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世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
それは女神か? 悪魔か?
10/40

報酬はいらない

「望愛……どんな事がやりたい?」

 登校中。今は周囲にはビルが立ち並ぶ歩道を歩いていた。涼成が望愛に向けて聞いたが、望愛はそれに気のない返事を返す。

「別に? 私は、この世界の事を調査するのが目的だし、見たままの事を調査するつもりだよ?」

 そう言う望愛。特に何も勧めなければ何もする気はないだろう。

 女の子が喜びそうな部活といえば何だろうか? そう考える涼成に玲一が声をかけた。

「茶道とかどうだ? お菓子を食べれるから結構人気あると思うぞ」

「そう考えると、料理部とかはどうだ? お菓子とか関係なく、いろんなものが食べれるし……」

「それなら……これならいいんじゃ……」

 涼成と玲一は、望愛が楽しそうと思うだろう部活を次々にあげていった。

 当の望愛が、何かをする気が無いようでは、考えようがないというのがある。

「とにかく、運動部はダメだ。運動部の女子たちからは、お前は嫌われてるし、お前が一緒に入って近くでサポートをできないと……」

「そうだよな……」

 そう言って、望愛に人間の素晴らしさを伝えないといけない涼成と玲一は、必死になって考えた。

「えへへー。いったいどんなものを見せてくれるのかな?」

 望愛は言う。それに玲一はむっとした顏をした。こっちが必死になっているところに、高見の見物を決め込む望愛。

 だが、望愛はまったくそんな事を考えているような雰囲気ではなかった。

 純粋に、涼成と玲一が何を見せてくれるか? 楽しみで仕方がないという顏だ。

「しっかし、世界を救って、報酬も無しって事はないんじゃねえの?」

 玲一が言う。この世界の危機に、そんな事を考えるのは不謹慎だと思うだろう。

 だが、それは、人の本音だ。ここまで頑張っても、何もないじゃ、すぐにやる気が萎えてくるだろう。

 そこに涼成の電話が鳴った。

「また、サラからだ……」

 涼成はそう呟いて、電話を取る。

『すまない涼成。重要な話をし忘れていた』

 サラがそう言う。

「何の話だ?」

涼成はそう聞く。そう涼成が聞くと、サラは話し始めた。

『報酬の話……望愛に人間の素晴らしさを教える事ができたら、百万単位の報酬を払う。頑張っても何も見返りなしじゃ、頑張れないだろう?』

 そう言ってくるサラ。玲一はそれを聞いて言う。

「もらっちまえ。別に、向こうが報酬を出すって言ってんならいいじゃねぇか」

 玲一の言葉に、涼成は苦い顔をした。

「報酬なんていらない。俺は世界の崩壊を止めるために動いているだけだ。それで、報酬をもらうのは、なんか違う気がする……」

 涼成は言う。玲一はキョトンとした顏をした。電話の向こうで、サラも同じような顔をしているのだろうというのが、涼成には分かった。

 少しの間の無言の後、電話の向こうでサラが、「くっくっく……」と笑っていた。

「まったく、君が望愛に好かれる理由が少し分かった気がする。こんな考えを持つ人間がいるなんて思っていなかった。純粋だな……」

 その言いようには嫌味だって含まれているだろう。それに気づきながらも、涼成は首を横に振った。それはサラには伝わっていないだろう。だが、サラはそれを分かっているようにして言う。

「本当に無報酬でこんな面倒な事をする気? 世界を救った英雄にもなれるというのに?」

 それでも涼成は、報酬はいらないと言った。

 サラはそれで気持ちよい返答をした。

「最初はなんでこんな奴に羽が見えるんだ? って、思って疑問だった……まあ、一応言っておく。もし、気が変わって報酬がほしくなったのなら、いつでも言ってくれ」

 そう言った後、サラは電話を切った。

「気なんか変わるか……」

 そう言った涼成。そう言い、電話をしまった後、玲一から背中を叩かれた。

「やっぱ、お前って最高だぜ」

 玲一が、そう言うのに、涼成は、頭の上に疑問符を浮かべた。

「ふつう言えねぇよ、あんな事。なんかスカッっとした気分だ」

 そう言い、玲一は、前へと歩いていく。

「こんな事くらいで、そんな事まで言うもんじゃない」

 涼成はそう言い、学校にまで歩いて行った。

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