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世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
人間の素晴らしさ
34/40

メシアに人間の素晴らしさを伝える。

「こうなったら、あのメシアってのにも、『人間の素晴らしさ』を知ってもらわないとな……」

 涼成はそう、隣を歩いている望愛に向けて言う。

 あれから、望愛は普通の服に着替え、涼成と一緒になって帰り道を歩いていた。

「メシアにも……難しそう……」

 望愛は考えた。メシアは、この世界を嫌っている。そこから、この世界の素晴らしさを教えようというのは、難しいのものように思える。

「多分……そんな懸念は必要ないと思う……」

 涼成には考えがあった。それは完全に短絡的な考えだ。成功するかしないか? は分からない。

「多分うまくいくんじゃないか?」

 涼成は言う。

「私は何をすればいい? 手伝えることがあるなら言って……」

 そう、言ってくれる望愛に、涼成は、頭をポンポンと叩いた。

「お前は上手くメシアの事を連れ出してくれないか?」

 そう言う涼成。望愛はそれを了承した。

「俺の作戦は……」

 涼成が言う。望愛はその作戦に首をかしげた。

「熏晴が言っていたんだよあの子には、オタクの素質があるって……」

 熏晴のそういう勘は、面白いように当たるらしい。 望愛は、その作戦を聞き、乗り気ではない感じで言った。

「まあ、やるだけやってみましょ」


 次の日、涼成は、熏晴のところに集まった。

「あれ? 望愛ちゃんは?」

 そう言った熏晴。

「俺の事は眼中になしかよ……」

 そういう涼成。熏晴はそういう奴だというのは、身にしみてわかっている。いまさら気にするようなものではない。

 涼成は熏晴にかまうのは止め、周りを見回した。

「ちょっとついてきなさい」

「何があるって言うのよ!」

 その声を聞いた涼成は、大きく手を振った。

「こっちだ! こっち!」

 涼成が手を振るのを見つけた望愛は、涼成のところに向かってきた。

「あの子も一緒かい?」

 熏晴が言う。今、望愛は、あのメシアも一緒にここまでやってきていたのだ。

「ここだよ……ここにある本を読んでみな」

 そう言う望愛。メシアは一冊の本を手にとった。中身を見ると、どんどん顔つきが変わっていく。

「こ……これは……」

 そう言い、望愛の事を見たメシア。

「ここまで反応があるとは思っていなかったよ」

 望愛は、引き気味で言った。

「おや? 私のマンガを気に入ってくれたんですか?」

 そう言う満。涼成は、満の描くマンガの内容は涼成は分かっている。

「こういう、女同士のチョメチョメものを、気に入ってくれると思ったよ」

 涼成は頷きながら言う。満はそれを見て、メシアの手を取った。

「私のマンガはそんなに面白いですか?」

 鼻息を荒くしてメシアの手を取る満。そして、メシアも、満の手を思いっきり強く握り返した。

「あなたが書いたんですか……」

 満はそれを聞き、メシアの手を思いっきりつよく握った。

「ほらな……熏晴の見立てはよく当たるだろう……」

 涼成は、望愛に向けて言った。望愛はまったく納得できないといった感じだった。

「現実でできない事を、虚構の世界で疑似体験し、性欲を抑えるなんて、みんなしている事さ」

「途中で、言葉を止めるのを忘れてた……」

「今の言葉までなら、ギリギリセーフじゃないか?」

 望愛と涼成は言う。

 二人は体の力が抜けきっている感じであった。メシアはこの世界を滅亡させようとしていたが、これで、そんな気持ちも無くなるだろう。

「そんで、後で聞いてみればいい。この世界の素晴らしさを、体感できましたか? ってな」

「笑顔で、肯定する、メシアの姿が、容易に想像できる……」

 涼成は、望愛がそう言うのを聞いて、頷いた。

「次はお前の番だぞ」

 そう言い、涼成は、一つのカバンを望愛に渡した。

「これは?」

「俺とお前の分のコスプレ衣装だよ」

 そう言い、涼成はニヤリと笑った。

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