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世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
コミックマーケット
25/40

部室では、予想通りに

 部室に戻ると、涼成は、予想通りに嫌な声を聞いた。

「望愛ちゃん! さぁ! いつまでもそんなカッコしていてはいけません! すぐに着替えましょう! 着替えを手伝ってあげますよ!」

「あなただけには手伝って欲しくない!」

 当然これは望愛と満の声だ。この声だけで、着替えにかこつけて、望愛にセクハラをしたがっている満の姿が容易に想像できる。

 涼成は、ドアを開けると、躊躇なく満に向かっていった。

「おらぁ!」

 そう言った涼成は、おもいっきり満に飛び蹴りを食らわせた。

「女の子に向けてそんな事をするなんて……」

「うるさい! もうお前を女とは思わん! ただのエロオヤジだろう!」

 涼成は、満に向けて言った。

 その隙に、望愛は、更衣室に逃げ込んでいった。

「ここで満の事を止めておく! お前は早く着替えろ!」

 そう、更衣室に向けて声をかけると、涼成の頭に衝撃が与えられた。

「さっきのお返しよ!」

 そう言う満。涼成のこめかみに、おもいっきり膝蹴りを食らわせてきたのだ。

 だが、所詮女の子の攻撃だ。痛いといえば痛いが、その一発で涼成が倒れたりはしない。

「ほわぁ!」

 なんか、どこかで聞いたような、怪鳥声を発する満。

「何かの武道をやっているのはわかったが、アニメみたいに、女が男を一発殴っただけで倒せるものだと思うなよ!」

 アニメでは、高校生の女の子がガタイのいい男を、一発でのしたりしているが、そんな事は実際にはありえない。

 そもそも、攻撃一発で相手を昏倒させる事ができるなんて、よほどあたりが良くないとできる技ではないのだ。

「望愛! 着替えが終わったら、すぐに出てこい! この部室から逃げるぞ!」

「わかった! って、言いたいけど……」

 望愛は言う。今、満と睨み合っている涼成は、それを聞いてがっくりとうなだれた。

「脱ぎ方がわかんない!」

 望愛が言う。

「ほら見なさい……私が手伝わないと、脱げないから、一緒に脱ごうと言っていたのよ……?」

 ここになって、構えを解いて言う満。

 満の態度は、『やれやれ……』と、でもいった感じに腕を組んで首を横に振っていた。

「うぜぇ……」

 まるで熏晴並みの、身代わりの早さだ。

「どうする? 望愛?」

 俺は望愛にそう聞く。

「私が一緒じゃないと、脱げないんだから、私が一緒に入るしかないでしょう?」

 自信満々といった感じで言う満。

 だが、こいつは望愛と一緒になったら、絶対に望愛にセクハラをする……そんな事想像に難しくない。

 望愛は少しの間黙って、それから言った。

「涼成と満の両方が入ってきて! 満が変なことをしたら、涼成が止めて!」

「おいおい……いいのか?」

 涼成が言う。望愛は涼成に着替えを覗かれるのが恥ずかしくないのだろうか? そう思うが、望愛は、それを見透かしたようにして言う。

「満と二人きりになるよりマシ!」

 そう言う望愛。涼成は、それを聞いて、望愛のいる更衣室に入っていった。


 涼成が見張っていれば、満も、余計な事をし始めることは無かった。

 学校の制服に着替え終わった望愛を初めに、涼成と満も更衣室から出てきた。

「それでは下校時間だし、みんなかいさーん」

 そう言い、手を叩く熏晴。

「そういえば、お前、さっきから何をやっていた?」

 この騒ぎの中、この部室に一緒にいた熏晴は何をやっていたのか? 涼成の手伝いに入っても、良かったのではないか? と、涼成は思う。

「僕は平和主義なんだ。あんな喧嘩を目の前で始められたら、逃げ出すに決まっているじゃないか。そんな野蛮な事に、ボクを巻き込むつもりだったのかい?」

「うぜぇ……」

 涼成は、そう言う。

 だが、その言葉を無視したのか? それとも、意味がわかっていないのか? 熏晴は自分の話を続けた。

「暴力嫌いのボクには、いいところで入っていって、その喧嘩を止めるくらいしかできることはないの。分かってくれとは言わないけどさ……」

 そう言い、熏晴は、帰っていった。涼成と、望愛の二人は、一緒になって帰っていく。


 帰り道では、涼成は玲一と合流をした。

「お前の帰りがこんなに遅くなるなんて珍しいな……いや、一度あったか、覗きの罰で補習をやらされた時以来だな」

 玲一が言う。

「いらんことばかり覚えているようだな……」

 涼成が言うと、玲一はからかうようにしてたのしそうに笑った。

 涼成の事をはさみ、反対側を歩く望愛は、その話を、聞いてもニコリともしなかった。

「なんだ? 涼成の話なら、お前も興味を持つと思ったんだが?」

 玲一が言う。望愛はそれに玲一とは逆の方向を向いて言う。

「他人の悪口を言う人間はきらいなの……」

 そう言われ、顔を固くした玲一。

「ただし、あの熏晴の悪口ならいいよ。言われてもしょうがない人間だっていうのは、よく分かったから……」

「基準がわからん……いや、同感な部分もあるが……」

 玲一は言う。玲一にとっては、望愛との会話をするのは難しいものらしい。

「普通の事を話せばいいんだよ。なんで、お前は嫌味を挟まないと会話ができないんだ?」

 涼成が言う。それを聞き、玲一は頭を抱えた。

「涼成……お前まで言うのか……」

 面白くなさそうにして、玲一が言う。

「まあ、そんな事いいよ」

 望愛が言う。

「コミックマーケットっていうのは、どんなところなんだろうね? 仮装大会みたいなものなの?」

 涼成に聞く望愛。

「行った事ないな……熏晴ならよく知っているだろうけど……」

「ならその日のお楽しみにしておこう」

 涼成が最後まで言う前に、望愛は言った。熏晴から話を聞くくらいなら、知らないままでいいと、いう事だ。熏晴の事を嫌っているのはわかっていたが、ここまで露骨だと、清々しいくらいだ。

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