変哲もないテントの中で、少し前に占いを始めた女子中学生が、今人気になっています……』
テレビの中で、アナウンサーが説明をする。
「サラも、あやかって欲しいもんだな……」
涼成は言う。涼成は、その続きを見た。
『……では、評判の占い師のサラさんに話を聞いてみましょう』
「え……? サラ……?」
続きを見ると、何の間違いもなくサラであった。
『ど……どど……どうぞ、私は占い師のサラです!』
「緊張しすぎだぞ……」
そう思いながら、サラがテンパっているのを見ながら、笑う涼成。
『あの……紹介は私達でやりますので……』
アナウンサーからたしなめられて、サラは座り直した。
サラは、カメラ目線で、カチンコチンになった顔でカメラを見ていた。
『この子が、今評判の占い師さんです。彼女は、話し方がとても丁寧で、アドバイスも親切でなんども、来たくなると、噂になっています』
そう言うと、サラは引きつったかおをして、一生懸命に笑顔を作った。
だが、それは、柔らかい笑顔には見えず、ひきつった顔で、何かに覚えて苦笑いをしている顔にしか見えなかった。
「サラの笑顔……なにこれ……」
涼成は、それを見て、クスクスと笑った。
「これはいい……」
これは、サラの事をからかう、いいネタになる。
そう思った涼成は、家を出て学校に向かっていった。
「これで君に会うのは最後になります」
涼成が、家を出て、最初に会ったのは凛子だった。いきなり、業務的な喋り方で、そう言い出した。
望愛は無事に天界に帰ったらしい。メシアも一緒に帰り、メシアはあれから世界を崩壊させようなどとは、言わなくなったのだという。
「別れの挨拶もなしかよ……」
涼成が言う。
「挨拶ならあるわよ」
凛子は一枚のディスクを取り出した。涼成は、それを受け取った。
「ビデオレターよ。ここで見るかしら?」
そう言い、凛子は、ノートパソコンを取り出した。
ディスクの中に入っている映像を、そのノートパソコンで撮した。




