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世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
コミックマーケット
27/40

みんな、コスプレをしましょう

「サラたんって、意外と胸があるね。胸のサイズは大事だよ。ちょっとでもサイズを間違えると、きつくなってすぐにずれちゃったり、ダボダボになって、外れやすくなったりするからね」

『どんな服を作るつもりだ……』

 涼成は聞くが、熏晴の言いようから見ると、大体どんな服か、わかる感じだ。

「サラたんっていま何歳なの? けっこう胸が育っているし……体も、なんか、女の子らしいっていうか……」

 そう言い、無遠慮にサラの腕や、足を触り始めた熏晴。

『おもいっきり手を握っている……』

 涼成が見ると、サラは、血が滴りそうなくらいにおもいっきり手を握っていた。

「助けようか?」

 涼成が、サラに向けて言うが、サラは「大丈夫……」と、言って首を振った。

「今十四……」

 サラは短く言う。

「それじゃ、中学生なんだ、どこの学校にかよっているの……?」

「私の家は特殊で、学校には通っていない……」

 震えた声で言うサラ。熏晴と話すのに、嫌悪感をマジで抱えているようだ。涼成はそれを感じ取ったが、サラは手出しはいらないようであり、涼成は手を出せずにいた。

「これでオーケーだよ。サラちゃん、お疲れ様でした……」

 そう熏晴が言うと、次は、凛子に向かっていった。

「あなたもスタイルが良くていいですね。コスプレをしてみませんか?」

 そう凛子に向けて言うと次は望愛の事を見た。

 望愛はその視線の意味を理解したようで、ニヤリと笑いながら言う。

「凛子も、参加しなよ。どんなものを着てくるかな?」

 そう言われた凛子は、たじろいだ。

「残念、凛子もコスプレ決定だね」

 サラが面白そうな顔をして言う。サラもけっこう性根が悪いらしく、仲間を道連れにして喜んでいる。

「サラだって、けっこうゲスじゃない……」

 楽しそうにして笑うサラを見て、凛子が言う。

「人の事をゲスだなんて、凛子が言うの?」

 そう言い、「そんな事を言われるなんて、心外だ」とでも言っているかのようにして、首を振った。だだ、サラの様子を見るに、悪いことをしたような事は考えていないようだ。

「そういえば玲一は?」

 涼成が言う。辺りを見回してみると、玲一の姿がない。

「あのチンピラ……危険を察して逃げたか……」

 望愛が、残念そうにして言う。

「あの色男が入ってくると、人気を全部持って行っちゃうよ。逃げてもらって正解だったね」

 熏晴が言う。それはそれで、玲一をハブにしているようで、ゲスな言葉だと思われる。

 ここにいる人間は、涼成以外、全員コスプレをする事になったのだ。


「そういえば、なんで君だけ無傷なんだい……?」

「存在感を消していたからな……」

 熏晴が言うのに、涼成は適当に答える。

 今はコミックマーケット当日。開催が決まったのは十日前。突然決まったのであるが、それでも人は集まった。

 まだ開催二時間前だというのに、とてつもなく長い列が、作られていたのだ。

「入場までに二時間かかるとかきいた時は、ガセだと思ったけど……」

 涼成は言う。この人の数なら、それも分かる気がする。望愛はすでに退屈をし始めているようで、つまらなそうにして、空を見上げていた。

 開催になったら、列は牛歩のように、列がノロノロと進んでいき、展示場に入る頃には、二時間たっているという事だ。

「しかも入口は一つだけじゃないんだ。向こうにも、入場を待つ列があるんだよ」

 涼成の事を鼻を鳴らして見ながら言う熏晴。

「向こうは空いているのか?」

 涼成が、望みをかけて聞いてみるが、熏晴は首を横に振った。

「向こうだって、似たような状況だよ? 早く入りたいんだったら、徹夜でもしないと……」

 熏晴が言う。涼成もそこまでする気はない。

「そうしたら、警察に退去命令を出される事もあるけどね……」

 カラカラと笑いながら言う熏晴。

 望愛はそれを聞いて、不機嫌そうな顔をしていた。

「人の悪口ばっかり言う人は嫌いだよ」

 望愛が言う。

「ゴメンゴメン望愛君。ぼくもゲスな性格をしていてごめんね」

 普段なら、「なんでそんな事を言われなきゃ」とか、言い出すはずであるのだが、今の熏晴は、心にゆとりを持っているようである。

「まあまあ、会場にいち早く入る方法があるんだ。望愛ちゃんは機嫌を直して……」

 そう言う熏晴。

「ボクは、ブースに出店をするからね。出店をする人間は先に入る権利があるのだ。望愛ちゃん、ボクの手伝いをする気はないかい?」

 そう熏晴が言うと、望愛は身を引いた。

「まあまあ、よく話を聞いて。ブースに出店する者は、先に会場に入れるってのは、さっき話しただろう?」

 熏晴は、望愛に、本を並べたり、それを手伝う事をお願いしたいというのだ。

「並べ終わったら好きに見回ってくれていいから」

 それを聞くと、望愛は「ふむ……」と、いった感じで、顎に手を当てた。

「涼成、先にいってるね」

 そう言い、望愛は熏晴についていった。

「見ろ涼成。涼成から望愛ちゃんを寝とってやったぞ!」

 上機嫌の顔で、そう叫ぶ熏晴。

「寝とったって……お前……」

 言うことがいちいち気持ち悪い熏晴であるが、そんな事は、今に始まったことじゃない。

 高笑いをする熏晴を、涼成は黙って見送っていった。

「あ……運営に怒られている……」

 さっき、高笑いをしたことで、注意を受けているらしい。

 熏晴はみっともなくペコペコしていた。

「あいつは、権力にはガチで弱いからな……」

 教師に何か言われた時も、あんな感じになる熏晴の事を思い出しながら、望愛と熏晴の事を見送っていった。

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