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世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
コミックマーケット
26/40

玲一n語るコミケ

「俺は、一度行った事があるぞ」 

 玲一が言う。涼成は、その声に驚いていた。

「熏晴のようなオタクが行くようなとこだって思っていたが……」

「そうだぞ、俺を懇意にしてくれる女性に、そっちの道の人がいてな……」

 玲一が言う。「俺と先輩が隣同士で座っているところになると、やたらと喜ぶ人だった」それを聞くと、涼成は満の事を思い出した。

 見た目がどうあれ、オタクであるか? どうか? は、わからないものだ。

「とにかく、人がいっぱいで……薄い本一冊に五、六百円ぐらいの値がついているし、モノによっては千円以上のやつも……」

 そう言う玲一。「こんなものが、こんな値段で売られているなんて、ボロいもんだ、としか思わなかったな。俺も描いてみようかとも思ったんだが……」そこまで言う玲一。

「俺に絵心はなかったから諦めたけどな」

 それを聞いて、望愛はニヤリと笑う。

「チンピラはチンピラらしく、グレーな仕事でお金を稼いでいればいいのよ」

 望愛の嫌味に、玲一は唸る。

 それを気にせずに、望愛は先へと歩いて行った。

「まあ、そこで人間の素晴らしさがわかるかどうかは、分からないけどね……」

 望愛は他人事のようにして言う。

「まあ、いいじゃないか。望愛が涼成にべったりなら、他に方法もないようだし……」

 そこに声をかけてきたのは、サラと凛子だった。

「あ……ゲスおっぱいだ……」

 望愛が臆面もなく言う。凛子は、それを聞いて、望愛に殴りかかろうとして、拳を上げたが、後ろからサラに押さえられて、止まる。

「落ち着いて……だから私一人で……」

 サラがいつもの言葉を言う。凛子はそれで握っていた拳を外した。

「私の仕事だから……」

 いつもやっている問答だし、いまさら、それを面白いと感じる訳もない。涼成は、そんなやりとりなど気にせず、話しだした。

「なにかいい話でも持ってきてくれたのか?」

 涼成が聞くと、サラはこくりと頷いた。

「さっき、あのセクハラが入ってきて、言えなかった事がある」

 そう言うと、サラは小切手を出した。

「軍資金にするといい。十分に楽しんでもらわないと、いけないからね……」

 そう言われ、小切手を見せられる涼成。

「おいおい、そんなものを貰うワケには……」

 涼成が言う。コミケで遊ぶ事を考えたら、これくらいのお金は必要のようだ。

「君ねぇ……世界の存亡は、あなたの肩にかかっているのを分かっているの?」

 凛子が言い出す。

「こっちは、あなたの綺麗事に付き合って、地球と運命を共にする気なんてないの。このお金は受け取りなさい……でなきゃ、君の口に無理やり突っ込んでやるわよ……」

 凛子が言う。

「こういう事を言うと、めちゃくちゃ似合うな、あんたは……」

 気分の悪くなった涼成は言う。それに凛子は、少し気を悪くしたようにしたが、それでも言う。

「今回の嫌味は、見逃してあげるわ。だけど、本来はサラがあなたに渡すべきなのに、こんな役に限って、私にやらせてるんじゃないわよ……」

 そう言い、凛子は涼成の胸ポケットに小切手を詰め込んだ。

「感謝してます……」


 サラは両手を合わせながら言う。それを見た凛子は鼻を鳴らした。

「それじゃ、汚れた大人からの話は、これで終わりよ。コミックマーケットの時は、必ず成功させなさい」

 凛子はそう言うと、そのまま去っていった。


「凛子も悩んでいるの、このまま生きてもいい事なんてあるのか? って……」

「あの人の場合は……」

 涼成がそこまで言うと、サラは涼成を見て頷く。

「あのゲスな性格が問題だよね……」

 その意見については、涼成とサラの二人は同意をしたようだ。

「世界の存亡がかかっているっていうのに、ケチでしょう?」

 サラが言う。涼成は小切手に書かれた値段を見てみた。

「十万って……大金じゃないか……」

 涼成が言うのに、サラは呆れた顔で言う。

「学生にとっては大金か……」

「まあ、そうだな。こんだけあれば、十分遊べるんじゃないか?」

 玲一は言う。

「コミックマーケットに行った事あるって言ってたね」

 サラが玲一に向けて言う。

「それじゃ、全然足りないって、言われていたけど……?」

 そうサラが言うと、玲一は、うーん……と、唸る。

「確かに、やたらと本を買ってたし……俺は荷物持ちをしていたから、その重さたるや、両手がちぎれるかと思ったくらいだったし……」

 そして、イベントのために、やってきていた宅配会社に、本を預けて、家まで送っていたのだという。

「あれは、絶対に十万は超えてたな……」

 じみじみとしながら言う玲一。

「そうだよね……コミケは戦場だよ! 弾薬無しではやっていけないんだ!」

 そういう声が聞こえる。サラは、粘ついた汗を流しながら、声のした方に、視線を向けるため、振り返った。

「サラたん、また会えて嬉しいよ!」

 本当にうれしそうにして、熏晴が言う。

 それに、サラは引きつった笑顔をして熏晴を迎えた。

「大げさな事を言わなくてもいいから……」

 嫌悪感を感じているのが、まるわかりだ。だが、当の熏晴だけは、それに全く気づいていないようだった。

「サラたんの服のサイズがわからなかったから、ダボダボかもしれないけど、ボキはサラちゃんの分の衣装を、用意していあるんだ。楽しみにしててくれ……」

「私はコスプレは……」

 そこまで言ったところに、望愛が言う。

「面白そうじゃない。着てみなよ」

 ケラケラ笑いながら言う望愛。サラは、望愛の事を一度見たが、それで、諦めたようにして言う。

「楽しみにしてる……ありがとう熏晴……」

 いやいや言っているのがまるわかりの声で言ったサラ。それを聞いて、熏晴は、心底嬉しそうにして言った。

「今からでも、サイズを図らせてもらっていいかい? もう、ほとんど作ってしまったけど、最終調整くらいはできるから」

 そう言われ、サラは両腕を広げた。そして、熏晴はサラの体にメジャーを巻いた。

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