表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
人間の素晴らしさ
29/40

人間の素晴らしさ

 涼成は、メモを頼りに、熏晴達の事を探した。

「見ればわかるでしょう? あの壁とかに、アルファベットが書いてあって、テーブルにも数字が……」

 涼成に、一緒についてきた凛子が言う。それを頼りに、メモに合う場所に行く。

 そこには満が座っていた。

「あのセクハラメガネじゃないの? 似ても似つかない上に、あのメガネチビとは比べようもない、美少女が……」

「熏晴の事を、ディスるなぁ……」

 熏晴の事を、これでもかとバカにする凛子。良性だが、熏晴に嫌悪感を覚える理由は、身にしみてわかる。ここで凛子に何を言われたところで、涼成が気にするものではない。

「望愛の姿もないな……」

 問題の望愛は、この場には居なかった。

 涼成は、満に聞いた。

「なあ、望愛はどこに行ったんだ? あと、これはそんなに知りたいわけでもないんだが、熏晴もどこにいったんだ?」

 俺の言いように苦笑をした満。

「部長の事をそんな風にいうと言いつけるよ……」

 そう始め、満は言う。熏晴は、自分の買い物に行っているらしい。満は、店番をさせられているというのだ。

「あのクズハル……人に店番をやらせて、自分は遊び呆けているのか……」

 相変わらず最低の奴だ。そう思う涼成に、後ろに居た凛子も同意する。

「明日は立場が逆転するからいいのよ。明日は、私が描いたマンガを売る売り子を部長がやって、私は買い物に行くから……」

 それを聞く涼成。

「まあ、そういう約束か……」

 それなら、納得もできる。そこまで考えたところ、熏晴がこの場に戻ってきた。

「満君? 商品は売れているかな?」

「そこそこですよ、はい、今日の売上……」

 そう言い、満は熏晴に売上を渡す。

「なかなかじゃないか、前回よりも多くなってる。ボクのサークルも有名になってきた証拠だね、これは……」

 そう言う熏晴。熏晴は、それから荷物を置き、お金を持って、去っていってしまった。

「俺達に挨拶もなしかよ?」

 涼成は言う。ただ、熏晴は、ずっと涼成の事を見てニヤリと笑っていた。『ボクはこんだけ稼いでいるんだぞ』と、言いたがっているのが、顔に書いてある感じだ。

 ここは熏晴のホームグラウンドだ。ここでは、ヒエラルキーはどう考えても涼成の方が下である。

「納得できないな……」

 そう考えているところ、凛子が言い出す。

「望愛の事は聞かないの?」

 そう言われ、涼成は思い出した。

「望愛ちゃんなら、コスプレに着替えたら、コスプレ広場の方に飛んでいっちゃったよ」

「コスプレ広場って、どこにあるんだ?」

 涼成の質問は、満を苛立たせたようだ。

「そんな事も調べずに……」

 満はそこまで言うが、続きは言わなかった。

「あっちとあっち。中庭と駐車場がコスプレ広場になってるの。望愛ちゃんがどっちにいるか? は、わからない」

 両方行ってみるしかないようだ。涼成は、まずは近くにあるという駐車場の方に向かった。


 その頃、望愛は、思いがけずに人に会い、不機嫌な顔をしていた。

 ここは、ビッグサイトの中庭。そこに、コスプレをした玲一がいた。

 玲一は、『嫌な奴に見つかった……』と、いった感じで、顔を伏せていた。

「おい……チンピラ……」

 望愛は、玲一に向けて言う。

「誰がチンピラだ……」

 玲一はそう言うが、望愛の事を見たくもないといった顔をしていた。

「何よ、この子……」

 玲一の隣にいた女性が言う。

「私の玲一君を、会うなりチンピラとか呼び出して?」

 そして、その女性は、望愛に食ってかかっていった。

「まだ学生だっていうのに、年齢を偽ってホストをやっているっていうだけで、充分チンピラでしょう?」

 望愛は言う。いままで、言いがかりで玲一につっかかっていたワケでもなかったらしい。

「玲一君は、家の事情で働かなきゃ……」

「政府からの支援をもらってくらせば良かっただけでしょう? わざわざ好き好んでホストなんてやっているから、チンピラだというのよ」

 望愛は言う。それを来た玲一は、言葉を失った。

「何よ! あなたは玲一君の事を何も知らないくせに!」

 そう言い、望愛とその女性は睨み合う。 

千紗ちさ)さん、俺の事はいいから……」

 玲一がそう言い、玲一の客の女性、千紗の事を止めようとする。

「望愛…さっさとよそに行ってくれないか? そういう話がしたいんなら、後でいくらでもしていいが、今はやめてくれ」

 そう言う玲一であった。

 望愛は不満がまだ残っているのがわかる感じで、小さく鼻を鳴らしながら玲一の前から去っていこうとした。

「あのー! 一枚撮らせてもらっていいですか?」

 そう言う。コミケの参加者がいた。

「みなさんお揃いで!」

 そう言うのを聞く望愛。

「私も?」

 そう聞くと、その人は、カメラを持ちながら、大きく首を縦に振った。

「ちょうど……そのキャラをやれる人が足りなかったんだけど……」

 千紗が言う。このコスプレは、三人集まってこそ真価があるようなものらしい。

 望愛はそれを知ると、玲一達の隣に立った。

「はいー! ポーズお願いします!」

 何も知らない、参加者の女性は、カメラを構えながらそう言う。 

 望愛はそれに釣られて、玲一と、千紗と望愛は、三人で、ポーズをとった。

「望愛……ちょっと違うらしいぞ……」

 その最中に玲一が言う。それに首をかしげた望愛の手を、千紗がとった。

「こうやって……手を握って……」

 言われるままに、望愛は、ポーズをとりなおす。

「あと、笑って……」

 千紗が言うと、望愛は不器用ながらも笑顔を作った。

「二巻の表紙ですね! ありがとうございます!」

 そう言い、参加者の女性は狂ったようにして、カメラのシャッターを切った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ